2022年05月24日

ランボー超人Bの物語-12 人気者っていろいろ大変A

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それでも、次の角を曲ったとこで、一気に8階建てのビルの屋上まで飛び上がって、女の子たちを撒いてあげた
だってどうせ、俺の後なんか付いて来たって、いいことなんかないもんね

それでも、女の子たちに追いかけられることなんて、俺的には人生初めての経験だから、なんか嬉しい気分になっちゃうのはしょうがない

そんな話を夜、駒ちゃんが来たときに喋ったら、ちょい機嫌悪くなったみたいで(俺ってデリカシーないな)
「ふーん、勇太郎さん嬉しそーね」って言っただけで、話が途切れちまった

もち、しまった!って、俺だってすぐ気が付いて「今日、局でなにか面白いことあった?」って、間抜けな話題転換してみたけど「別にないよ」ってなって、俺的には他の話題が出て来ず、もう黙ってテレビ見てるだけ

ってなると、時間経つののろくなって、俺の頭の中じゃあ、なんか別の話題探さなきゃ、ってなってますます重い時間の中を、もったらもったら歩いてる感じ

「じゃあ、時間遅いから、もう帰るねっ」って、駒ちゃんが言ったときには、まずいぞまずいぞって気持ちと、なんか少しほっとした気持ちと、もうなんか分からんけどメンドクサイナーって思う俺の三人が、ぼーっとしちゃってるだけだった

別に女の子たちとなんか話した訳でもないのに、なんであんなに怒るみたいになるんだろ、って正直思った
新しいマンションの夜は、こうしてうんとつまらないものになってしまったのであ〜る

それから1週間、SITの訓練と雄仁塚建設の仕事が交互に入ったお蔭で、俺は忙しくなったんで、駒ちゃんの連絡が無いことが、別に気にはなってなかった

さすがに、これはまずいだろーって俺だって思うこともあったんで、何回かメールしたけど返信もなく、電話かけても留守電の案内メッセージしか聞けないんで、なんか怒れてきて、もーいいや!状態

そんな駒ちゃんが怒って(?)帰っちゃった日から8日後、ザキさんから電話があった
「超人ランボーさんの出演依頼が殺到してるんですが、上辻曲さんのご予定ってマネジメント可能なんでしょうか?」いつものザキさんらしくない、ちょっとよそよそしい感じがした

「出演依頼って、またニュース番組かなんかですか」
「いや〜、それがウチの局のバラエティ番組なんですよ。それも3本」へえ〜、Tテレのバラエティって言うと、お笑いのコンビが司会してるお昼のやつとか、かなぁ

「どんな風に演るの期待されてるんっすか。俺、お笑いとか観るの好きな方だけど、話なんてうまく出来ないし、オチ付けるなんて絶対無理っすから…」これは正直本音だ

「それは大丈夫ですよ。超人ランボーさんとして出演して頂ける場合は、MCが上手く回すんで、超人ランボーさんとしては、例えば空を飛んでバスケのリングにダンクで叩き込むとか、とにかく今まで見せたことのない超能力をご披露頂く、とかですねぇ」…なんだ見世物になれってか

「そんなのお断りします。まだ、実際に困ってる場所に出かけて行って、その問題を解決するとかなら、俺が出る意味もあるとは思うんですけどね」ついつい、こっちから喋っちまった!

「そう、そうか、そりゃ名案ですよ!そうか、いいなあ、日本列島、住んでる方のお悩み解決します!そう、そうですよ、それなら超人ランボーさんにわざわざ出演して頂ける意味もあるってもんですよ!」すごいノリノリになっちゃったよ、この人
posted by 熟年超人K at 22:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説

2022年05月16日

ランボー超人Bの物語-12 人気者っていろいろ大変@

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目が覚めたとき、あれっ、ここってどこ?みたいに一瞬なったけど、すぐに引っ越したんだ、って思い出した
早速ベランダに出て、マンションの周りの景色を、いい気分で眺めてみた

不動産屋さんと、いくつか物件見て回ったときは、部屋の中とか家賃とかに注意が向いてたんで、周りの景色なんてあまり覚えてないんだけど、今見るとなかなかいけてるじゃん、って思える(駒ちゃんもそう思ってくれる?)

向かい側にも、同じくらいの高さのマンションがあるけど、こっちより新しくてかっこいいのがちょい残念
下の通りを見下ろすと、歩道には歩いてる人が見えるし、車の通りも多い。やっぱ都会だなって感動した

室内に戻って、早速駒ちゃんに“渋谷区に越して来たよー!”って、メールを送る
それからちょっと持ってきたテーブルとか、冷蔵庫やテレビや服なんか動かしてると、駒ちゃんから返信あり

“やったねー!今夜は引越し祝いに行くからねーハート”って、むちゃくちゃ嬉しい返事じゃん!!
そう言えば、駒ちゃん来たら、ここの予備キ―渡すのかな〜。おお、俺の心臓どきどきになってる!

もう、こうして引っ越して来ちゃったんだけど、お隣さんとか下の階とか、引越しあいさつってーの、やらなきゃいけないんかなぁ。挨拶行って、俺がこのマンションに居るって教えるのも、どうなんだろなぁ…

そんないろいろは、とにかく今夜駒ちゃんが来たら相談して(なんか新婚っぽい?)からにしよーとか、ふわふわ落ち着かない俺。意味もない(?)のに、バスルームやトイレをチェックしたり、急に気が付いてベッドと布団は、買い直さんといかんかなぁ…、とか頭に浮かんで来る。変な俺になっちまったもんだ

どっちみち、そんなに目立つタイプじゃないけど、それでもテレビで見たとか騒がれ(…ナイナイ)たらマズって思って、なるべく目立たない系の服着てグラサンかけて、近所の町をぶらついてみたけど、家具屋なんてない

大体平均より低めの身長なんだし、オーラなんてもちろん出てっこないしで、誰も俺のことなんて見やしないけど、天気も良くないからグラサンが変かもってことで、外してTシャツの襟にひっかける

スマホのマップ見ても、家具みたいなもん売ってる店もなさそうなんで、近くの私鉄の駅に行ってみた
電車で新宿に出て、東急ハンズにでも行ってみようかって考えて、券売機のとこに行ってみた

誰も俺を見てないはずって思い込んでたけど、なんかひそひそ声が気になるんで、聴力を上げると「ねえ、あの人ってあれじゃない?」「う〜ん、なんか似てるよね」「ちょっと訊いてみる?」って、あっちに固まってるJKが喋ってるんだ

こりゃマズって思った俺は、さりげなく券売機から離れて、駅の外に出ることにした
「あれそうだよ、きっと」「そっかなぁ」「そうだよ、だってあたしらに気付いて逃げだしたじゃん」う〜ん鋭い!面白がってなんでもできちゃうんだよな、あの年頃…なんて余裕かましてる場合じゃない

俺って一応超人だから、無敵感覚に最近慣れてるのに、こんな風に後ろから女の子に付いて来られると、逃げたい気分になるもんなんだ(う〜んアイドル気分…かなぁ)

まあ、俺がちょっとその気で、すたすた歩いたら、普通のJKなんて付いて来られっこないんだけど、結局俺も悪い気がしてなくって、振り切るとこまでスピード上げてないんだよね
posted by 熟年超人K at 15:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説

2022年05月08日

ランボー超人Bの物語-11 ヒーローにランクアップF

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なんでスマホのアドレスが分かってんだよ、って思ったけど、雄仁塚の社員の皆の顔が浮かんだ
俺が雄仁塚にいたのは、以前のテレビで紹介されてたんで、みんな知り合いの雄仁塚建設の社員に訊いて、教えてもらったってとこだろう

大体は褒めてるみたいなDMだったけど、中には俺のこと悪く言ってるのもある
いちいち見るのはめんどくさいなぁ、って思うんだけど、中には知ってる人からのもあるから、無視もできない

有名人がネットで叩かれたりして炎上、みたいなネット記事をこれまで面白がって見てたけど、こりゃほんと大変だよ
なんてこと、ぼやっと考えてたら、ほらメールの大群の中に大事なメールが入ってた

“昨日はお疲れさま 正体見せちゃったからこれから大変だね 殿は大喜びだったけど わたしはちょっと心配。。。 でもいつかは有名になっちゃうんだから 早めに経験しとくのも良いのかもねわーい(嬉しい顔)

実はこの先の展開、まだまだこんなもんじゃ済まなかったんだよね
駒ちゃんとの間にも、いろんな影響が出て来るのを、俺はまだ気づいていなかった

このアパートの場所は、もう知られてるから、また人が集まってるのかもと、ちよっと外を覗いて見たら、いるいる、あっちに4、5人、こっちに5、6人、少し遠いところに10人以上!
前回マスコミが集まったときと違い、女の子集団や若い男の子集団が、それぞれ固まってこっちを見てる

なんか、人気者になったみたいで、ちょっと調子に乗りそうな俺に、いかんいかんって大人な俺が注意する
これじゃあ、コンビニに買い出しに出たりできんかも…とか思えたんで、そんなことを駒ちゃんにメールしてみた

“ふーん、困ったねぇ でもなんか嬉しそうだね いよっ、に・ん・き・も・の!”って、からかいのメール
続けて“渋谷区のマンションに 早く引越した方がいいね このままだとわたし行けないよ。。。”と
そーだよなぁ、こりゃ早く引っ越さんといかんなぁ…

そうとなったら速攻で不動産屋に電話して、渋谷区のマンションに今夜引っ越したいんだけど、って言ったら「こ、今夜ですか」って驚いたけど、店に来てくれたら鍵を渡してくれる、ってなった

それで、見物人の眼なんか気にもしないで、裏の窓からさらっと空に飛び出して、さぁーっと駅そばの不動産屋に直行。契約書にハンコして、頭金(敷金?)みたいの払って、鍵もらって(担当者は俺に気付いてなさそう)、次はホームセンターに寄って、ダンボール箱とかガムテとかロープとか買って、アパートに戻った

家具とかは少なかったんで、ベッドと布団をホームセンターで買ったロープで括って荷物1。ダイニングテーブルと椅子をまとめて荷物2、服とかは全部カバー付きハンガーラックに入れて荷物3、ゲーム機、テレビ、DVDプレヤー、ソフト類はダンボール箱で荷物4、冷蔵庫は1個で荷物5…夜中までかけて引越し準備完了

さすがに、1時過ぎるとアパートの周りの野次馬もいなくなったんで、まとめた荷物を何回かに分けて、引越し先のマンションに空飛んで運んだ(こういうとき超人って便利だ)

運び終わった荷物を、適当にばらしたとこで終わりにして、最初に運んだ冷蔵庫からビール出してコンビニ弁当食って、明るくなりかけてたけど、ぐーすか寝ちまった
posted by 熟年超人K at 11:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説

2022年05月03日

ランボー超人Bの物語-11 ヒーローにランクアップE

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本番は、最初の予定と段取りが大分変わっちゃったけど、現場スタッフが俺の超人力をリアルに見てたんで、熱の入り方が凄かった(って後で駒ちゃんから聞いたんだけど)

俺が吹っ飛ばしたスタントマンを受け止めて、大きく破損したネットにはライトが当たり、どんなにすごい力で人が飛んで来たのかを、がっつり証明している

番組の進行は、殿倉さんからバトンタッチした水越アナが、先日の“信金猟銃立てこもり事件”の警察発表と、ヘリ空撮現場ライブ映像をからめて、事件の概要を説明した後、Tテレで再現した信金内部での俺の活躍に移った

「その再現ドラマは、今日スタジオに来ている超人ランボーさんが、本人自ら演って下さったんだよね」殿倉さんが、上手く水を向けると水越アナが「ええまあ…やって下さったんですが…」
そこから、俺がスタントマン二人と再現した、あの日のアクションの動画に切り変わる

「こ、これって、ワイヤーアクションじゃないよね」殿倉さんが心底驚いたような声を発し(さすっが!)
「大丈夫なんですか、あの方、本当に何メートルもすっ飛んじゃってますよねぇ」って、レイコさんが怯えた声で水越アナに声をかける

「大丈夫、でした。どうぞ、スタントマン協会の遠ケ峰剣次郎さんと、窪野刃(ジン)さんです」
犯人役の二人がスタジオに登場し、テレビ内では録音してある観客の驚きのざわめきが被せられてる

「いやぁ、ご無事のようでなによりです、遠ケ峰さん、窪野さん」殿倉さんが本当に心配していたみたいな声をかけ、レイコさんも「ほんとに、どこも痛いとか無いんですか?」と声掛けしてる

「大丈夫です。私ら受け身が得意ですから…とは言うものの、実際びっくりでした」って遠ケ峰さんが言うと「僕は…ちょっと肩を…。でも、大丈夫です、ほらこの通りぴんぴんしてるっす」変なこと言わないかって、フロアDのトクさんがちょっと心配顔

それから、元警視庁捜査一課の刑事さんだったゲストや、犯罪研究所とかの所長さんとかが、当日の立て籠もり犯逮捕について、専門的な意見を話し、番組を盛り上げてった(俺は、その間番組セットの横で待機中)

その後、俺が皆がいるセットの中に呼び込まれて(コスチューム姿で)、殿倉さんの質問に答えていく
「今日も、その格好ですね。前回、この番組に出て頂いたとき、中の方のお名前は紹介しましたよね」

「はい、上辻曲勇太郎です。現在は、警視庁特殊事件捜査係の非常勤嘱託をしています」
「でもそのスタイル、警視庁のじゃないですよね」フロアDのトクさんが、殿倉さんにボードを掲げる(それをそのままカメラが捉えてる)

「ああそうか、ウチで作ったコスチュームなんだ。なんか戦隊ものに出てきそうだけど、上辻曲さんの趣味なの?」わざとらしい投げかけに「前は、普通のジャージなんか着てたんですけど、すぐに破れたり、燃えちゃったりするんで、困って局の人に相談して、作ってもらいました」とか答える

それから、なんやかんややりとりして、レイコさんが「中のお顔、拝見できるかしら」とか言って、俺はマスクを脱いで、顔をさらすという筋書きだ

一応、前日Tテレ指定の美容室にいって、髪を短めにしてつんつん頭になってたし、メイクさんに顔もきれいにしてもらってたんで、俺史上最高のイケメン(…たってそれなりだけど)の顔を出してやった

その後、少し飛んで見せたり、警視庁広報部の次長さんが、凶悪犯罪対策として、いかに俺に期待しているか、とかの話も挟んでから、CMの後、スタジオから送り出されて、俺の長い一日が終わった

その日の夜から、俺の世界(まずスマホの連続着信!)は大激変したった
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2022年04月25日

ランボー超人Bの物語-11 ヒーローにランクアップD

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「う〜ん、だめだなぁそんなんじゃあ。そんなに優しくぶちかましたんじゃなかったんだろ」殿倉さんの不機嫌そうな声が響いた
「もう少し、大きく飛び出して頂けませんかねぇ」フロアDのトクさんがダメ出ししてきた

クッションの上で、抱き合ったままみたいになってた俺は、遠ケ峰さんの耳元に「今の倍くらいの強さでもいけます?」って囁いた
「ええ、全然平気っすよ」落ち着いた低い声が返って来た

遠ケ峰さんの身体に触れてみて、鍛えられた筋肉とか、しなやかさを感じた俺は、これならもう少し強く当たっても、大丈夫だなって思えた(SITの隊員より身体強いかも)

次はあまり手加減しないでタックルかましたら、銃構えてる格好のまま後ろにすっ飛んで、張ってあったネットにどっさーっと当って、跳ね返って前向きに床のクッションに当った

しまった!かなって思ってフリーズしたら、ゆっくり遠ケ峰さんが起き上がって来たんで、ほっとした
「大丈夫?遠ケ峰さん」ザキさんがあせった声で呼びかける
「OKでーす」って答える声は、苦しそうで余裕ない感じだけど、やっぱりプロのスタントマンってすごい

「いーねぇ。本番もその調子でね」殿倉さんのご機嫌な声がスタジオに響いた
「じゃ、次は、今ふっ飛んだ銃をジンちゃんが拾って、もう一度銃を構えるシーンから超人ランボーが飛びかかって、今度は横に払い飛ばす」トクさんが説明し、待機していたもう一人のスタントマンの窪野さんが大きく頷いた

あの時は確か、大きなデスクの方までふっ飛んで、どっしゃーんみたいになってたけど、今はその辺りにヨギボが何個か置いてあって、念のためか、やっぱり後ろに大きなネットが張ってある

それじゃあ、って銃を持ったジンさんに向かって大きく飛んで、持ってる銃の銃身を掴んで手繰り寄せると、思ったより軽く手元に来たんで、ぽんと横に振った

俺が思ってより、ジンさんは軽々と横手に吹っ飛んでって、7mくらい離れてるネットに相当強くぶつかった
どうもジンさんは、スタントマンの流儀で演者の動きに合せて、少しオーバーめに動きを誇張する癖があって、俺の力が想像を遥に超えていたんで、アクションが増幅してしまったらしい

スタジオ内のスタッフは皆凍り付いて、ジンさんが生きているかどうか、ネットで跳ね返ったジンさんが突っ込んだヨギボの散乱している辺りを、息を呑んで見守ってる(もち俺も)

ごろっとヨギボが動いて、ジンさんが情けなさそうな顔で、右手を上げよろけながら出て来た時には、スタジオ中の全員が、わーっと叫びながら盛大な拍手を送った

「いやー、いやいや、ワイヤーアクションなんて比べもんにならない弩迫力だったねぇ〜」どうやら局内事故にならなかった安堵感からで、報道局の次長さんがかすれ声を絞り出すようにそう言った

「すごかったんだけど、どう本番でもう一度やれるか?」殿倉さんが、最初に冷静になって呟いた
「どう、ネットの状態は?」フロアDのトクさんが、近くにいる大道具さんに声を掛けた。「だめっすねぇ」小さく返事が返って来る

「殿倉さん、いまのカメラテストも兼ねてたんで、カメラ廻ってましたよ」ザキさんがそう言うと、皆がほ〜っと息を吐いた
「よし、それ使おう。スタントの二人には、水越君がリアルなふっ飛び感想を訊く。見てた僕らの証言も使えるぞ」殿倉さんが、張切り始めた
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2022年04月15日

ランボー超人Bの物語-11 ヒーローにランクアップC

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続いて、「いや〜、先日は大活躍、お疲れさま」殿倉さんがそう言いながら立ち上がって拍手すると、部屋にいる全員が立ち上がって拍手してくれたんで、俺びっくり

「ここにいる皆、先日の○×信用金庫の立てこもり事件を観てました。本当に現実社会に、あんなに頼もしい正義の味方が出現したことに、拍手喝采しましたよ」プロデューサーの御香山さんが俺をヨイショしてる

「それで、殿倉キャスターとお話したんだが、なんとそのスーパーマンが、ウチの局に縁浅からぬ仲だと言うではないですか」って話を足したのは、今日初めて見た冠沢さん(報道局次長のお偉いさんだそうだ)

皆、そうそうって顔して頷いてる(駒ちゃんも)。…で、やっと話が分かって来た
つまり、なんかあの日の俺を取り上げた特番をやりたいから、協力してくれる?って話なんだなって思った

「じゃあもしかして、あの立てこもり事件を番組で取り上げるとか」って、俺の方から話をし易くなるように、話を振ってあげた(駒ちゃんが微かに頷いたのが分かった)

「おぉっとぉ、さっすがぁ、鋭い!ヨミぴったり。そーゆーことなんですよ」ザキさんが、話を盛り上げる
「でね、あの事件を振り返るのに、本物の超人ランボーが出てくれて、あの日の再現アクションをしてくれたら、視聴者の皆さんがどんなすごいことがあったか、すんなり理解してくれるんじゃないか、ってね」

殿倉さんの言葉を聞きながら、そうかそれもいいかも、って思った
「再現アクションって、ほんとに犯人役がいて、それをあの日のように、俺がやっつけるってことですか?」

「そうそうそう、どう?できそうかなぁ」興奮気味のザキさん
「いやぁ、やれっちゃぁやりますけど、犯人役の人、大丈夫かな〜って」ほんとにブッ飛ばしっちゃったら、ひどいことになるんじゃないかな

「大丈夫。ちゃんと一流のスタントマンにやってもらうし、衝撃吸収マットとかも用意するから」
「どう?このあと、ちょっとリハお願いできそうかな?」フロアDのトクさんが、予定通りって感じで、話に入って来る

「俺はいいですけど」俺自身も興味が湧いて来たんで、前向きな顔で返事する
「じゃあ、皆さん、下の第3スタジオに行って頂けますか」ザキさんが、いいノリで皆を促す

第3スタジオは『ニュースバラエティ 午後だよGo!Go!』の専用スタジオだ
そこに行くと、すでにリハの用意が出来ていて、壁面の手前に大きなネットと厚いクッションが敷かれている

「スタッフの皆さん、確認します。犯人役はNAT(日本アクション隊)の遠ケ峰剣次郎さんと窪野刃さん。アクション指導は、堂上譲二さんとなっていますんで、よろしくお願いします」フロアDの徳山さんが仕切る

俺は、これまで1〜2回テレビに出たことはあるけど、ほぼほぼ台本があって、キャスターの人が話しかけてくるのに、返事するくらいだったから、こんなリハとかは初めてなんで、なんかどきどきして来た

ちょっとぼぉっとして立ってると、ふわっと駒ちゃんの匂いがして「大丈夫、勇太郎さんならできるよ」って、囁き声が聞こえて、ちゃんと大丈夫になれた

「じゃあ、ちょっと予備アクションですけど、超人ランボーの力がどれくらいなのか、遠ケ峰さんと窪野さんに把握してもらいたいんで、あの日のアクション1の銃を持った犯人Aに体当たりかますのと、次に銃を持った犯人Bを張り手で横に吹っ飛ばすのをやってもらえますか」ええっ、いいのかな

「もちろん、本気じゃなくって手加減してくださいよ」殿倉さんが、笑いを取る風に付足す
「わかりました。それじゃあ」ってんで、二人のスタントマン役者さんにお辞儀して、とにかく演ってみた

まず、あの日のあの場を思い出しながら、まず猟銃のモデルガンを持って脚立台の上で仁王立ちの遠ケ峰さんに向かって、床から軽く飛び出して胴タックルを決め、その勢いのままクッションの上に一緒に落ちてみた
posted by 熟年超人K at 15:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説