2022年10月03日

ランボー超人Bの物語-15 こりゃヒーロー誕生か?!A

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えっ、香澄といえばカスミン!
なにを隠そう、俺は昔っから大フアンであった。FC会員証も持っている!
さっきのマミちゃんは、見てフツーに可愛いなって思えるんだけど、カスミンは全然別格!

多分、今、あそこらから出てきたら、俺、感激してどうなっちゃうかわからん。それくらい
駒ちゃんも大事だけど、こういうのは比べられるもんじゃないんだ

あれは俺が東京と言っても、都下にある三流大学に入った頃、学祭のゲストで来た新人女優さんが、雪村香澄だったのだ
大部分のフアンがユッキーとか呼んでたのを、へそ曲がりの俺は“カスミン”って呼んでた

今カスミンって言えば、別のスポーツ選手になるけど、あの頃からカスミンて言えば、香澄しかいない
まだ新人女優で、司会とのやりとりは初々しかったけど、なんていうかオーラがあったんで、俺は惚れた

でも、三流大学のパンピーだった俺と、カスミンなんて接点あるわきゃなくって、後は映画かテレビドラマで観るだけだった
それでも、ずっとフアン気分でいられたのは、俺の中のなにかとカスミンの見た目と波長が合ってるからかな

なんか語っちゃったけど、これは部屋に残った俺が、ほんの一瞬考えたことを思い返してのことだけで、実はさばさばと、この局からさよならして、渋谷のマンションに飛んで帰ったんだ

帰るとパソコンの方にメールが届いていた
警視庁って言うことは、星崎さんか成森さんだなと思って、クリック

送信者は、総務部人事一課の勝呂克己さんっていう、全然知らない人だった
<週明け 20日14:00 本庁11階B 人事1課に登庁して下さい>と、なっているだけのメール。は〜ん、って感じ

それでもなにか嫌な予感がしたんで、一応電話し易い成森さんに電話してみた
電話の返事は「俺はなにも知らん。課長も知らないと思う。あそこからの呼び出しは、できるだけ話に逆らわずに、はいはい聞いとくしかないから」それだけ言って、電話は切れた

こりゃあ、いい話である訳ないなって思ったんで、最悪、半グレ退治で怒られるんなら、辞めてもいいかって、覚悟決めた
まあ、大分有名になったから、どこかっから声が掛かるかも知れんし、雄仁塚建設に戻るのも有りか

そこまで考えて、あれっ俺って超人じゃん、なんで仕事先探さないと、って考えてんの?って笑っちゃった
そりゃ、このマンションの家賃とか、飯代とか心配だけど、なんとかなるんじゃないの超人なんだから!
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2022年09月20日

ランボー超人Bの物語-15 こりゃヒーロー誕生か?!@ 

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これでジョーが俺のこと喋ってるってわかったんで、一応お礼だけ言って、お別れしようとしたら、このマミっていう娘は、それじゃあ満足できないって感じで、俺の手にしがみついてきて「ねえ、今度、マミをお空に連れてってくんない?」ときた

いやいやいや、それはないでしょ、って俺の頭ん中に駒ちゃんが浮かんで、猛烈に首を振ってる
「いや、危ないからそれは無理だわ」って、なんだか俺たじたじしちゃってる?

「ふ〜ん、ダメなの。そっか、もう誰かいい女(ヒト)いるのかぁ。じゃあ、2番目でいいから、余裕ができたらマミたんも、よろしくねぇ」なんとなんと、これって、アレなの?

絶対、俺より年下だろーに、ぐいぐい来るなぁ
「また、遭えたらね。そんとき、考えるってことで」とにかく、なんか変な約束しちゃわないうちに、ここからバイバイしよう、って腰を浮かせたそのタイミングで、金ブチ眼鏡が登場

「どうですか、お話は弾みましたでしょうか?マミさんは、まだエンディングがありますから、そろそろよろしくですよ。超人ランボーさんは、もう少しお話伺いたいので、よろしくお願いいたします」先に釘を刺されてまった

「今日はありがとうございました。けど、俺はTテレ以外の局には、出られないような契約交わしてるんで…」こっちも先手打って、とにかくライバル局同士のごたごたに巻き込まれたらいかん、って思ったんだ

「ふーん」と言って板倉Pが、右手の人差し指をかなり高い鼻に添え、L字にした親指を顎に当ててカッコつけのポーズとってから「超人ランボーさんなら、そんな契約なんて関係ないでしょう」って、決めてきた

「あ、いや、俺は約束ごとは守りたい方なんで…」っていうか、なんかその言い方が、気に入らないんだよね
「おお、そうなんですか、それはすばらしいお心がけですね。なんか最近は、そのあたりが結構ごたごたしてましてね。ウチもいろいろフレキシブルに考えられるようになってるんですが」

「わかって頂ければ、いいんで。じゃ、俺はこれで」マスクしてるんで、俺のほっとした笑顔は見せられなかったけど、案外いい人なんかな、この金ブチ眼鏡さん

「ウチは、超人ランボーさんみたいに、正義のために一般市民を守ろうとしている方には、そんな契約なんて、考えませんよ。だって、超人ランボーさんは、国民みんなのスーパーヒーローなんですから」おっと、そう来る

もう立ち上がりかけてた俺は、なんとなくまた腰を下ろしてしまった
絶対、裏があるんだろーな、って分かってたんだけど、ついつい話の続きがあるんなら、聞いた方がいいかなって思っちまった俺の心の動きは、マスクしてても見えるのか?

「あ、いや、すみません。まあ、もしも、もしもですけど、Nテレに寄ってみてもいいかな、という気分のときは、お気軽にこの板倉に言ってください。受付のメンバーには、超人ランボーさんは、いつでもフリーパスだと言っておきますから」と言って、すごくいい笑顔を見せた

「そうそう、さっきのマミさんもですけど、ウチの木曜ドラマの出演者の雪村香澄さんも、超人ランボーさんのフアンだって言ってましたから、もしお会い頂けるのなら、セッテイングしますので。それでは」って、新しい餌を撒いて、立ちあがると会釈して帰りのドアを開けてくれた
posted by 熟年超人K at 22:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説

2022年09月11日

ランボー超人Bの物語-14 正義なんだから暴れ放題E

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テレビ業界ってゆーとこは、どこも同じようなもんだと思ってたけど、この局はTテレよりもちょっとお高く留まってるような気がする
この金ブチ眼鏡の印象のせいなんだろうけど、コーヒーを出してくれた女の人も、かなりつんつんしてた

いや、そんなことはどうでもいいや、と思った(別に来なきゃいい訳だし)んで「で、そんなことより、結局あの娘に会わせてもらえるんですか、ダメなんですか?」って、上から喋りで強気に出てみた

「あ、そうですね、それがご訪問の主題だったんですよね。すみません、もう少々お待ち願えませんでしょうか」って、また、はぐらかしか
その時、ドアがバッって開いて、ステージ衣装のままの女の子が飛び込んで来た

「お待たせしましたぁ!、プロデューサーさんっ」息はあはあで、赤い顔して、汗一杯の額に髪の毛が一房張り付いてる女の子は、一生懸命なのがそのまんまで、まぶしく輝いて見えた

「ああ、ご苦労さまですマミさん。こちらは今話題のヒーロー、超人ランボーさんです。なにか貴女にお話があるそうで、ウチの局にお出でになったので、貴女に来て頂いた訳なんです。それでは、私は別室に引っ込んでますので、どうぞランボーさん、ゆっくりお話を」って、言うと、軽く会釈して、部屋を出て行った

ばかっ丁寧なのは好きじゃないけど、案外いい人なのかも、って俺はデータを書き換えた
板倉Pさんが出て行ったので、彼女は俺と二人っきりになって緊張してるように見えた(変なフアンが出て来たと思ってるんじゃないかな)

「すぅっごぉーいぃ!本物のちょーじんランボーさんじゃないですかぁー!マミたん感激ですぅハート」って、こんなキャラだったのぉ

「えっとぉ、今日、俺が逢いに来たのはですねぇ…」なんか調子が狂ってる俺
「あっ、そーかぁ、さっきマミが、ちょーじんランボーさんのこと、テレビで喋ったから、なにか間違ってるとこあるよ、って教えに来てくれたんですねぇハート

いやまあそうだけど、いやそうじゃなくって、ちょっと誰から話し聞いてるのか、それだけなんだけど…
俺は、なんかどぎまぎしちゃって、話すに話せない状態になっちまってる

「い、いやぁ、間違ってるとかじゃなくって。ほら、あの事件に俺が関わってるって、友達から聞いたって」
「ああーそれかぁ。そですよね、なんかまだ言っちゃいけないこと、マミが言っちゃったって、それで叱りに来たんですねぇ。ごめんなさい」と舌ぺろ…う〜ん可愛い!!

「だから、叱りに来た訳じゃぁなくて、ですね、その話を教えてくれた、お友だちって誰なのか、教えて欲しいだけなんで…」これじゃあ、こっちがおどおどしてるみたいじゃんか

「お友だちのジョーはぁ、城崎くんだからジョーなんだよね。あの子、金髪にしちゃってるけど、パパは、しゃちょーなんで、割とお金持ちなんだよね。ランボーさんと最近、ダチンコになったって、自慢してたよ」…なーるほど、そうだったのか、やっぱりあいつが喋ってるんだ
posted by 熟年超人K at 15:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説

2022年08月27日

ランボー超人Bの物語-14 正義なんだから暴れ放題D

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彼女がご案内してくれたのは、1階ロビーの奥の部屋で「こちらでちょっとお待ちください」なんて、ドア開けて笑顔で言われたら「はい」って言うしかないよな

ちょっと、って大体何分くらいのことを言うと思う?
普通5分か、長くても10分くらいだと思うよね
10分経っても誰も来ないんで、なんだよこれって、部屋の椅子に座ってる俺、大分怒れてきたぜ

そのタイミングで、コンコン…ドアをノックする音
はい、って言って椅子から立ち上がると、ドアを開けて入って来たのは金ブチ眼鏡の(いかにもな)洒落男

「初めてお目にかかります。私、ロックライブの番組プロデューサーをしております板倉伸克と申します。本日は、当番組にご興味をお持ちで、わざわざお越し頂いたとのことで、光栄の至りでございます」なんなの、この人、めちゃキャラが立ってるわぁ

「すみません、俺、番組に出たくて来たんじゃなくて、さっき演ってたロック調のアニメ曲の歌手の方に逢いたくって」ごちゃごちゃ言わずに、ストレートに言ってみた

「ブルードラゴンズのマミのことですね。それで、あの娘の話の内容について、抗議にいらしたという…」
「違う、違う!そうじゃなくて、ちょっと話を聴いてみたいだけなんで…」俺は、慌てて手を振りながら否定

「ほう、そうなんですか。で、お話と言うのは…」なんだか丁寧なんだけど、ちゃんと話してくれてない感じ
「だから、彼女に逢えれば、直接話しますから」段々、めんど臭くなって来たし、いらいらが溜り始める

「どうなんですか、彼女まだ局に居るの?」後ろを振り返ると、今まで居たことに気付かなかった影の薄い人物に話しかける金ブチ眼鏡
「まだ居ると思いますので、連絡取ってみます」妙にへこへこした感じの、細面のDだかADらしい人が、ちょっとドアに近づいて、スマホで誰かに連絡し始めた

「まだ出番があるんで、終わってからでいいですか、って言ってますが」細面が、金ブチ眼鏡に報告する
俺としては、どーでもいいんだけど、とにかく、この金ブチ眼鏡さんがいない所で話したいんだけど…

「どこか、お会い頂くお部屋を設けましょうかね」なんか、勘違いしてるのかも
「それはいいんですけど、俺としては、ちょっと訊きたいことがあるだけなんで…」一応、下手に出ておく

「では、超人ランボーさんとしては、今しばらくお待ち頂けるお時間がおありになる、ってことでよろしいんですね」って、なんだか変な念を押されたぞ
「ええ、まあ…」って俺もなんとなくもやっと答えると、それではこちらでどうぞ、と別の部屋に案内された

その部屋は、エレベーターで12階ほど上ったフロアにあって、ちょっと重い感じの木のドアの向こうにあった
なんか、ジャガーズの居た部屋みたいだな、と思ったけど、もちろん黙って中に入った

部屋の中もジャガーズっぽくって、重そうな革張りの応接セットの奥の席を勧められた
金ブチ眼鏡も俺の向かいの席に腰を下ろすと、いかにも重役秘書みたいなキャリアウーマン代表みたいな女の人が、コーヒーを持ってやって来た

「あっ、すいません、お砂糖とミルクお願いします」って頼んだ俺は、甘くないコーヒーは苦手な人だった
すぐお持ちします、って出て行くキャリアウーマン代表の、よく動くお尻から目が離せない俺はセクハラか?

「ところで、このところ超人ランボーさんのご活躍が目立っておりますねぇ」なにか裏がありそうな喋り方だ
「目立ってますかねぇ」「いやいや、ネットもテレビも持ち切りじゃありませんか」なんか、話が弾まない

話しがうまく噛んでないっていうことは、俺でさえ思うんだから、神経質そうなこのプロデューサーさんは、かなりストレス感じてるんだろーな

「で、お話なんですが、この機会に当局の番組で、ランボーさん、いや超人ランボーさんの思うところを語って頂く、というのはいかがでしょうか」…ほら、やっぱりそう来るよな
posted by 熟年超人K at 17:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説

2022年08月18日

ランボー超人Bの物語-14 正義なんだから暴れ放題C

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中高の頃の俺は、毎日帰宅部のしょぼいパンピーだったし、大学も別に規則なんてないようなもんだったんで、自宅謹慎なんて初体験だった
なんだか、不良が暴れる漫画の主人公みたいで、少し興奮したけど、なんてことない、ただマンションの部屋でごろごろしてるだけしかないのか、ってじきに飽きちまった

仕方ないんで、テレビを点けた(ノートパソコンもあるけど、ネットよりテレビが好きだった)
が、そうそう自分に関係した番組を映っているわけでもなかった

なんだか、自分に関したニュースが取り上げられていないとつまらないんだって、俺は気が付いた
有名人になるって、こういうことなんかな、なんて、偉そうに思った

で結局、ノートパソコンを開いて、ネットサーフィン(古!)して、エゴサーチとかしてみた
最初は『渋谷暴力事件』でチェックしてみる。いろいろ騒がれてるけど、俺のことまでは出てない

次は『超人ランボー』で検索した。結構あったけど、以前のニュースからのものだけ
ひとつ、“一緒にビル解体やったけど半端ないパワーだった”…ontkってのあった(…雄仁塚の社員だな)

3つ目に念のため『上辻曲勇太郎』もググってみたけど、こっちはほとんどなんにもない
その辺りで、俺、飽きちまったんで蓋を閉じて、ついでにスマホのチェック…誰からもなんのメールもない

窓開けて、どっかに飛んでっちまえばいいんだって、分かってるけど、小心者だからかそれもできない
なんとなくまたテレビ点けて、ぼんやり観てると歌番組をやっていて、最近よく耳にするアニメのテーマソングを歌ってるロックバンドのボーカルの娘が、MCの質問に答えて最近感動したことを話してた

「あの渋谷のすごい事件って、超人ランボーさんがやったって聞いて、ほんとの正義の味方っているんだって感動したの!」…はあ?なんでそんなこと言う?!
MCのお笑い系有名人も困っちゃって「へぇ〜、MAMIちゃん、そんなことどこで聞いたの?」

「お友だちから聞いたんだけど、あれ、これって言っちゃいけないことなんだっけ?」ちょっと首傾げて、舌をぺろってしたのは可愛いんだけど…

「そんなことはないんだけど、本当かフェイクかはっきりしてないことだったら、ちょっとね!」ここで急にCMに切り替わっちゃったんで、余計に本当らしい感じになっちまったじゃん

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お友だちって誰だ、って反射的に思った
俺があの夜の主人公だって、確実に知ってるのは警察とジョーしかいない
俺を自宅謹慎にしてる警視庁が、そんな話をリークする訳ない。まして、あのアニメソング歌手に

接点だってありそうだ。タイプも似てるし(軽いとこ?)
大体、ジョーって誰なんだ?呼び名だけで、本名かどうかだって分かってない
そいつに俺は、正体明かして、名前までぺらぺら喋っちまってる

まあ、放って置いたって同じって言えば同じなんだけど、あのアニソン歌手さん可愛かったから、逢って話を聞いてみたいミーハー気分がむらむら湧いて来たんで、俺は、テレビ局目指して、今すぐ行ってみることにした
だって、俺、超人なんだから、こういうのもありなんじゃない?

なんてったってライブって言うんだから、今すぐブッ飛ばせば逢えるんじゃないかってことで、超人ランボーの服、大急ぎで着て、ベランダからひとっ飛びー!
ところが、いつも行ってるTテレじゃなかったから、場所を知らないことに気が付いた

なんとなく中央区目指しちゃったけど、しょうがないんで、目立ってる六本木ヒルズ(俺でも知ってる)の隣の赤茶色のツインビルの屋上にちょっと降りて、スマホで今やってる音楽番組をググって、ライブ中を確認してそこがNテレだって分かった

で、本社ビルの位置を調べて、港区東新橋に直行した
屋上から入るか、1階入り口から入るかちょっと考えて、1階入り口から入ることにした
そっちの方が、今日の番組案内みたいなのがあると思ったからだ

なんかすごくでかい時計(宮崎駿のデザインなんだって)の下をくぐって、ビルの中に入った
だけど、俺の恰好は超人ランボーな訳で、空から入口前に降り立った段階で、観光客とかが注目してるのが分かったし、警備員の人やインフォメーションの女の子もじろじろ見てる

マスク被ってるんで、そんなに恥ずかしくはないんだけど、次、どうしたらいいか分からなくなっちまって、俺、直立不動状態
「あのー、どちらに御用でしょうか?」そんなフリーズ状態の俺に、救いの女神さん登場!

「あの、アニメソングをライブで演ってるスタジオって、どこでしょうか」ちょっと、我ながら間抜けな質問
「ああ、ご出演の方でいらっしゃいますね。ご案内しますので、どうぞ」…おおっ、優しい!
だけどその時、彼女の同僚が電話してるの、見落としてたんだよね
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2022年08月04日

ランボー超人Bの物語-14 正義なんだから暴れ放題B

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次の日は警視庁に当庁しなきゃいけない日だったんで、夕べのことなにか言われなきゃいいけどなぁ、って心配しながら出かけた
いつも通り、入口でチェックを受けて、なにもないときはSIT隊員が集まってる部屋に入ると、皆がざわっとしたのが分かった

あちゃー、って心の中で言っちまったけど、もち口からは出してない
自分の席に行くと、机に『1課長がお呼びです』とメモが貼ってあるじゃん(また、あちゃー、だ)

1課長の星崎さんには専用の部屋がある
恐る恐るドアをノックして「上辻曲です。入ります!」…この言い方にも慣れたナァ
「どうぞ」って、星崎さんの返事。声だけじゃあ、機嫌が良いのか悪いのか分からない人だけど、今日は分かる。悪い。って言うか、すごく悪い!

「昨夜は大活躍だったようですね」目線をデスクに落としたまま、トーンを上げないように抑えて喋ってる

「二つの現場に、君の指紋がべたべた有り、防犯カメラにも沢山録画されてました。重症者だけでも二十数人。死者がなかったのが不思議なくらいだと、鑑識の意見報告が出ています
建物内部の損壊も激烈で、渋谷で幅を利かせている半グレ集団同士の抗争としては、最大規模のものだった、と発表しておきましたが、マスコミの裏読みでは君の仕業じゃないのか、ともっぱらです」こんなに沢山喋る星崎さんは、見たことない

「上辻曲君、私は君の正義感と、スーパーパワーを活かす場として、SITの特別要員の席を用意した積りです。総監も私の意見具申をもっともとして、現在があるのです。法治国家としての日本では、ハリウッド映画のようにはいかないのが、現実です。君の今後について、これから関係部課長会議で検討しますので、結論が出るまで、自宅で謹慎するよう命じます。以上!」やっぱり、怒ってるよなぁ

席に戻ると、部屋に居る皆が、俺を見ないようにしているのが良く分かる。俺は「お騒がせしました。どうもすみません」って、形ばかりのお詫びをして、さっさと自分のマンションに帰った

いつものように、有楽町線と半蔵門線を乗り継いで渋谷に戻ったが、電車の中でもスマホを見ている乗客が、ちらちら俺を盗み見してる気がして、落ち着かなかった

やっぱり電車とか、普通人っぽくしてると、なんとなく世間の目とか、評判が気になってしまうもんだ
超人なら超人らしく空飛んでればいいんだけど、心のどっかで普通人の俺の時間が大切なんだって思ってる

マンションに戻って、テレビ点けて、午後のニュースショー観ると、どの局でも『渋谷の2大半グレ集団、深夜の大抗争!!』ばかりだ(もち、タイトルはちょっとずつ違ってるけど)

さすがにTテレの“午後だよGo!Go!”は、警視庁発表を、ほぼそのままなぞった無いようだったけど、他の局は、それだけでしょうか?とか、裏に隠れた真実は?みたいな番組構成になってる

俺は、チャンネルを次々変えながら、各局のニュースショーを見比べた
さすがに、俺がぶち壊した半グレのアジトの中の様子は、どっちも規制線が張られているんで、カメラは中に入れず、コメンテータが建物の外からリポートしている状態で、それを局に集められている“専門家”や“評論家”が、がやがや言ってるのが多かった

あっちこっちチャンネルを動かしてると、知った顔が出て来た
ジョーに逢ったとき、コンビニ前に群れてたうちのJK二人だ

「それで、その変なおじさんが、この辺の有名な半グレたち知ってる?って訊いて来たわけぇ」
「そうそう、あたし、ユーチューバーだと思っちゃってぇ、ほら、いるでしょ、格闘家のユーチューバー」

「そう思ったんですね。それで、あなたが教えてあげたの?」女のレポーターが質問する
「まっさかぁ、あたしたち知ってる訳ないじゃん」「それであいつが出て来たんだよね」「そうそう」

「それが、半グレの仲間?」「えーっ、どうかなー。あの人、そんなに危ないやつじゃないよねぇ」「そうそうパンピー」「でも、半グレの仲間の処に、おじさん行ったんでしょ?」「わっかんない」「そうそう、あたしらだって、やばいことになるのやだしぃ」「もう、ばっくれちゃったもんね、みんな」

その後、マイクはスタジオに回ったんで、ジョーのこととか、JKが言ってたおじさんが、事件に関わってるかどうか、わからないままになったけど、どっちにしても俺の正体は警察にはばれてる訳で、後はジヨーが自分から名乗り出たりしたら、ちょっと白を切り続けらんないだろーな、とかいろいろ考えちまった

テレビに出て、超人ランボーの中の人が俺だって、もう明かしちゃってる訳だし、誰かが俺だって気が付けば、あれやったのは俺だって分かることは、覚悟しとかないと、ってちょっとは落ち込んだけど、まあそうなりゃそうなったときだな、って立ち直りが早いのが俺のいいところじゃん
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