2023年09月25日

ランボー超人Bの冒険−22超人なんでC

「それって、前にも同じような話があったけど、結局そんなに都合よく事件とか出て来ないんで、ボツになったんですよね」俺的にも、振り回されて放り出されたって印象がしっかりあるんだよね

「ああ、あのときは申し訳なかったですね。こちらも、貴方の超人ぶりというか、バックボーンが把握仕切れてなかったもので、取材から公開までの道筋が読めてなかったんですよ」って、御香山さんがマジ顔で話す
「それって、影の大物さんのこと言ってる?」御香山さんと冠沢さんが顔を見合わせて、もやっと微笑む

「まあ、いいんじゃないの。これからは、上辻曲さんの好きなように“悪”を懲らしめていいんだから」殿倉さんがマジ顔で、俺を見つめ、ザキさんや駒ちゃんまで、そうそうって言う感じで、首を縦に振ってる
俺もそろそろ大人にならんきゃっていうお年頃なんで、意地張ることもないなって思って、うんって頷く

「それで、何をどうすりゃいいの?」って切り出すと「そこなんですが、この打合せが無かったとして、貴方がやろうとしてることがあれば、それ話してくれませんか?」CDのザキさんが、逆にこっちに訊いてきた

「まあ、ブルードラゴンズってパンクバンドとトラブってる、ジャガーズって半グレグループがあるんだけど、そこをぶっ潰すつもりなんだ」なんか、正直に喋っちまった

「そう、じゃ、そこマークするようにね野木崎君」って殿倉さん
「マークって、俺、勝手にやらせてもらうけど」
「オーケー、OKですよ上辻曲さん。貴方の好きなタイミングでやってもらって構いませんよ」御香山さんが、片目つぶって指でOKサイン出すのが不気味でしかない

こりゃよっぽど、あの大物さんが保証人が効いてるんだなって、思った
「それでね、超人ランボーのコスチュームだけど、新しいの作ったんで、それ使えたら使ってやって」「今までのよりずっと丈夫だし、耐火性能も向上させましたから」御香山さんと殿倉さんが、いいンビネーションで喋ってる(不仲っていう噂は嘘だって確定)

「この後、駒沢ADが案内しますんで、衣装部に行って高取と打合せよろしくお願いします」ザキさんが付足す
駒沢ADが案内しますんで、ってわざわざ言うのもどうかと思うけど、局内で駒ちゃんなにか困ってるのかな
とか、俺の心の中ではもぞもぞするものがあるんだけど、それより新しいコスチュームがどんななのか、そっちも気になって、俺は腰を浮かした

「それでは、この後は企画会議になりますんで、新しいコスチュームでのご活躍、お祈りしてますよ」って、御香山さんが締め括ると、皆拍手して俺を送り出してくれる
会議室の外に出ると、別の出口から駒ちゃんが出て来て「お疲れさまです。衣裳部にご案内します」って、他人行儀ってこういうのだよ、って感じで駒ちゃんが俺の前を歩きだす
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2023年09月20日

ランボー超人Bの冒険−22超人なんでB

俺としては、駒ちゃんっていう人がいるから、マミちゃんのメールは嬉しくもあり困ったもあるんだけど、これまでの人生でモテたって経験があんまりない(って言うか、ない)もんだから、心の中のエマージェンシー駆けつけリストに、一人加わったって感じだった

もし、こっちのビルで火事に遭って、窓から駒ちゃんが助けてーって叫んでいて、あっちのビルで悪い奴に襲われてるマミちゃんがいたら、どーする!?とか、考えてる俺は、自分でもしょうがない奴だなって思う
だけど、実際にそういうようなことが起きたら、俺ってどうしたらいいんだろ、って考えちゃう俺がいる

変なこと考えてたせいで、俺は夢の中でもどっちにするのか悩んでるみたいな、意味深な夢を見た
西武拝島線なのか中央線なのか、よくわからない電車に乗ってる俺は、降りる駅が分からなくて困ってる
どこかの駅に電車が着いたのか皆降りるのに混ざって、俺も降りるがどこの駅か分からない。乗り継ぎが書いてあるんだけど、字がよく見えなくて駅員さんを探すが…っていうような、訳が分からん夢だった

まあ、今の俺の深層心理って奴なんだろな、って自分で納得して終りなんだけど、俺って単純?複雑?
それでもちょっとしたら、いつもの俺に戻ってトーストと牛乳の朝飯食ってる。で今日は、Tテレの御香山さんと逢う日だけど、卓上カレンダー見たら日曜日じゃん!いいのかな
そうは思ったんだけど、確かに明日会おうって言ってたから、俺はTテレ本社ビルに行ってみた

最近はもう、わざわざ超人ランボーの服は着ないで、まんま普通の恰好で飛んでっちゃってる
だから、局の受付に言ったときには、一般の見学者と間違えられるかもって思ってたけど、俺もさすがに有名になったのか、すぐに御香山さんに連絡してくれて、びっくりなことに、御香山さんがすぐ下りて来た

「やぁー、やあ、やあ、ようこそお越し下さいましたぁ。日曜ですけど、良ろしかったんですか」…って、呼んだのそっちじゃん
「そうそうですよね、日曜日にお出で下さいって私がお願いしたんですよね。皆、上階(ウエ)でお待ちしてるんで、行きましょうか」まあ、連いてくしかないよな

会議室に俺が御香山さんと一緒に入って行くと、0形になっている席から皆が立ち上がって、いっせいに拍手するんで、大びっくりだった
メインキャスの殿倉さんが、どうぞこっちへみたいに手招きしてるんで、俺も素直にそっちに行くことになる

知ってる顔は皆居て(駒ちゃんも居る)、他の見たことない人は、服装からするとカメラや音声、照明なんかの技術スタッフさんだろう
「どうも、わざわざお越し頂きまして、感謝に堪えません」って話出したのは一回だけ見たことのある冠沢とか言う報道局次長さんだ(顔見て名前が浮かぶのは超人になってからだ)

「実は、今回番組改変があって『ニュースバラエティ 午後だよGo!Go!』が、より報道色の強い番組『切り込め!その核心に』に衣替えすることになって、その中に上辻曲さんの活躍を追う『超人ランボー』コーナーを作ったらどうだろう、という機運が盛り上がりましてね。ぜひ、ご本人のご意見を伺おうじゃないか、ということになり、この場にお招きした次第なんです」殿倉さんが、すらすら説明してくれる

「え…っとぉ、それって俺はどうするんですか。北海道でヒクマやっつけたときも、後で、いろいろクレームがあったってことで、番組がうまくいかなかったんですよね」一番引っかかってたことを、ぶつけてやった
「ああ、あれですね。いやいや、ランボーさんにはご迷惑おかけしてしまって、申し訳ありませんでした」御香山Pが、そんなに申し訳ないとは思ってない感丸出しの顔で、俺に頭を下げる
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2023年09月13日

ランボー超人Bの冒険−22超人なんでA

俺って超人なんで、酒とか酔わない(多分毒飲んでも平気じゃないかな)はずなんだけど、このときは結構酔った感じになって、皆で歌とかも唄って、ご機嫌になっちゃった
「上辻曲さんってお呼びした方がいいんですよね」急に、山下さんがマジ顔で話しかけてきた

「どっちでもいいっすよ、かみつじまがりでも、ゆーたろーでも、ランボーさんでも」酔ってる(感じの)俺の口から、調子のいい言葉が勝手に出て来る

「ゆーたろーでいいじゃん!」って、マミちゃんが話に入って来ると「オレはランボーさんかな」トンガリさんが続く「オレもランボーさんに一票!」なんだか、皆、言いたい放題になっちゃう

「わかった、わかりました。ランボーさんってことにさせてもらいます!」山下さんがばちっと決めて、呼び方問題は終了になった
「それで、ご相談なんですけれどランボーさん」山下さんのマジな雰囲気が伝わって、皆も静かになる

「わたしたちが、あいつらに狙われてることがはっきりした以上、どうにかしないといけません。でも警察は、この段階じゃあ、この辺りのパトロール巡回を、多めにするしかできないらしいんです」はあ…
「つまり、オレらは、ランボーさんだけが頼り、ってことなんっすよ」リーダーが続ける

「わかりましたっ、ブルードラゴンズの皆さんは、俺が守ってやりますよっ」って、安請け合いしちゃう俺
「ありがとうございます!皆も、ランボーさんにお礼言って」山下さんが、感激って感じで、俺の手を取って頭を下げる。メンバーも続くけど、マミちゃんだけちょっと離れたとこで、少し怒ったふぐ状態

「あたしのランボーさんなんだからぁ…。まあ、しょうがないからいいにしたげる。ゆーたろーさん、皆のこともよろしくね」…俺としては、なんか笑って頷くしかないってか

その後、山下さんが、できるだけ早くここを引っ越すから、とりあえずの物だけ持って、さっき予約しといたビジネスホテルに移動して、ってことになり、部屋が分かってなさそうなマミちゃんだけは、荷物が多過ぎて運べないから、次の合宿所が決まるまで今の部屋に住むことになった

結局、夜中になったんで、俺は自分のマンションに引き上げ、バンドのメンバーは予約したホテルに、山下さんは自分の家に帰ることになった
マンションに着いたら、マミちゃんからメールが来てて、部屋番号と“よろしくマイボディガード〜ハート”ってなってた
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2023年09月07日

ランボー超人Bの冒険-22超人なんで@

「あ、はい、わたし。マミちゃん大丈夫?…ううん、こっちは皆、大丈夫よ。ランボーさんが来てくれたの」どうも、電話の相手はマミちゃんらしい
「マミちゃんは無事だったんだね」つい訊いちゃう…「女の子の部屋は別フロアだから、安心だったんです」って、山下さんが頷きながら言った

念のため、警察が来て二人の侵入犯を運び出すまで、マミちゃんはこの部屋には来ないようにしたみたいだ
警察の事情聴取は、リーダーと山下さんが警察署に行くことになって、俺は、なぜか少しいきさつを訊かれただけで、連絡先だけ教えたら、もうそれでいいってことになった(やっぱりあの大物さんが陰で動いてるのか?)

トンガリさんとグンタイさんが部屋の中を片付けてると、ピンポーンってチャイムが鳴って「やっほー、元気ぃー」って、あんまり元気じゃない声がして、マミちゃんが部屋に入って来た
「リーダーと山下さんがケーサツに行ってる」ってトンガリさんが、やれやれみたいな感じ全開でマミちゃんに補足する

「わぁー、窓無いじゃん!風、ぴゅーぴゅー入って来るねぇ」マミちゃんが、笑い声混じらせて言う
「ごめん、俺がぶっ壊しちまったんだ」そう言うと「いいよいいよ、この人たちいっつも暑いって言ってるから、ちょうどいいよ」また、マミちゃんが笑って言うと「そうっすよ、俺ら助けてもらってありがとですよ」ってトンガリさんが言葉を足す
でも、グンタイさんは散らばったガラスを破れたカーテンに乗せながら「ここ出てった方がいいな…」って、ぼそっと呟いた

「あいつら随分しつこいんだな」って俺が言うと、「なめられちゃうと、やってけないから、ケジメは取りたがるんすよ、あいつらは」トンガリさんが、吐き捨てるように言う
「俺、あいつら全滅させるから」って、言葉で出ると、ほんとにそうしなきゃって気になる

「全滅させるの!?…でも、それって大変なんでしょー」ってマミちゃんが話に入って来る
「あいつら、数、多いらしいっすよ。ジャガーズって、その上の組織もあるらしいし。全滅、は無理っしょ」
「潰すんなら、最低限、頭の東条は外せないし、前、ランボーさんがやっつけたこともあって、居場所を分からんようにしてるみたいだし…」トンガリさんもグンタイさんも、話しに入って来た

「あいつらの本部みたいなとこ、知らない?」マミちゃんたち三人は顔見合わせて、首、横に振る
「ねえ、調べようよ。巣が分かれば、ユータローさんがやっつけちゃってくれるんでしょ。だったら、どうせあたしたち、あいつらに目付けられてるんだから、なんかされる前に、ぶっ潰しちゃえばいいじゃん!」
男メンバー二人と、それに俺も顔見合わせて、大きく頷く(戸影さんとか、成森さんとかも力、貸してくれるかも)

その後、もう少し部屋を片付けて、遮光カーテンだけ引いて、やっと俺が持って来たビールとか、マミちゃんが買って来てた食料とかで、グンタイさんがイタリアンいろいろこしらえて、山下さんたちが帰ってきたころには、結構盛り上がってる状態になっちゃってた
posted by 熟年超人K at 16:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説

2023年09月05日

ランボー超人Bの冒険−21超人だったら悩まないI

「ムチャクチャなとこから入って来やぁがってぇー!」そりゃ確かにそうだ
「すみませんね、扉を開けてもらえなかったんで、こっちから入らせてもらいました」って、おちょくってみた
それ以上は話は省いて、もっと分かり易い方法をお互い選ぶことにした

Gジャンゴリラが、腰から振り出し式の特殊警棒を取り出して、しゃっと振って伸ばして構える
その後ろの兄貴分っぽい白ジャケット、白パンツ、白Tシャツの男はピストルらしき物を取り出した
もう一人、ドアの向こうで俺とやり取りした穴あきジーンズを穿いている痩せた男は、手にした黒い物をバチバチッとスパークさせて、にやっと笑った

どいつもこいつも大したことない奴らだな、と思った俺はさっと移動して、白ずくめ男に急接近すると、ピストルみたいな物を握っている腕を掴んで、銃口らしき部分を本人の腹に押し当てた
恐らく本人はまさか自分に撃つことになるとは思わず、俺の動きに反応して引金を引いたんだろう、次の瞬間銃口から発射された電極が本人に当り、ぎゃっと叫ぶことになった

本当は白ずくめを抱きすくめていた俺にも電流は流れたが、いつも通り俺にはなんの効き目もなく、発射した本人だけが痺れた訳だ(これはテーザー銃という離れたところにいる人間を攻撃できるスタンガンだった)
そんなこと考えてる間もなく俺は、次に強そうなGジャンゴリラの特殊警棒を持っている手を叩く

並の人間ならへっちゃらだったろうが、なんと言っても超人の俺に、手加減してもらえず手を叩かれたもんだから、腕の二本の骨(尺骨と橈(トウ)骨)がへし折れ、警棒だけでなく腕までぶらんとなってしまう
兄貴分が二人とも、あっという間にやられちまったんで、穴あきジーンズは持っていたスタンガンを床に投げ捨て、両手をホールドアップの恰好にして「降参、降参だよ、ほら、もうなんにも持ってないからぁ」って、大声で喚いた

「ありがとう、超人ランボーさん」「ありがとー!助かったぁ」って、山下さんとBDの皆が、感謝してくれてる
「皆、怪我してない?…マミちゃんは?」俺も訊きたいことあったんで、穴あきジーンズを無視して、なんでこうなってるのかとか、喋りたいこと口々に喋り出す
皆が夢中で喋ってるんで、穴あきジーンズがそぉっと部屋から逃げ出そうとしてるのを、俺以外は気が付いてない

部屋から出て行こうとするところを、さっと飛んで、通せんぼしてやる
「あっ、いや、みなさんお話されてるんで、俺、お邪魔かなって思いまして…」言い訳がこいつの得意技だな
「勝手に出てくなよ。ところでお前、名前なんて言うんだ?」呼び名が無いのは不便なんで、訊いてみた

「お、俺ですかぁ。たいした名前じゃないんで…。いや、言いますよ。ケンって言います。ケンは賢吾です、フルネームは松川賢吾です」こっちがなんか言う前に、自分でどんどん喋る奴だ
「ケンちゃんよ、お前ら、ジャガーズの者か?」そうだとは思ってたが、一応ちゃんと訊いとかないと
「あっ、違いますよぉ。俺ら、もっと下っ端なんで。ただのお使いの電撃三兄弟なんすよ」なるほど電撃か

「で、なんのお使いで来たんだ」そう訊くと、えへっと笑って「こないだのトラブルの後始末について、話しに来たんですよぉ」
「要は、仕返しされたくなきゃ、詫びを入れろってぇことか」こんな下っ端のめんどくさい話を、聞いてても仕方ないんで、ストレートに訊いてやった

「そらま、そう言やぁそうなんすけどねぇ。それより、初めて見ましたよ、人が空飛ぶとこ。こんな部屋ん中でも、すぃ〜って飛べるんっすね」話をそらすのが上手い奴は信用できない、って死んだ親父が言ってたな
「まあな。それより、お前ら電撃三兄弟とか言ってけど、あのタンクトップの奴は特殊警棒だったじゃないか。まだスタンガンとか持ってる訳?」「あのスティックが電撃食らわせれるんっすよ」…そうだったのか

「お話、まだしてるの?」気が付くと山下さんが傍に来てて、BDの三人も不安そうな顔で立ってる
「そうですね。警察呼んで、この連中、持ってってもらいましょうか」「えーっ、勘弁して下さいよぉ。俺、ケーサツには行きたくないっすよぉ〜」ケンが泣き付いてくる

「まあいいや、お前は逃げちまったってことで。どっちみち、お前一人であそこの二人を病院に連れてけないだろうから、あっちは警察に引き渡すぞ」
「はい、それでお願いします!俺は、恩は忘れないんで、またなにかでお役に立てられたらいいなって思ってます」…どこまでも調子のいい奴だな

警察が来るまでの間に、今回のことをBDの連中から詳しく訊いた
「マミちゃんから電話があって、東友でランボーさんと会って、リーダーの無罪放免出所祝いに参加してもらえるってなったから、ということになったの」山下さんが説明してくれる

「それで、マミは自分の部屋に戻って、着替えて来るって、俺が皆に話したんです」トンガリさんが続ける
「マミちゃんだけ、自分の部屋があるんですね」「そりゃあるわよ。こんな連中と同室になんかできっこないでしょ」山下さんが付け足す
「そこにピンポーンって鳴ったから、俺らてっきりランボーさんが来たんだと思って、ドア開けちまったんですよ」リーダーが、追っかけで説明する

「そしたら、あいつらだったって訳か」「です。だけど、なんで、ここが俺らの合宿所だって分かったのか、そこが謎なんすよ」チャロさんが、首を捻りながら続ける
そのとき、山下さんのスマホの呼び出し音が鳴った
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2023年08月30日

ランボー超人Bの冒険−21 超人だったら悩まないH

こりゃ突撃だなって思ったけど、弁償するならこの鉄扉より、ベランダの窓の方がいいんじゃないか、って考えが浮かんだんで、その線で行くことに決めた

俺は慌てて、さっき乗って来たエレベーターの↓ボタンを押しに戻る。運よくすぐにエレベーターが降りて来たんで、飛び乗る。先に乗ってたおっさんがびっくり顔だったが、構わず、1Fに着いたところで、おっさんより先にさっさと降りる(後ろで「最近の若いもんはマナーを知らんな!」ってぼやく声が聞こえた)

そんなことに構ってられん俺は、マンションの外に飛び出すと、一気に3階のあの部屋らしき空中に飛び上がる
その部屋の窓には白いレースのカーテンが引かれてるけど、俺には全く問題なく部屋の中の様子が見える
BDのメンバーが部屋の真ん中辺りの、低いソファに固まって座ってて、端っこにマネージャーの山下さんも居る
その傍に、デニムパンツ&デニムのGジャンって格好のゴリラっぽいでかい奴が立ってて、なにかがなってる

「どーしてあの女がいねぇんだよっ!」両手を広げて、大きくゼスチャーして山下さんを脅してる
「だから、今日は休養日だから、マミは友達と買物に行ってるんだよ!」グンタイさんの甲高い声が聞こえる
「うそをついちゃあ、いけねぇなぁ」別の男の声が被せて聴こえる
「嘘なんてついてねぇって!今日は、夜になんねぇと帰って来やしないんだって!」リーダーの声だ

大体呑み込めた俺は、カーテンも引かれてるから、窓ガラス突き破って突っ込んでも、皆に怪我はさせないで済みそうだ、って判断して、そのままベランダ無視して、空中から部屋ん中に飛び込んだ

つい顔を両腕でカバーして、飛び込んじまったんで、窓ガラスはどでかい音で、破裂したみたいに部屋の中に吹き飛んだ(カーテンあるって言っても薄いレースなんで、ほぼほぼ全部まとまって部屋ん中へ俺と一緒に、まとまって飛び込んだ

幸い、BDの連中は、ソファに座らされてて、背中側だったんでそんなにひどいめに合わなかったようだけど、窓の方に顔を向けてた侵入者たち(三人)は、結構悲惨なことになってる
顔中血だらけのGジャンゴリラ男は、顔面に刺さっているガラス片を抜き取りながら、血走った眼で、身体に巻き付いたボロボロのレースカーテンを、やっと払い落とせてすっきり顔の俺を睨んでる

「みんな、大丈夫?」って訊いた相手は、もちろんBDのメンバーにだけど、今まで凄んでた連中にも当てはまる訳で「馬鹿野郎、大丈夫な訳ある訳ないだろー!」って、なるほどな返事が返ってきた
posted by 熟年超人K at 23:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説