2022年11月30日

ランボー超人Bの物語-16 大体ヒーローじゃん@

やっぱりテレビの力は大きいって思ったな。初対面だったのに、なんとなく猪退治はOKみたいな感じ
「ありがとうございました」と頭を下げて、荘田君のところに戻ろうとしたら、吉岡課長さんが「それで、今回はランボーさんお一人で、猪退治をしてくれはるんですよね」って、なんか変な言い方してきた
「はあ、俺一人でやっつけるつもりですけど…」「銃とか罠とかも、使わはりまへんのですよね」
「そうですけど、なにかあるんですか?」「いやいや、ランボーさんの超人パワーでやってもらえるんなら、なんの問題もあらしまへん。どうぞ、お気張りやす」だって
「それって、俺が超人なんで、法律とか条例とか、気にせんでもいいってことですよね」「おっしゃる通り」
やっぱ、そういうことなんだ。でもまあいいや、だから俺が超人なのが役に立つんだからって納得

トイレの出入口の近くで待ってた荘田君に、両手で丸ポーズしたら、随分嬉しそうな顔になった
そりゃそうだろう、神戸まで来て、なんにもならんじゃ、局に戻るの気が重いもんな
「実は、市民の方に訊いてみたんですけど、新神戸駅の北側なら、割と出るんじゃないかって話なんっすよ」元気が出て生きた荘田君の情報だ
「そうか、じゃ行こうか」俺としてはノリノリって言うより、超人ランボーの姿に集まり出した人の目から、早く離れたかっただけだけど、荘田君はぐっとやる気が増した感じだ

人目ってぇのは、一度集まり始めると、遠慮がなくなるみたいで、本当に大勢の人が市役所から出発する俺らを見に集まって来たんで、地上走行じゃ危ないことも起きそうって判断で、また荘田君のバイクごと、空中に舞い上がった(わぁーって歓声が上がったんでいい気分)
荘田君が新神戸駅の絵を録りたいって言うんで、高さ1000mくらいからゆっくり降下して、駅北の人気のない処に着陸した
今度は、荘田君はバイク、俺は空中から猪を探すことにして、取材の開始だ

上から見るとじきに、猪が三匹道路わきにいるのが分かった
スマホで荘田君に連絡しといて、俺は猪のそぐ傍にそっと降り立った
突然空から降って来た俺は、猪を混乱させたみたいで、一番大きい奴が鼻をふごふご動かして、なにが現れたんだと探ってるようだ
俺一人でやるんなら、すぐ突撃だったんだけど、荘田君がカメラ持って来なきゃあ意味ないから、こっちもじっとしてる
そのうち、バイクの音が聴こえてきたんで(どうやら猪より、俺の方が耳が良いらしい)、早く、って思ってると、猪も音を聴き付けたみたいで、一瞬ぴたっと止った直後、ばっと走り出した

逃げられちゃあ困るんで、俺も瞬速で猪の動いた先に飛び出す
さすがの猪も、超人の俺には敵わず、どんっと俺にぶつかって止まった
こっちにも結構衝撃があったけど、別に問題なほどじゃなかったんで、ぐっと踏み止まって、猪の出方を待った(こうしてれば荘田君が間に合うかもって思ったんだ)
ところが相手は野生動物、そんなことお構いなしに一気に次が来た。なんと俺の膝んとこに、噛みついてきた
がぶっ、って来たけど、俺は超人なんで、左の膝んとこに噛みつかれたけど、少し圧迫感があっただけで、歯が滑った感触があった

その瞬間、俺は素早く右足でキックし返した。猪はふっ飛んで道路わきの木にぶつかって落ちた。と思ったら、すぐに起き上がって、逃げ出しかかる
俺も頭に来てたんで、ばっと空中に跳んで猪の鼻さきに蹴り入れたろうってんだけど、思ったより猪が速くって背中を蹴った
これまでの数少ない人間との闘いでは、大体、最初のキックで木にぶつかった段階でKOだし、お次の背中へのキックが決まれば、絶対動けなくなるはずなんだけど、すぐにまた逃げ出す(なんてタフなんだ!)

俺の頭ん中にユーチューブで見た、ライオンがイボイノシシを倒す場面が浮かんだ
あいつら、猪でも水牛でも、一度ひっくり返しちゃったとこで勝負ありだった
でも、決め技は首筋にがぶりで窒息させるみたいだから、口の小さな俺には無理
ってことで、逃げかけた猪の後脚の足首を引っ掴んで、ぶわっと持ち上げてやった
それで、足首を持ったまま、ぶんぶん3〜4回振り回して、地面に叩き付けたら、さすがに動かなくなった
「すごい!すごいっすねぇ!!」いつのまにか、近くに来ていた荘田君が歓声を上げた
「ばっちり録れましたよっ」「えーっ、いつから録ってたの?」って訊くと「キックで吹っ飛ばしたところからっすよ!」って、興奮して吠えた
posted by 熟年超人K at 16:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説

2022年11月27日

ランボー超人Bの物語-15 こりゃヒーロー誕生か?!G

その布引公園に向かう途中で、早くも二頭の猪に出くわした
「いますねぇ」「いるねぇ」バイクを停めて、二人で同じようなセリフを交わし、じゃあ俺がって降りかけると、猪はさっと身をひるがえして道脇の林の中に逃げ込んじまった
「逃げちゃいましたね」「逃げたねぇ」またも、同じような会話
「でも、まずいよな、これじゃ絵にならない」と荘田君「えっ、どうして?」と俺
「こんな誰もいないとこで、ミスターRが猪やっつけたって、ただの野生動物いじめじゃないっすか」「そうか」
「やっぱり、人が居て逃げようとしてるとこを、助けるとかじゃないと、画になんないっすよ」「そりゃそうだよな」

二人で漫才しててもしょうがないんで、またUターンして、とにかく市役所にでも行って、猪関連の情報入手しようっていうことになった
荘田君がスマホで神戸市役所を検索して、中区加納町6丁目の市役所に20分くらいで着いた
空を飛べればずっと早いのは分かっていたけど、これもまた楽しいものだと思える、初バイク旅だった
俺は市役所に入る前に、山の方でコスチュームの上を脱いで、上はTシャツ、下はタイツみたいな変な恰好だったんで、すぐにトイレに飛び込んで、荘田君一人が経済観光局農政部調整担当課っていう、長〜い名前の部署に行って、猪被害のことや退治する場合の注意事項を訊いて来てくれたんだけど、要するに今(3/21)は、狩猟期間ではないので、猪退治はできんってことだった
おまけに、狩猟免許が必要だし、免許をもらうには前の年の夏頃やってる試験を受けんといかんらしい

「どうする?これじゃあ、猪退治しちゃあいかんてことじゃないの?」「どうもそうらしいですね。まあRさんなら法律無視でも怖かないでしょうけど、ウチらそれを放送したら、まずBPOに引っかかってアウトですわ」「じゃあ、熊はどうなの?」熊の被害も最近はよく出てるらしいし、そろそろ冬眠明けで出て来るんじゃないかって俺は思ったんだ
「熊は、もっとだめです。11月15日から12月14日に限り狩猟可能ってことでした」「そうかぁ、だけど俺ら、狩猟じゃないだろ。ぶん殴って放り投げて、人間にも怖いのいるって教えてやるんなら、いいんじゃない?」
「そりゃそうなんですけど、あれですよ、お役所って今まであったことを基に作った法律を守るとこだから、そんなの考えてないんですよ。とにかく、こりゃ一遍、局に戻って対策練らないと…」「そうか、じゃ、それ電話でお偉いさんに訊いてみたら」ってことになった

俺が、トイレの中で待ってると(幸い超人なんでこんな格好でも寒くはない)、荘田君が戻ってきて「やっちゃえ、って言われました」って興奮して赤くなった顔で、そう言った
「えっ、いいの?」「はい、市役所に行ったんなら、ミスターRにいつもの衣装で、神戸市を救いに来ました宣言してもらって、相手がどうのこうの言っても知らん顔で猪やっつけてもらえ、ってことでした」
もう少し聞くと、荘田君はたまたま別の取材案件、例えば北野異人街とかロケハンに来たことにして、偶然遭遇して、超人ランボーが猪退治するとこ撮って、簡単なコメもらうってことにするってことらしい
要するに、俺が人間以外になにしたって、誰も止めようがないし、超人を罰することなてできないってことだ
それ聞いて、俺の心に無敵感が生まれ、よぉし、人助けだったら俺、力出していいんだ、ってなった

なんか変だが、俺は超人ランボーに戻って、トイレから出現した。ちょうど入って来たおじいさんが、びっくり顔で俺を見送ってるのも知ってたけど、もう気にせず、ずかずか市役所の中を歩いて、経済観光局の農政部ってとこに押しかけた
とは言っても、コスプレ野郎くらいに見られてる気がしたんで、カウンターを飛び越して、職員さんが大勢いる中、わざわざ天井寸前辺りを飛行して、窓を背にした大きい机のとこに座ってる人のとこに着地した
黒ブチ眼鏡の固い感じのその人は、びっくりした様子(もちろん職員さんも、カウンターのとこにいる市民も)だったけど、多分テレビで見て俺のこと知ってるらしく、割と落ち着いた声で「どうも、超人ランボーさん、ようこそ神戸市へ。で、なにか私に御用で?」って言ってきた

「なにか猪が出て困ってるって聞いたんで、退治しに来たんだけど、どこら辺に出てるか訊きに寄ったんだ」なんか、変な言い方になっちゃったけど、その人は「それはそれは」と言いながら名刺を出して「私、課長をしとります吉岡、申します」って挨拶して来た
「猪被害は、市内のいろんな場所に出とりますけど、主に六甲山のある北区に多いんですわ。今回は、どちらさんの御用でおいではりましたんでっか」って訊いて来た
「俺の意志で来ました。何匹か張り倒してやったら、猪もびっくりして山に逃げるんじゃないかって思って」
「そうでっか、そりゃすごい。どうぞどうぞ、やっちゃって下さい。後でランボーさんの臭いの着いたもの頂いて、猪避けに使わせてもらいますんで、おきばりください。念のためですが、銃とかお使いにならしませんよね」って、念押ししてきたんで、腕をぽんぽんって叩いて「もちろん」って言ってやった
posted by 熟年超人K at 12:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説

2022年11月20日

ランボー超人Bの物語-15 こりゃヒーロー誕生か?!F

さすがに昼間に、バイクが空を飛ぶのは目立つんだねぇ(俺は後ろでしがみついてるからタンデムバイク状態)
ビル裏から、さっと飛び上がったつもりなんだけど、やっぱ東京は人が多いんで、最初何人かが気付いたら、後はそれがどんどん増えて、すごく大勢の人が空を見上げて、スマホ出し始めてる
俺の方は、別に皆にサービスするつもりは無いんで、一気にスピード上げて高く高く上昇していく
と、なにか荘田君が声上げてる「ちょ、ちょっとぉ、高過ぎですよぉー」って、声が聴こえた
超人じゃなかったら、聴こえなかったとこだよ荘田君。そうか慌てて高度上げ過ぎだよね
下の景色を見ると、多分4〜5000mくらいまで行ってたんじゃないかな…。肩を叩いて「ごめんごめん」って謝って、高度を3000mくらいまで下げてやった

それはそれでいいんだけど、問題は前に進みにくいってことだった
いつもは、俺の身体は反重力かなんかで宙に浮いて、それを足裏と掌から出る反重力(場合によっては引力)で進んだり向きを変えたりしてるらしいんだけど、バイクに跨ってるもんだから、足裏の位置が調整し難いんだよね
だからちょっと進み方が不安定で、荘田君はそのあたり敏感に感じてるらしくって、怖がって身体に力が入ってるから余計、俺としては自由に飛びにくい訳
まあそうは言っても、なんとか前に進んではいて、下に江の島が見えたり、そのうち富士山が見えて来たりすると、さすがAD魂が甦ってきたのか、荘田君はカメラで下の景色を撮り始めた

昼間なんで、下の景色が良く見えるし、大体時速150qくらいのスピードで飛んでるから、荘田君の気分もアゲアゲになって「すごいっすねぇ!空飛んだバイク乗りなんて、世界中で俺一人くらいだろうから、気分いいっすよぉ」なんて、めちゃ元気になってる
ところが、静岡過ぎて、遠州灘あたりまで来たら、自衛隊の戦闘機(二人乗りだから練習機かな)が飛んで来て、俺たち見てなんか騒いでる風なんだな
俺一人で飛んでるときは、大体レーダーなんかにあまり引っかからないんだけど、今日はバイクに二人乗りだから目立ったのかも知れない

別にパトカーにくっつかれてる訳じゃないんで、知らん顔してたけど、荘田君がびびって「ねえ、ちょっとマズイんじゃないっすか」とか煩いんで、スピードもっと落としたら、全然付いて来れなくって(遅すぎ)一旦行っといて、また戻って来たけど、さっとすれ違うだけなんで、こっちは平気
すれ違うときの爆音とか、乱気流がちょっと嫌だったけど、結局一瞬みたいなもんなんで、我慢の範囲内だ
その後は、もうやってこなかったけど、後でTテレさんにはすごいクレームが来たらしい

なんやかんやあったけど、3時間ほど(こんなゆっくり飛んだの初めて)で神戸港とか六甲山が見えてきた
猪が出たっていうのは、新幹線の新神戸駅の近く、六甲山寄りの辺りだっていうから、さすがにそこに降りたら騒ぎになるだろうってことで、荘田君がスマホのマップで探すと、駅北の森の中を縫って延びている道路にバイクを降ろして、大分コスチュームが目立つけど、タンデムで新神戸駅目指すことにした
うまい具合に途中に高校があって、ちょうど下校時刻らしく生徒たちが歩いてたんで、バイクを停めて荘田君が猪のことをリサーチした
それによると「もう少し山寄りの布引公園とか、貯水池の方ならいると違うんかぁ」ってことらしい
早速、Uターンして山の方を目指すことにした俺と荘田君コンビ
posted by 熟年超人K at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説

2022年11月18日

ランボー超人Bの物語-15 こりゃヒーロー誕生か?!E

駒ちゃんとの、めくるめく夜を過ごした翌朝は、なんだかもう天下無敵な気分が体の奥から噴き出して、元気スプリングが弾けちゃって、パンツいっちょで俺はベッドから跳ね起きた
それを見た駒ちゃんが、朝日の入ってるダイニングテーブルんとこで吹き出した

照れた俺が、スウェットの上下を慌てて着て、ダイニングに行くとベーコンエッグとかもう出来てて、駒ちゃんはトースターんとこでパンが焼けるの待ってる
「ねぇ、寒くないの、その格好で」って、訊いて来たんで「俺、超人だからぜ〜んぜん寒くないよ」って答えた
だって季節は春とは言え3月だったから、駒ちゃんが心配するのも無理ないんだけど、超人になってから暑い寒いは、ほとんど感じてなかったんだ
それでも、駒ちゃんが点けてくれたガスストーブも、ホットコーヒーの温かさも、嬉しいって感じられるんで、そこんとこは良かったなって思う

二人で仲良く、ダイニングテーブルで向き合って過ごせるモーニングタイム。点けたテレビニュースは、神戸市内に猪が出て大騒ぎになってるって、公共テレのアナウンサーがニュース原稿読んでるとこ
「ねえ、これって超人ランボーの出番なんじゃない?」って、トーストかじりながら駒ちゃんが言った
「そっかぁ、人間相手じゃないから、警察も文句言ってこないだろうし、ぶっとばしちゃったって、傷害罪とかにはならないもんね」俺もノリノリで返事した
「ちょっとザキさんにテル入れとくね」さすがテレビの人、駒ちゃんは即スマホで連絡をとった(今日はお休みなのに)
ザキさんはすぐ電話に出て「そいつはいけるかもだぞ」って、のってきた声が聴こえた

なんか折角の駒ちゃんとのお休みの日を、猪退治なんかで潰されるのも癪だけど、自分で乗せちゃったんだからしょうがないか、って超人ランボーの服に着替えてTテレに飛んで行くと(駒ちゃんは留守番)、受付にすぐザキさんとちょび髭の穴山Dと、もう一人若手のADがやって来て「今からこの荘田ADと一緒に神戸に行って欲しい」っていうことになってしまった
荘田ADは、バックパックとステディカムっていう手持ちカメラの軽装で「よろしくお願いします!」と言って、ぺこっと下げた頭を上げると、物言いたげに俺の顔を見てる
隣でザキさんと、ちょちょっと紺ちゃんの穴山Dも期待するような目で俺を見てる
えーっ、これって俺にこのADを連れて飛んで神戸に行ってくれってことなのぉ〜
「今から神戸まで、新幹線じゃ時間かかり過ぎだもんね。すんません、こいつと二人で、よろしくです」とうとう、はっきり言われちゃった。しょうがないなぁ

そう言えば、ちゃんとダウンのコート着てるし、手袋までしてる
「じゃあ飛んで行くってことでいいんっすね」悔しいんで、できるだけ一緒に飛ぶなんて嫌だなぁ、って顔してるんだけど残念、マスク被ってるからわかんないよね
とにかく荘田ADを後ろから抱えて、飛ぼうとしたら俺よりでかいんで、前というか飛んだら下が見えにくいし、バックパックは背中じゃなく腹にしてほしいこととか分かった
俺がもたもたしてると、穴山Dが「こりゃまずいなぁ。荘田君でかいから、ミスターRの視界が悪そうだよ」超人付けると長いし、ランボーのまんまじゃまずいだろって、ミスターRになったのか…まあいいか

「じゃあお前、バイクに乗れ。それをRさんに運んでもらったらどうだ」って穴山さん
「まあ、運べるけど」って俺
「時速100qくらいならメット被ってれば大丈夫だろ」これはザキさん。ディレクターって皆、らんぼーだな
「OKっす。俺、バイクは高速なら120qくらいで走りますから」って荘田君。それで決まった

荘田君がバイクに乗って、地下駐車場から出て来るのを待っていると、ザキさんが「しかし、ここからバイクごと急に空に飛び上がるってぇのもナンだよな」って呟くと、「そりゃ目立っちゃうよな」って穴山Dが続く
「Rさん、すみませんがこのビルの裏側からの方が良いって思うんで、ご案内しますから一緒にどうぞ」って穴山さんが言うと、先に発ってずんずん歩き出す。ザキさんはそのまま残って、荘田君に裏に回るようスマホで喋ってる

実は俺、バイクに乗った人間なんて持って空飛んだことないんで、出来るかなぁって悩んでたんだ
だけど話はどんどん進んで、やることになっちまったし、今さら自信がないなんて言い出せなくなってる
駒ちゃんと飛んだときは、なにも難しく考えずに抱いて飛べた。俺が抱き付いて、彼女がしがみ付いて来ただけで、二人の身体が浮いて、後は進みたい方向に行けた。右でも左でも上でも下でも
自動車系は、ダンプやユンボ、それから週刊誌の連中が乗ってた乗用車、どれもOKだった。重いとも思わなかった、なんて考えてるうちに、ドッドッドッと排気音立てて、かなりでかめのバイクに格好よく乗った荘田君が到着した。もうやるっきゃない

荘田君に、背負ってるバックパックを胸に抱いてもらって、俺は後ろの座席に跨って荘田君の腰に手を廻した
なんとそれだけで、バイクごと俺たちは宙に浮いた「おおっ、すげえなっ」穴山さんが感心した声を漏らす
後はバイクに跨った俺の足が、反重力かなんかの力で、バイクと俺たちを上空にすぅーっと運び上げる
「じゃあ、行くよっ」って声かけて、俺は東京の昼間の青空目指して、本格的に飛び始めた
posted by 熟年超人K at 18:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説

2022年10月25日

ランボー超人Bの物語-15 こりゃヒーロー誕生か?!D

221025New↓
「えっ」と言った切り駒沢さんは固まってしまい、俺の方が困った
「自分の方から辞めるって言ったの?」やっと声が出た
「うん、まあ…そんな感じ、かな」「渋谷で暴れたのを言われたのね」「うん…まあ…」
「なら、しょうがないわね。いつものSITの人たちじゃなくって、別の、管理する役目の人からよね」よく分かってるじゃん

「殿も、同じようなこと言ってたのよ。まあそっちの方は、マスコミが味方するから、多分、そんなに問題にはならないだろうって。後は、ネットよね。どっちに転ぶか分からないのは…」駒ちゃん、考えてくれてるんだ
俺は、それだけで嬉しくなっちまって、アンド、駒ちゃんの機嫌も直ったみたいだから、ちょいリラックス
「じゃ、中に入れてくれる?」「そうね、ここ貴方の家だし、今、開けてあげる」助かった〜

やっと入れた自分の部屋で、駒沢さんと向かい合うと、なんだか変な気持だ
「なんか心配かけちゃってて、ごめん」って、素直に謝れて良かったぁ、なんだけど…これって変じゃない?
まあ、とにかく無事に部屋に入れたし、駒ちゃんも居るしで、俺はいい気分に浸…ろうと、した

「さっきの話だけど、勇太郎さん、警察の仕事辞めるってほんと?」さらっと駒ちゃんが喋った
「うん、まあ…。こないだの半グレ退治がやり過ぎだ、みたいなことで叱られたんだけど、いつまでもグチグチ言ってるんで、じゃあ辞めます、みたいになっちゃって」なんか言い訳がましいな、俺

「そう、いいんじゃない、辞めちゃったら」おっと、そう来る
「辞めるのに賛成なの?」つい、訊いちゃう俺
「辞めた方が、いいと思うよ、わたしは。どうせ、警察ってお役所でしょ。勇太郎さんのやりたい正義の味方、ちゃんとできないことがこれからも出て来るよ、きっと」そうか、駒ちゃん、考えてくれてたんだ

「うん、それでさっき退職願、書いてたんだ。で、ハンコが無かったんで、取りに戻ったって訳」
「そうなんだ。なんか最近逢えて無いから、ちょっと怒れちゃってて、ごめんなさい、意地悪して」おお可愛い!

てな訳で、俺は退職願の書き方を駒ちゃんにチェックしてもらって、ハンコついてから封筒に入れて、宛名をどうしようって迷ってたら、駒ちゃんが、上司の方の名前を書くのよ、って教えてくれた
それで安心した俺と駒ちゃんは、もうそんなこと忘れて、楽しい時間を過ごすことにしたんだ
posted by 熟年超人K at 11:29| Comment(0) | 書き足しお気楽SF小説

2022年10月18日

ランボー超人Bの物語-15 こりゃヒーロー誕生か?!C

221018↓
これから叱られるっていうのに、遅刻はまずい!って俺、本気であせって警視庁まですっ飛ばした
それでもさすがに、11階の窓から突っ込むなんて出来ないんで、ちゃんと1階の正面玄関から入って、職員入口で身分証見せて、普通に早足で11階の人事1課に行った

結局、俺が勝呂課長さんの前に立ったのは14時2分だった
「遅刻ですか。空を飛んで来ても遅刻、ですか」おーっ厳しいぃ!。細縁メガネの奥の目が、ちらっと俺を見たけどすぐ伏せられ、デスクの上の書類に落ちた

「先日の貴方が起こした事件ですが、SITの星崎警視は貴方を特別扱いしているようですが、警察というところは規律が第一の組織なので、見過ごすわけにはいかないということです」
「はあ…、で、俺は警察クビって訳ですか」なんか顔見てたら、急にむかついた

「ご自分で退職願をお出しになるのなら、お受けしますよ」まだ顔を上げずに、こう言ったんで「はい、分かりました。では、それ書いて出しときますから」って、成り行きで俺の口からそんな言葉が出ちまった

言ってるうちに、どんどん腹が立って来たんで、くるっと向きを変えて、ドアをばたんって閉めたら、少し力が入ったんで、ばんって大きな音がして、多分…壊した

11階の廊下の窓、突き破って出てこうかとも思ったんだけど、さすがにそれはないっしょ、ってブレーキかけて、ずんずんずんずん廊下歩いて、エレベーターに我慢して乗って、やっと1階から普通顔で庁外に出た

だけど、心の中は大荒れ。やっぱり、自分から追ん出たとは言っても、SITの人たちには大分顔馴染みもいるし、星崎さんや成森さんには申し訳なかった、っていう気持ちがあって、辞めてせいせいとはいかない

庁舎から飛び出したときは、さっさと飛んで帰っちゃおうって思ってたが、少し頭が冷えてきたんでコンビニに寄って、便箋を買い喫茶店でスマホで検索した『退職願の書き方』を見ながら、退職願を書いた

さあ出来た、と思ったんだけど、残念ながらハンコが無かった。俺の苗字は珍し過ぎて、普通の三文判というのが無い。仕方ないんで、マンションに帰るしかないってことになった

マンションのベランダに戻ると、なんと部屋の中に駒ちゃんが居るじゃん
窓ガラスをコンコンって叩いたら、こっちを向いたけど、窓開けてはくれない(なに、なにか怒ってる風?)

すぐに立ち上がったんで、開けてくれるのかと思ったら、カーテンをさっと引いた
えぇーっ、ってなって、さすがに俺も怒れたんで、下に降りて玄関で暗証入れて、中に入ってエレベーターで自分の部屋に行って、鍵開けて入った

「部屋に来てるんなら、窓開けてくれたっていいじゃん」思わず、文句が出ちゃう
「大体、ベランダから出入りするなんて、おかし過ぎじゃない!」怒ってる

「いいじゃないか、俺の部屋だし、空飛べるのも特技なんだから、どこから出入りしようと俺の好きにして」
「あ、そう。そんな風だから、Nテレなんかにでれでれして、変なアイドルだかシンガーに愛想するんだ」

おーっと、あの番組観てたんだ「いーじゃないか、あれは誰があんな話し、吹き込んだのか確かめに行っただけなんだから」って、反撃
「それだけじゃなくって、ワイドショーでも話題にしてもらってたしぃ。殿倉さんなんか、随分おこってたんだからぁ」あっそうか。そこか

「今日の昼の番組は、俺はなんにもからんでないし。向うが勝手にネタにしただけだろう」
「なにかいろいろ、話持ちかけられてるんじゃないの」怒ってるうちに、少しクールダウンしてきたみたい

「そんなことより、俺、多分、警視庁辞めるわ」今度はこっちのサーブだぞ、ってくらいの軽さで言っちった
posted by 熟年超人K at 22:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説