2025年03月22日

ランボー超人Bの冒険−32 九龍会を壊滅せよA

「まずいなー、まずいぞ上辻曲君」めっちゃ困った感ありありの、成森さんの声が流れて来た
それは、今見てたテレビの放映の別にも、4〜5件の刺殺事件が発生していて、目撃者も多くて隠し切れなかった事件が公になってるだけで、刺した奴が皆「ランボーノカワリダ」って言ってるそうだ

「やってるのは、当然C国マフィアの連中だって言いたいところだが、日本のいかれた野郎や、東南アジア系のギャングどもも入っていて、事がなおさら厄介になっちまっててな、とにかくお前の名が必ず出るんで、警察(ウチ)も困ってるとこだ」

そうか、そう言う手があったかって、俺は愕然とした
これまでは、俺か俺の知り合いだけがターゲットだったから、俺としても守り易かったんだけど、知らない人全部なんて守り切れっこないじゃん

俺が煮詰まってるのを感じたのか、成森さんが「毒蛇殺すにゃ、頭を潰せって言うからなぁ。頭が何処に居るのか、お前の息のかかってる連中は知ってないのか」って、ちょい凹んだ声でぼやいた

「息のかかってる連中なんてそんなに居ないよ。さっきも、ジャガーズっていう九龍会と対立してたグループの残党に声掛けてみたけど、知らんって言ってたし…」「ああ、前にお前が潰した半グレどもか」

「そいつらですけど、その後少し関わって、残党のウルブスってチームの頭と知り合ったんで、情報もらえんかな、って訊いてみたんですけど、知らんって話で」「まあ、知ってても知らんって言いそうだけどな」

その後しばらく話して、成森さんの電話は切れたけど、俺的にはもやもやが広がっただけで、ちっとも気分が晴れない

結局、体は疲れてないけど頭が疲れたんで、ベッドに入って寝ちまった
夢の中で、ブルードラゴンズの連中がリハ演ってて、山下さんらしい女の人と並んで見てると、急に山下さんが白龍だったってことになって、俺が驚いたとこで目が覚めた

そう言やぁブルードラゴンズって青い竜だなって、ぼんやり考えてたらスマホに着信、なんと朝なのに紅蓮子からだ

「あたし、朝帰りだけど、コンビニに寄ったらエマが居たんだよ。あんた、九龍会のボス捜してんだろ。エマはボスと近いから、繋がってるかもなんで、あと付けてやろうって思って…今、出てくからまたな」

全く突然、って思ったけど、もしうまくいったらブレイクのチャンスかも。俺は慌てて値段高めのジャージに着替えて次の連絡を待つことにした

1時間以上、いらいらしながら待ってるとスマホが鳴った
「あたし。エマが入ってったホテルの前。あんた、来れる?」声を潜めて喋ってるんで、刑事ドラマみたいだ

場所聞いて即、宿舎の屋上から鶯谷の方向に飛び立った
紅蓮子が居なかったら、ホテルとは思えないマンションがある
用心して、少し離れた場所に降りてから、歩いてった

「ここ、ここ。早かったじゃん」紅蓮子が嬉しそうに笑う
「すっ飛んで来たから。で、あのマンションに入ったの?」うんうんって紅蓮子が頷く

「あそこって、民泊やってんだ」「そうみたいだね」
「じゃ、俺、偵察して来るから、紅蓮子はどっか安全な場所に行っててよ」「えーっ、行くよ一緒に」
相手は、さくさく一般人を刺しちゃうような危ない奴らなのに…

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2025年03月15日

ランボー超人Bの冒険−32 九龍会を壊滅せよ@

そうそう毎日、宿舎になんてくすぶってられないんで、俺は1階の舎監さんに「ちょっと出かけて来ます」って断って街に出掛けた

九龍会はまだ大勢残ってるはずなのに、あれから音沙汰がない。新宿や池袋、渋谷、横浜中華街と考えられそうな処は、みんな行ってみたけど噂の欠片もない

あいつらがよくからんでくるブルードラゴンズのライブにも、なんのいやがらせもないって山下さんも「不思議だけど助かってるわ」だって
どうしちまったんだろって、成森さんとも話したけど、東京の何処からも消えちまってるって同じような返事

それでも、あれだけしつこい奴らが闇に消えたままである訳ない
それで俺は、宿舎に戻る前にジャガーズ残党のウルブスの狭山に連絡を取ってみた

「おおランボーさん、お電話頂き有難うございます。なにか、私でお役に立てそうなことありましたか?」卒のない返事が返ってくる

「最近どう?お宅のお仕事の方は」って、さりげなく訊いてみた
「まあまあですよ。お陰様であいつら大分大人しくなりましたし。まあ、私らも一部入りにくくなった商品はありますけど、まあまっとうな商売はそこそこやれてますんで」深く聞かない方が良さそう…

それでも、俺の質問に真面目に答えてくれたが、狭山にもC国マフィアが姿を見せなくなった原因は、分からないってことしか分からなかった

最後に「しかしランボーさん、あいつらが街に潜った後は、必ずどでかいことやらかしますから、気を付けた方がいいですよ。そういう私らも今は警戒中なんです…」って、嫌な忠告してくれた

その日の夜、宿舎に戻った俺がテレビを観てると、その答えが出た
「今日の夕方、都内渋谷と池袋、南青山で、通行中の男性が突然何者かにナイフのような物で、刺される事件が連続発生しました」

3件の事件はそれぞれ別の被疑者だが、いずれも被害者を刺しながら「ランボーノカワリダ!」と叫んでいたと報じられたのだった

被疑者はいずれも若い外国人らしい男で、被害者を刺した後、仲間と思しきバイクや車に飛び乗って、現場から立ち去ったと、いうことだった
これって、C国マフィアの仕業かもって考えた瞬間、俺のスマホに成森さんから電話が入った
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2025年03月01日

ランボー超人Bの冒険−31 いよいよ決戦! F

暴れた後は、腹がめちゃ減りするのはいつも通りだけど、今回は大暴れだったから、猛烈に腹が減ってる
宿舎に帰る前に、この時間でも明るいファミレスに寄って、メニューから順番にみたいな頼み方して、テーブルの上を料理で満タンにした

フリードリンクのブドウジュースを飲もうとして、なんとなく飲む気が消えた
あれ、変だなって思ったけど、まあ食うのが先かって気分変えて、ハンバーグを大きく切って、ぱくって口に入れた途端、オエッって来た

お腹は空いてたはずなのに、なんでぇ?って変な気がしたけど、C国マフィアの連中が、手や足や肋骨や、肩の骨とか折られて、うめき声上げてた場面とかが、俺の脳に焼き付いたのが原因なんじゃない?って考えが頭に浮かんだ

そう思うと、耳の奥にもあの骨が折れる音が残ってる
闘ってるときは、なんにも考えずに目の前に立ってる人間を、ばきばきぶっ倒していくだけで、気分良かった気がしてたんだけど、こうして落ち着くと、やり過ぎだよなって、元の俺が喋り出す

なんか、数こなさなきゃって、そればっか考えてたけど、やり過ぎは後に残るってのが沁みた
まだ数残ってるんで、甘いことは言ってらんないけど、RAN棒でぶっ叩くのは問題あり過ぎだよなって、自分に言ってたら、それで気分が落ち着いたのか、また腹が減った感じが戻って来てくれた(良かった)

翌日、成森さんが宿舎の俺の部屋にやって来た
「随分暴れてくれたなぁ…」ってぼそっと言うと、俺が勧める前に部屋に入って来て、食卓の椅子にどかっと腰を下ろした

「例のRAN棒使ったんで、あいつらぐしゃぐしゃになっちゃいましたよ」気にしてたこと自分から言った
「病院、もの凄く大変だったって、俺らんとこまでクレームがきたよ」って言いながら、にやっと笑ったんで、俺はほっとした

「実は、俺もやり過ぎたなって思ってて、次はRAN棒は出来るだけ止めとこうと思ってるんで」
「まあそんなんで、あいつらが退治できるんなら、ウチらとしては助かるけどな」とか喋って、後はそれ以外の、警察上層部の反応だとか、雑談して帰ってった

そんなほっこりした話は、そのときだけで、俺は一気に、どシビアな事件に巻き込まれることになる
posted by 熟年超人K at 17:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説

2025年02月24日

ランボー超人Bの冒険−31 いよいよ決戦! E

RAN棒を打ち込む度に、バキッと骨が折れる音が響いて、いやな気分になっちゃうけど、これくらいで済ましてもらえればありがたいくらいのワルたちなんだから、我慢しろよって心の中で思いながら、がんがんやってやった

たまに相手の振り回すヌンチャクやトンファーや、ナイフや振り出し棒が当ることもあるけど、こっちはなんともないんで、ちょっと不公平だなって思っちゃうくらい、俺は余裕で暴れてた

ところが突然、俺の余裕が吹き飛んだ
びしっと、俺の手の甲に打撃が喰わされて、危うくRAN棒を落っことすとこだった

見ると、さっきふっ飛ばした黄色中華服が長い木の棒を、両手でひゅんひゅん振り回していて、そいつがときどき、しゅっと俺の方に伸びて来る

油断してなきゃ、避けられるけど、ちょっと他の奴に気を取られてると、びしっと来るんで、超人だからって言ったって、棒のヒットのタイミングが絶妙で、俺が手を動かそうとする瞬間にびしっと来るんで、やりにくいったらありゃしない

それでも、ちょっと間が空いたんで、さぁーっと見回すと、俺に腕や足やあばらを折られた奴らは、全員床に転がってて、RAN棒の威力はありあり(相手を減らすって言う作戦は○だ)

倒れてる奴らは、ざっと二十人くらいで、まだ立って俺を取り囲んでるのが三十人くらい(黄色中華服含む)だなって思ったとき、どやどやどやっと、立ってる奴らと同じくらいの新手が、階段を駆け下りて入って来た

それをちらっと見た俺の反応は、また来たんか!だった(結構うんざり!)
部屋の中で俺と睨み合ってた連中は、一気に意気が上がる(黄色中華服は冷静に棒をひゅんひゅんさせてる)

まあ、それでも百人弱なんだから、とにかく片端から片付けてくしかない。なんてったって最終的には、千人やっつけなきゃいけないんで!)

もうごちゃごちゃ考えてないで、元から部屋に居る連中から取り掛かることにして、人が群がってる中に飛び込んでった(これは正解で、黄色中華服の棒術がやりにくくなったのが分かる)

これまでは、相手の武器にはRAN棒をぶつけないようにして、スマートに腕とか脇とか狙ってたんだけど、もうどうでもいいやって感じで、ぶんぶんバキバキ、手当たり次第にブッ飛ばしてく

それと、ときどき超人技の“飛ぶ”をさらっと混ぜて、なるべくカンフー映画のワイヤーアクションみたいに、さぁーっと宙を飛んで、俺を囲んでる連中の後に降りて、背後から肩口や脚の裏側にRAN棒をお見舞いしてやった

これは効いた。大部分がC国人の連中だから、達人だとか佳境だとかの、ハイレベルなカンフーの凄い使い手を相手にしてるって思ったか、なんとなく腰が引けてるのが分かる

こうなると、俺の勢いはますます増す。黄色中華服でさえ、ひゅんひゅん棒の切れが悪くなったみたい
そこを、狙って、俺の方からあいつの使ってる棒に、RAN棒をスピードアップして(人間に当てると殺しちゃうかも知れないんで封印してたスピードで)かっつんって、へし折った

半分になった棒を見て、それでもすぐに両手棒で向かって来るのは、さすがだ。最初のは1m80くらいの長さだったから、半分でも俺のよりずっと長い

ただ、さっきまでのしなりで、当る瞬間に変化するのと違って、動きが直線的になった分、攻撃がわかりやすくなった

新手を含めても、立って戦意を失ってないのは十人くらいで、少し遠巻きになったのが十五人くらいか
だけど、黄色中華服は戦意を失くしてなくて、また鋭い一撃を放って来るんで、油断できない

2本対2本の棒術戦みたいになってるんで、リズムを変えてやろうと、かかーんって棒同士がぶつかった瞬間、大きくジャンプして後ろに飛んで、空中で一回転してちょっと軌道を変えて、頭上からの攻撃を防ごうと上げた両腕の付け根に、RAN棒を叩き込んだ

そんな動きができる人間なんて居っこないのに、漫画の影響は大きくて、とんでもない達人と闘っているんだと思ったか、黄色中華服が「参った!」って日本語で叫んだ

参った、とか言われると、次の攻撃が出しにくくなっちまう。しょうがないんで、まだ残ってる家来どもを攻撃することにしたら、黄色中華服は随分卑怯な奴で、いきなり後ろから、がんって棒で殴りつけやがる

俺も一気に頭に血が昇って「このやろー!」って、振り向きざまRAN棒で横殴りに一発お見舞いしたった
ほとんど手加減なしだったんで、黄色中華服は大きく吹っ飛んだんだけど、運よく仲間が三、四人かたまってるとこにぶつかって、死なずに済んだ

俺の方も、もう頭に来てるから、残りの連中を皆やっつけるのに、10分もかからなかった
立ってる奴がいなくなったのに気が付いて、手を止めると、惨憺たる有様って言う光景になってた

気が静まると、なんか酷いことしたかなって気分もして来るけど、まあこいつらは、こうされて当然の奴らだって思い直して、骨が折れてうんうん言ってる奴らの中から、なんとか口が利ける(日本語で)奴を、一人一人探し始めた

五人目に日本語で返事した奴がいたんで「おい、お前らの大ボスの居るとこ教えろ!言わないと残った手足の骨、ばきばきに折るぞ!」って、できるだけ怖い声で脅してやった

結局、そいつは下っ端だったんで「この中に誰か幹部はどいつだ?」って訊いて、そいつが教えてくれた奴から、なんとか白龍ってのが大ボスだってことだけは聞けた

黄色中華服は、黄虎林(フゥァン フーリン)って言う、ここのボスで、日本人名は高山って言うらしい。以前地下格闘技のチャンピオンだったそうだ(ご本人はRAN棒で顎を砕かれちゃって喋れず)

さすがに、これだけ大騒ぎしたら通行人が110番するだろうから、ってんで俺は、非常階段をどんどん昇って、屋上から夜空に逃走ってエンディングを選んだ
posted by 熟年超人K at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説

2025年02月18日

ランボー超人Bの冒険−31 いよいよ決戦! D

RAN棒を入れたショルダーバッグを手近な椅子の背に掛けて、早速対戦することになった
やはり思った通りの長い足のローキックが、俺の脚を狙って飛んで来た
当っても平気な顔をしてやろうかって思ったけど、そこはまあフツーにさっと避けた

それが黄色中華服をカッとさせたみたいで、続けざまに3連続でローキックが来た
3回目のは避けるのがめんどくさくなったんで、相手のローキックに合わせて、こっちも蹴ってやった

そいつが見事にヒットして、黄色中華服はド派手にひっくり返った
背が低い俺が、足技で背の高い相手をひっくり返したんで、こいつはインパクトあった
見てた連中が声を出さずに、どよめいた感じ

俺が思わずニヤッてなるのを堪えてると、こんなのなんでもないって顔で、足を振り上げひょいと起き上がると、ダメージなんて無いぞって顔した(こいつ、えー格好しぃだな)

こういう展開じゃあ、きりがないんで、今度はこっちからいってやることにした
さすがに背の高さが違い過ぎてて、カンフー技じゃあ、蹴りもパンチも顔にまで届かないんで、とにかく足をばんばん攻めてやった

あっちは鍛えてあるったって、生身の足で、こっちは超人の足だから勝負にはならない
そこまで本気じゃなく蹴ってたんだけど、じきに足の痛みに耐えかねて、俺のキックを避け始めた

それで黄色中華服も本気になったみたいで、パンチ、手刀、蹴りの連続技が、ぽんぽん出て来る
余裕でさばけると思ってたんだけど、結構スピードが有るし、技も鋭い

やっぱ、本気で修業した奴の技は超人並なんだなぁって、ついつい感心しちまってる俺
一見押され気味なのに、まあ余裕があるからそんなこと考えてられてるんだけどね

とか思ってるところに、バチンっていいのもらっちまった。そんなの平気だったけど、それじゃ超人ばれると思って、後ろによろってなってやった

結構広い地下ライブ会場一杯の黄色中華服の家来たちが、ワーって盛り上がって、口々にいけっいけ!とか、やっちまえ!みたいなこと叫び出して、煩い煩い
なんか腹が立ったんで、スピードアップしてジャブ3連発を黄色中華服の胸板に叩き込んだ

黄色中華服がよろよろって後退したとこを、今度は顔面に回し蹴りみたいなのを蹴り込んだら、完全にふっ飛んでテーブルやら椅子やらの中に突っ込んでった

自分たちのリーダーへの応援で、わいわい賑やかだった連中がシンってなって、空気が尖がる
俺も、なんか試合みたいな雰囲気から、C国マフィア退治モードに切り替えるチャンスだぞって思った

言葉は通じないのは知ってて「まあまあ」とか言いながら、さっき椅子の背に掛けといたショルダーバッグを皆に見せながら、ゆっくり中からRAN棒を2本両手に持ったところで、ショータイムの始まりだ

40pくらいの黒光りする重そうな棒を、俺が両手に持ったところで、顎を擦りながらやっと立ち上がった黄色中華服も手下たちも、俺が本格的な戦闘モードに入ったのが分かったか、一気にヒートアップする

「殺れっ!」って言ったの聞いて、あれっ、今の日本語じゃんって余裕の俺がのんびり構えてると、左右と後ろから、三人同時にヌンチャクをぶん回して襲い掛かって来た

黄色中華服に比べると、スピードも遅く、こっちもRAN棒持ってるんで、くるっと回転しながら、カンカンカンって3連続で、ヌンチャクを跳ね返してやる

こっちのスピードが圧倒的に速いもんだから、打ち込んだヌンチャクが倍以上のスピードで跳ね返ることになって、三人がそれぞれ額、鼻、頬に自分のヌンチャクが当って悶絶

それでエンジンが掛かった俺は、そんなの見てないでRAN棒振り回し、片っ端から連中の腕とかあばら目掛けて、重い打撃を打ち込んでった
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2025年02月07日

ランボー超人Bの冒険−31 いよいよ決戦! C

リーダー格が俺のサービススマイルを見て、どう思ったかは分からんが、とにかく付いて来いみたいなジェスチャーをしたんで、俺は三人組に手でこの場に残るように合図して、後について歩き出した

俺の周りを四人が囲むようにして歩いてるんで、歩き辛い
大体、俺は背が低い方だから、170〜180の連中に囲まれてると、前も見にくい
それでつい、前を歩いてる奴の踵が見えた瞬間に、ぽんって軽く蹴ったら、足の思わぬ動きで、よろってなった

こけそうになったそいつは、さっと振り返ったけど、誰も変な動きはしてないなと見て、首を捻ってる
でも、詰めて歩いてたせいで足を持ってかれたと思って、少し間隔を空けるようになった(笑えて困った)

10分くらい歩くと、バーやキャバクラや飲み屋の雑居ビルがあって、その地下階段を先頭で降りてくリーダー格の後を、ぞろぞろ皆と一緒に降りてく俺は、いよいよご対面かってわくわくして来た

地下のスペースは、ライブも演れそうなショットバーになってて、薄暗い店の中のあちこちに、ワルそうな男どもと女どもが、グループになって酒を飲んでる

リーダー格の男がどんどん奥に入って行くんで、俺らも入ってくと、店の中の連中がじろっ、じろっとこっちに視線を送り、俺の周りの何人かも軽く挨拶なんかしたりして、グループ感が半端ない

「誰?そいつ」俺にも分かる言葉が、詰襟の黄色い中華服の男の口から発せられた
「クンフーやってる、ちょっと使えそうな奴だったんで、鄭(ヂォン)兄貴が連れて来たんっす」リーダー格の男の隣りのチャコールグレイの背広男が、代わりに答えた

「△△、○××△○○」黄色中華服が、今度はC国語らしい言葉で、鄭って呼ばれたリーダー格に話しかけると、鄭がチャコールグレイに何か小声で(超人耳なんで聴こえるけど言葉は分からない)、言う

「おい、お前。さっきの技を見せてみろ」チャコールグレイが偉そうに俺に言う(通訳かこいつ)
一瞬、めんどくさいから暴れちゃおうかな、って思ったけど一応素直に頷いて、さっき演ったみたいなクンフー技を見せてやる(ちょっと驚かせようとスピード倍速にしてやった)

これには皆驚いて、俺と一緒に来た連中も、店に居た連中も目を丸くして、拍手喝采だったんで、なんかこの連中に親近感が湧いちまった

黄色中華服が「あんた、日本人らしいのに凄い達人なんだな」って、改めて声を掛けて来た
「お宅も、腕が立つと見たけど」カンフー漫画のネタを思いついたんで、カッコつけて言ってみた

これがツボだったようで「そうか、達人が見ると分かるんだな。ワタシはMMAのチャンピオンだったよ」とか、微笑んで嬉しそうに言う

「そうなのか、腕試ししてみたいもんだな」もう、漫画のストーリー展開のまんまでコナかけてみた
「2年前に引退したが、まだあんたには負けないぞ」って、来た来た(どうやってこの友好ムードから、やっつけモードに変えられるか困ってたんで、ラッキーって感じ)

改めてこいつとやり合うのかって見直すと、とにかくでかいんだ(2m近くあるんじゃない?)
ただ、胸板の厚さって言うか、ボディの迫力はそれほどじゃないんで、こいつはリーチとスピード系のファイターだろなって、俺は読んだね
posted by 熟年超人K at 18:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説