2023年05月19日

ランボー超人Bの冒険-20 好きなことだけやろう!A

もちろん、新しい曲が掛かったって、フロアに降りて来る客なんてあるわきゃなく、喧しい音の渦巻きの中、俺たちは均衡状態をどうにか保ってる
「おい、おまえだろ、可哀相なクマ公を殺しちまった野郎はよお!」稲妻剃り込みムキムキ兄ちゃんが、憎まれ口叩く。なに言ってんだこの野郎、って思った俺は
「なぁ〜に言ってんだ、見てもないくせに」って言い返すと、「見たよぉ、テレビでやってたじゃねぇか」って、赤髪赤つなぎに言い返される

こんな連中と、無駄に話していてもしょうがない、って思った俺は一気に局面転換に出た
「うだうだ言ってないで、やるのか、それともしっぽ捲いて引っ込むのか、はっきりしろよっ」って、ボスっぽいダークスーツ野郎の顔を見据えて、びしっと言ってやった
狙い通り、ボスらしいダークスーツ野郎の顔が歪んで、みるみる赤くなった…けど、どうにも我慢強い奴みたいで、両手の拳をぎゅっと握って「そんな挑発には引っかかるもんか。どうせ、てめえは超人だから、俺らをやっつけられると思ってんだろうが、そうはいかねぇよ」って言い返して来た

こう出られるとは思ってなかった俺は、正直困ってしまった(相手が暴力を振るって来ないとブッ飛ばせないってことか!)
そんな空気をぶち破ってくれたのが、酔って寝ちゃってた山下さんと元気なマミちゃんだった
山下さんが急に目を覚まして、俺らがフロアでヤバイ連中と睨み合ってるのを見つけ「あたし、助けに行かなきゃ」とか言って、だだっとフロアに向かったんで、すぐマミちゃんが追いかけて、様子見てたリーダーとベースのグンタイさんまで、フロアに降りて来た

俺らと睨み合ってた半グレ連中は、新手が来たって身構えたけど、そこにイライラパワー満タンの山下さんと、マミちゃんが「あんたたち!やめときなさい!どうせ敵いっこないんだから!」って、噛みついた
女の子(?)に怒鳴られるなんて、全然引っ込みがつかなくなった赤髪赤つなぎが、「引っ込めっババア!」とか言いながら、山下さんを突き飛ばした
「ひゃぁー!」ってマミちゃんが叫びながら、フロアに倒れてる山下さんに駆け寄ると「なんて人たちなの!勇太郎さん、もうやっつけっちゃって!」って、俺を見て叫んだ

なんか、お許しが出たから、みたいなシチュエーションになっちまったけど、俺としてはワルとは言え、一般人を相手にするのに、躊躇してたとこだから、リードを放してもらえた猟犬みたいになっちゃって、まずは山下さんを突き飛ばした、赤髪赤つなぎの前に瞬速移動して、胸の辺りを半分の力の掌底打で、突き飛ばしてやった(力の加減は大分上手くなってるが、この前の相手がヒグマだったから少し強かったか?)
赤髪野郎は、大きく後ろに吹っ飛んで、先にフロアに居た稲妻剃り込みと殺し屋ファッションの二人にぶつかって、まとめてフロアに転がった(ストラーイク!)

次の瞬間、ソフトハットが素早く動いて、まだ転んだままの山下さんの傍に居るマミちゃんに抱き付くと、手品みたいに銀色スーツの袖から出て来たナイフを、ほっぺたにくっつけた
「よぉし、そこまでだ。超人さんはもう何にもするんじゃないぞ」って、悪人がよくやる人質作戦に出てきた
そのあたりは、俺もある程度予測してたんで、瞬速でソフトハットのナイフを持った手を掴んで、マミちゃんの頬に当ててるナイフが動かないようにし、そのまま握りつぶしてやった

べきっと、嫌な音をさせて、ソフトハットの右手首が、ぶらんと変な恰好でぶら下がり、次の瞬間「うぎゃーっ!」って叫び声がほとばしって、ソフトハット銀スーツは帽子を落として、山下さんの隣に転がった
その一連の動きは、多分1〜2秒くらいしか経たずに起こったんで、ボスのダークスーツ野郎は、あっけにとられて突っ立ってるし、他の家来も動きが止ったままで、こっちのブルードラゴンズの皆も動けてない状態
そのとき、騒ぎが始まった頃、お店のスタッフが連絡してたらしく、制服の警官が5〜6人、どやどやっと店に入って来た
posted by 熟年超人K at 19:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説
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