2023年03月11日

ランボー超人Bの物語-19 超人パワーでGo!B

がつっん!っと手応えがあった
大体、今まで全力パンチなんて打ち込んだことないんで、ヒグマがどうなっちゃうかなんて、考えないでやったんだけど、大きく後ろに吹っ飛んで、そのままごろごろっと転がって、慌てて起き上がると逃げて行く
人間だったら絶対立ち上がれっこない衝撃でも、野生の熊は平気なんだ、って俺は感心してた
「すごいっすねぇ、猪のときよりぶっ飛んじゃったじゃないっすかんじゃったじゃないっすか。体の大きさとか重さは3〜4倍ありそうだから、ランボーさんもパワーアップして、打ったんですね」荘田君が興奮して、喋ってる

「結構、全開パワーだったんだけど、粉々っていう訳にはいかないもんだねぇ」なんか、少し拍子抜けな俺
「ああーっ!あんまり突然だったんで、撮れてない!」荘田君が悲鳴をあげた
「撮ってなかったのかぁ〜」「すんません、次のやつは絶対撮りますんで」荘田君がぺこぺこ頭を下げる
陽もそろそろ落ちかかって来たんで、とにかく今夜の宿泊先の『丸イ伊藤旅館』に戻ることにした

超人ランボーのコスチュームがヒグマに破られちゃったんで、しょうがないから中の人状態になって、荘田君と二人で旅館に入っていった
旅館、と言っても民宿レベルの宿だったが、夕食はかき料理がメインで、あと煮魚とかいろいろあって、魚介好きの俺は大満足。荘田君はかきが苦手で(子どもの頃当ったらしい)、ヒグマやっつけたり飛んだりした俺は、ばり腹減り状態だったんで、旅館の女の人が驚くくらいご飯も、おかずも平らげて満足
宿泊費は局持ちだから、荘田君も刺身とか追加注文して、よく食った
寝る前に、明日も同じコースを、ずっと先の原生花園の方まで行ってみよう、って決まったところで荘田君はダウン、俺も珍しくぐっすり寝てしまった

朝は、旅館の人に起こされて(昨夜、酔っ払う前に荘田君が頼んだらしい)7時に起きて、食堂で朝飯食べたら出発だ
荘田君だけ自転車で、俺は歩きみたいで可哀相だからって、旅館でレンタサイクル頼んでくれて、俺もマウンテンバイクみたいなタイヤのぶっといのに跨って、荘田君の後に続いた
とは言っても、周りに人の目がなくなったとこで俺は自転車持って、高度500mくらいまで上がると、猛スピードで荘田君がサイクリングするコースを先回りして、床澤受信所っていうパラボラアンテナが付いてる鉄塔のとこに自転車を置いて(まだ本格シーズン前なんで人はいない)、こんどはヒグマのチェックも兼ねて、100mくらいの高さを、自動車くらいのスピードでのんびり戻る

その間に荘田君は、一生懸命走って“子野日公園”に着いていた
俺が、公園駐車所にいる荘田君の前に降りると「自転車、置いて来たんすね。勇太郎さんに空から見張っててもらわないと、怖くて」って、本当にほっとした顔をする
「こっちに戻って来る途中では、熊の姿は全然見えなかったよ」って言うと「今日は出ないのかなぁ」って、急に弱気になっちゃう荘田君
夕べも「カメラ回せなかったなんて、絶対許されませんから、明日は必ず出るように祈ってくださいよ!」って、何度も言ってたよな(俺的には責任無いんだけど、やっぱそうは言えないもんね)
posted by 熟年超人K at 17:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説
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