2023年03月06日

ランボー超人Bの物語-19 超人パワーでGo!A

事前に厚岸町の町役場に荘田君が問い合わせたときには、厚岸町をサイクリングするなら桜が咲く5月がお勧めですよ、と言われたらしいけど、番組の都合もあってそうも言ってらんない、ってことで、そろそろ冬眠明けの熊が出るタイミング狙いで、走ることになった訳だ

俺の方は、50mくらいの高さで空中を伴走することにしたビルの高さなら15階くらい、公園道路の両側にある木々の梢よりも、ちょっと高いくらいの低空だ(別に人に見られてもいいってことで)
シナリオでは、石狩市に住んでいる母方の祖父を訪ねて北海道に来た荘田君が、札幌市に立寄ると、偶然北海道のヒグマ退治に来ていた俺を見つけて、休暇の残りを使ってヒグマ退治を手伝うことになったというものだ
それがホテル・ラフィナーレで、二人が会ったところで、ちょうど挨拶に寄ったTテレ系のHテレビのディレクターが、スマホに収めていたという、仕込み感満載の出会いシーンになっている

それは置いといて、まだ残雪も所々ある傾斜の緩い舗装道路を、荘田君がゆっくり走っているんだけど、少し先の道端のフキらしい葉っぱを踏んづけて、大きな赤茶色の熊がなにやら地面を掘り返すようにしてるのが、見える
早速、低空飛行に移って、一生懸命ペダルを漕いでいる荘田君の耳元に「おい、いるぞ!この先、ヒグマ居るぞ!」って、大声で警告してやった
急に近くで怒鳴られたもんで、荘田君はびっくりして、慌てて自転車を停めようとして、どーんと横倒しになっちまった

200mくらい先にいた熊が、動きを止めて鼻先を空に向けて、くんくん匂いを嗅ぎ始めた
こっちに気が付いたら、逃げ出すか襲ってくるかの二択だな、って思った俺は、荘田君とヒグマの間に降り立って様子を見ることにした(このときの俺は自信満々状態だ)
次の瞬間、どーんっと来た!でかいヒグマが体当たり、っていうか、ちょっと立ったんで肩口当りにがぶっときた
その瞬間はやっぱり俺も人間、超人の目で見てるんで、がぁーって開けた口の中に黄色い牙とピンクの舌と、よだれみたいなぐちゃっとしたのがあふれてるのが見えて、ついつい身体硬直しーの、髪の毛逆立つみたいな反応が起きちまって、すぐに体勢立て直そうって思ったんだけど、でかいは重いは早いはで、真後ろに吹っ飛ばされちまった

それ見てた荘田君は、あーもうだめだぁ!って思ったらしい(後で聞いた)
まあ、結論から言うと、後ろにはなんにもなかったし、フキの葉が群生してるとこだったんで、真後ろに飛ばされて、その勢いでくるっと立てた
Tテレからもらったコスチュームは大分破れちゃったけど、中の俺は超人だから、大してダメージはない
それより、びっくりしたのはヒグマの方で、平気で立ってる俺に戸惑ってるのがわかる
さあ、俺の番だぞってダッシュ(超人になってからスピード上げ過ぎないよう気を付けてたんで、初!)で、ヒグマに猛接近。鼻っ面に全力パンチをぶち込んだ
posted by 熟年超人K at 22:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説
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