2023年03月02日

ランボー超人Bの物語-19 超人パワーでGo!@

『ひぐまっぷ』っていうのは、前年から最近までにヒグマ(らしきもの)を視認したという通報を、地図上に書き込んだマップだ
それによると、これから行こうとしてる厚岸町の前の厚岸湖は、一部が外洋と繋がっていて、そこに架かっている橋の向こう側に“厚岸緑のふるさと公園”と“厚岸子野日公園”があり、そこに出没マークが多くある
もちろん、札幌市にもマークは付いているが、都会なんでどっちかと言えば出会える確率は低いだろうと、意見が一致したんで、まず厚岸町に行ってみよう、ってなった
Gマップで荘田君がチェックすると、札幌市からほぼほぼ真西に直線で280qちょっと飛べば厚岸町に着くらしい

「じゃあ、時速300qくらいで飛んでいいかな」って、荘田君に訊くと「150qくらいにしてください」って言う
この前の神戸行きで、大分要領が掴めたみたいで、北海道の気温と荘田君の装備(やや厚手のダウンコート)を考えると、それくらいが限界だと思うと力説する(…高度にも依るだろうし)んで、じゃあそれでってなった
「あとですねぇ、僕のアシなんですが、ネットで探したら釧路市にレンタサイクル屋があるんで、そこに寄ってもらえます?」なんでも、厚岸町の先に“原生花園”っていう観光名所があるんで、レンタサイクルが多いらしい。どっちみち、荘田君をずっと抱いて飛んでる訳にもいかんし、その方がいいなってなった
(それに、ヒグマと遭遇するのに歩いてるより自転車くらいの機動力が必要だろう、ってこと)

ということで、時速150q、2時間弱で釧路に着けそうだなったんだけど「ちょ、ちょっと待ってください。真直ぐ西に飛ぶと、日高山脈ってのがあるんすよ」それが?って訊くと、高そうな山だと2千m近くあるらしい
「俺は構わんけど」って答えると「構うの僕の方っす、やばくないかなぁ…」ちょっとびびってる
まあジェット機じゃないんで、高い山は避けるから、みたいな話になって、とにかく出発することになった
「あと、高度100m上がると1度下がるらしいっす。雲があればそんなに下がらないらしいんですけど」っていうことは、今、8度くらいだから800mから1000mの高度で飛ぶと、大体0度ってとこかなって二人で笑い合う

今回は、リュック背負った荘田君を後ろから抱え込んで、ホテル屋上から飛び立った(まず人目がない)
そこから2時間ほど掛けて(荘田君のスマホの磁石が役に立った)、厚岸町の手前にある釧路市に3時ころ到着
JRの駅は割とすぐ分かって、20分くらいで荘田君がサイクリング自転車で、颯爽と帰って来た
「タンデムバイクがあったらよかったんですが、このタイプしかなかったんで…」なんか申し訳なさそうな荘田君だったけど、俺の作戦では、サイクリングしている荘田君をエサにして、俺が上空からヒグマを見つけるっていうストーリーだったから、別に構わなかった
後は、人目が無いところ(まだシーズンのハシリなんで人は少ない)で、後ろから荘田君ごと自転車を持って、飛べばよかった

あまり高く飛べないんで、誰かに見られる心配もあったけど、番組的には別に見られてもいいって言うんで、お構いなしに自転車と一体の荘田君を持って飛ぶ
厚岸町はすぐ近くで、厚岸湖と外洋の境にある橋のたもとに降ろして、まずはお試しで“厚岸子野日公園”の道路を、今夜の宿『霧多布村』目指してサイクリングしてもらう
俺の方は、100mくらいの上空から、走る荘田君を見下ろしながら、結構立派な観光道路の両側の林に、ヒグマが見えないか探しながら飛ぶって訳だ
「今日は練習みたいなもんで、明日が本番ですから」って、荘田君が元気に走り出した
posted by 熟年超人K at 16:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説
この記事へのコメント

この記事へのトラックバック