2022年11月27日

ランボー超人Bの物語-15 こりゃヒーロー誕生か?!G

その布引公園に向かう途中で、早くも二頭の猪に出くわした
「いますねぇ」「いるねぇ」バイクを停めて、二人で同じようなセリフを交わし、じゃあ俺がって降りかけると、猪はさっと身をひるがえして道脇の林の中に逃げ込んじまった
「逃げちゃいましたね」「逃げたねぇ」またも、同じような会話
「でも、まずいよな、これじゃ絵にならない」と荘田君「えっ、どうして?」と俺
「こんな誰もいないとこで、ミスターRが猪やっつけたって、ただの野生動物いじめじゃないっすか」「そうか」
「やっぱり、人が居て逃げようとしてるとこを、助けるとかじゃないと、画になんないっすよ」「そりゃそうだよな」

二人で漫才しててもしょうがないんで、またUターンして、とにかく市役所にでも行って、猪関連の情報入手しようっていうことになった
荘田君がスマホで神戸市役所を検索して、中区加納町6丁目の市役所に20分くらいで着いた
空を飛べればずっと早いのは分かっていたけど、これもまた楽しいものだと思える、初バイク旅だった
俺は市役所に入る前に、山の方でコスチュームの上を脱いで、上はTシャツ、下はタイツみたいな変な恰好だったんで、すぐにトイレに飛び込んで、荘田君一人が経済観光局農政部調整担当課っていう、長〜い名前の部署に行って、猪被害のことや退治する場合の注意事項を訊いて来てくれたんだけど、要するに今(3/21)は、狩猟期間ではないので、猪退治はできんってことだった
おまけに、狩猟免許が必要だし、免許をもらうには前の年の夏頃やってる試験を受けんといかんらしい

「どうする?これじゃあ、猪退治しちゃあいかんてことじゃないの?」「どうもそうらしいですね。まあRさんなら法律無視でも怖かないでしょうけど、ウチらそれを放送したら、まずBPOに引っかかってアウトですわ」「じゃあ、熊はどうなの?」熊の被害も最近はよく出てるらしいし、そろそろ冬眠明けで出て来るんじゃないかって俺は思ったんだ
「熊は、もっとだめです。11月15日から12月14日に限り狩猟可能ってことでした」「そうかぁ、だけど俺ら、狩猟じゃないだろ。ぶん殴って放り投げて、人間にも怖いのいるって教えてやるんなら、いいんじゃない?」
「そりゃそうなんですけど、あれですよ、お役所って今まであったことを基に作った法律を守るとこだから、そんなの考えてないんですよ。とにかく、こりゃ一遍、局に戻って対策練らないと…」「そうか、じゃ、それ電話でお偉いさんに訊いてみたら」ってことになった

俺が、トイレの中で待ってると(幸い超人なんでこんな格好でも寒くはない)、荘田君が戻ってきて「やっちゃえ、って言われました」って興奮して赤くなった顔で、そう言った
「えっ、いいの?」「はい、市役所に行ったんなら、ミスターRにいつもの衣装で、神戸市を救いに来ました宣言してもらって、相手がどうのこうの言っても知らん顔で猪やっつけてもらえ、ってことでした」
もう少し聞くと、荘田君はたまたま別の取材案件、例えば北野異人街とかロケハンに来たことにして、偶然遭遇して、超人ランボーが猪退治するとこ撮って、簡単なコメもらうってことにするってことらしい
要するに、俺が人間以外になにしたって、誰も止めようがないし、超人を罰することなてできないってことだ
それ聞いて、俺の心に無敵感が生まれ、よぉし、人助けだったら俺、力出していいんだ、ってなった

なんか変だが、俺は超人ランボーに戻って、トイレから出現した。ちょうど入って来たおじいさんが、びっくり顔で俺を見送ってるのも知ってたけど、もう気にせず、ずかずか市役所の中を歩いて、経済観光局の農政部ってとこに押しかけた
とは言っても、コスプレ野郎くらいに見られてる気がしたんで、カウンターを飛び越して、職員さんが大勢いる中、わざわざ天井寸前辺りを飛行して、窓を背にした大きい机のとこに座ってる人のとこに着地した
黒ブチ眼鏡の固い感じのその人は、びっくりした様子(もちろん職員さんも、カウンターのとこにいる市民も)だったけど、多分テレビで見て俺のこと知ってるらしく、割と落ち着いた声で「どうも、超人ランボーさん、ようこそ神戸市へ。で、なにか私に御用で?」って言ってきた

「なにか猪が出て困ってるって聞いたんで、退治しに来たんだけど、どこら辺に出てるか訊きに寄ったんだ」なんか、変な言い方になっちゃったけど、その人は「それはそれは」と言いながら名刺を出して「私、課長をしとります吉岡、申します」って挨拶して来た
「猪被害は、市内のいろんな場所に出とりますけど、主に六甲山のある北区に多いんですわ。今回は、どちらさんの御用でおいではりましたんでっか」って訊いて来た
「俺の意志で来ました。何匹か張り倒してやったら、猪もびっくりして山に逃げるんじゃないかって思って」
「そうでっか、そりゃすごい。どうぞどうぞ、やっちゃって下さい。後でランボーさんの臭いの着いたもの頂いて、猪避けに使わせてもらいますんで、おきばりください。念のためですが、銃とかお使いにならしませんよね」って、念押ししてきたんで、腕をぽんぽんって叩いて「もちろん」って言ってやった
posted by 熟年超人K at 12:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説
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