2022年08月18日

ランボー超人Bの物語-14 正義なんだから暴れ放題C

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中高の頃の俺は、毎日帰宅部のしょぼいパンピーだったし、大学も別に規則なんてないようなもんだったんで、自宅謹慎なんて初体験だった
なんだか、不良が暴れる漫画の主人公みたいで、少し興奮したけど、なんてことない、ただマンションの部屋でごろごろしてるだけしかないのか、ってじきに飽きちまった

仕方ないんで、テレビを点けた(ノートパソコンもあるけど、ネットよりテレビが好きだった)
が、そうそう自分に関係した番組を映っているわけでもなかった

なんだか、自分に関したニュースが取り上げられていないとつまらないんだって、俺は気が付いた
有名人になるって、こういうことなんかな、なんて、偉そうに思った

で結局、ノートパソコンを開いて、ネットサーフィン(古!)して、エゴサーチとかしてみた
最初は『渋谷暴力事件』でチェックしてみる。いろいろ騒がれてるけど、俺のことまでは出てない

次は『超人ランボー』で検索した。結構あったけど、以前のニュースからのものだけ
ひとつ、“一緒にビル解体やったけど半端ないパワーだった”…ontkってのあった(…雄仁塚の社員だな)

3つ目に念のため『上辻曲勇太郎』もググってみたけど、こっちはほとんどなんにもない
その辺りで、俺、飽きちまったんで蓋を閉じて、ついでにスマホのチェック…誰からもなんのメールもない

窓開けて、どっかに飛んでっちまえばいいんだって、分かってるけど、小心者だからかそれもできない
なんとなくまたテレビ点けて、ぼんやり観てると歌番組をやっていて、最近よく耳にするアニメのテーマソングを歌ってるロックバンドのボーカルの娘が、MCの質問に答えて最近感動したことを話してた

「あの渋谷のすごい事件って、超人ランボーさんがやったって聞いて、ほんとの正義の味方っているんだって感動したの!」…はあ?なんでそんなこと言う?!
MCのお笑い系有名人も困っちゃって「へぇ〜、MAMIちゃん、そんなことどこで聞いたの?」

「お友だちから聞いたんだけど、あれ、これって言っちゃいけないことなんだっけ?」ちょっと首傾げて、舌をぺろってしたのは可愛いんだけど…

「そんなことはないんだけど、本当かフェイクかはっきりしてないことだったら、ちょっとね!」ここで急にCMに切り替わっちゃったんで、余計に本当らしい感じになっちまったじゃん

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お友だちって誰だ、って反射的に思った
俺があの夜の主人公だって、確実に知ってるのは警察とジョーしかいない
俺を自宅謹慎にしてる警視庁が、そんな話をリークする訳ない。まして、あのアニメソング歌手に

接点だってありそうだ。タイプも似てるし(軽いとこ?)
大体、ジョーって誰なんだ?呼び名だけで、本名かどうかだって分かってない
そいつに俺は、正体明かして、名前までぺらぺら喋っちまってる

まあ、放って置いたって同じって言えば同じなんだけど、あのアニソン歌手さん可愛かったから、逢って話を聞いてみたいミーハー気分がむらむら湧いて来たんで、俺は、テレビ局目指して、今すぐ行ってみることにした
だって、俺、超人なんだから、こういうのもありなんじゃない?

なんてったってライブって言うんだから、今すぐブッ飛ばせば逢えるんじゃないかってことで、超人ランボーの服、大急ぎで着て、ベランダからひとっ飛びー!
ところが、いつも行ってるTテレじゃなかったから、場所を知らないことに気が付いた

なんとなく中央区目指しちゃったけど、しょうがないんで、目立ってる六本木ヒルズ(俺でも知ってる)の隣の赤茶色のツインビルの屋上にちょっと降りて、スマホで今やってる音楽番組をググって、ライブ中を確認してそこがNテレだって分かった

で、本社ビルの位置を調べて、港区東新橋に直行した
屋上から入るか、1階入り口から入るかちょっと考えて、1階入り口から入ることにした
そっちの方が、今日の番組案内みたいなのがあると思ったからだ

なんかすごくでかい時計(宮崎駿のデザインなんだって)の下をくぐって、ビルの中に入った
だけど、俺の恰好は超人ランボーな訳で、空から入口前に降り立った段階で、観光客とかが注目してるのが分かったし、警備員の人やインフォメーションの女の子もじろじろ見てる

マスク被ってるんで、そんなに恥ずかしくはないんだけど、次、どうしたらいいか分からなくなっちまって、俺、直立不動状態
「あのー、どちらに御用でしょうか?」そんなフリーズ状態の俺に、救いの女神さん登場!

「あの、アニメソングをライブで演ってるスタジオって、どこでしょうか」ちょっと、我ながら間抜けな質問
「ああ、ご出演の方でいらっしゃいますね。ご案内しますので、どうぞ」…おおっ、優しい!
だけどその時、彼女の同僚が電話してるの、見落としてたんだよね
posted by 熟年超人K at 22:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説
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