2022年03月12日

ランボー超人Bの物語-10 正義の味方始めましたB

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そうは言っても、給料振り込んでもらってるんで、俺は素直に「はい!」って大きな声を出して、訓練用の4階建てビルの屋上に飛び上がった
下では、SIT隊員が4人1班3グループで、建物表口と窓と裏口から突入を始める用意スタンバイだ

そんなら次は俺の番だなって思って、とりあえず屋上の床を透視したろうかって、じっと見つめてやった
ところがコンクリートが厚くて、ぼやっとしか見えない。しかも真上からだと、人の形ってちょっとした丸い影くらいにしか見えない

中で突入隊を待ち構えてるSATの連中は、まだ俺の詳しい能力は知らないはずなんで、俺がどんどん突っ込んでけば、それでヨシだろうけど、それじゃあSITの訓練にならないから、連係プレイを大切にしてくれ、って星崎さんから何回も念押しされてるんだ

特に言われてたのが、とにかく人質の安全が第一ってことだった
俺が一人で、ばりばり突っ込んで、犯人たちが慌てて人質を殺しちゃうとかになったら、作戦は絶対失敗になるから、って強く言ってた(怪我でも大体失敗って判断されるらしい)

それで、俺はなんでも静かにやらなきゃいかんってことになってる
ドアが開かなかったら、ぶっ壊すとかはNGで、まずどうやったら静かに先に進めるか、そこを考えてから行動して欲しいんだと

で、俺は屋上からそっと下の階の偵察ってことで(当然頭を下にして空中から)、窓の中を覗いていった
4階は、椅子に座った白Tシャツの男が一人、ドアの方を見ている(手にはピストル)

続いて3階を見に行くと、ちらっと見ただけで男が四人と、人質役らしいのが五人(犯人は皆、銃を持ってる)
人が多いんで、誰かに見つかるとヤバイから、ちょっと見ただけで屋上に戻った

Tテレで作ってくれた超人ランボー衣装は、ポケットとかがない
SITに連絡する用に用意してもらったのは、二つ折りのガラケーだった(頑丈な防水携帯)。それを、拳銃用のホルスターみたいなのに入れて装着している

本当はカッコいいイヤホンタイプの無線受信器が良かったんだけど、コスチュームの頭はのっぺらぼうなんで、耳に装着できない
それと、俺は乱暴に行動しそうだからって、スマホとかじゃ持たないって、装備係に言われたんだって

まあそんなんで、ホルスターから携帯を取り出して、俺はSIT指令車に報告した
「Rより報告。立て籠もり犯は、4階に一名、3階に4名と人質五名、確認しました」刑事ドラマの主人公になった積りで、出来るだけカッコつけて喋った

「指示車了解。2階と1階はどうなっているか」あ、まだ見てない
「これから確認します!」まずっちったなぁ…

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で俺は、めっちゃあせあせ状態で2階の様子を見に、また建物の外壁に沿って降りてった
2階には人が居ない。と思ったら、なにか動いた。距離があるけど透視してみた

女の人が一人、事務机の下に隠れてる。ということは、人質にされずに逃げてる役の人かも知れない
う〜ん、芸が細かいなぁって思わず感心。危なく見逃すとこだった

このことを報告しに行かなきゃ、って思ったその時、ドアが開いた音がして、銃みたいな物を持った男が、部屋に入って来た。
見つからなきゃいいけど、ってハラハラしてたら、結局見つかって、机の下から引きずり出された

なんか危ない状況になったんで、どうしようって迷ってるうちに、隠れてた女の人は両手上げの状態で、銃を突きつけられ部屋から連れ出されようとしてる

まあ、後で落ち着いたら、結局お芝居じゃんってなったんだけど、そのときは頭がかぁーってなっちゃって、気が付いたら俺、窓をぶち破って、部屋に飛び込んじまった

そん時、女の人がびっくりした顔してたのと、同じくらいびっくり顔の男の表情は記憶に残ってるけど、次は銃持ってた男はふっ飛んで壁にぶつかってたし、女の人は俺に腕を掴まれたときに、なんか一生懸命言ってたけど、そのまんま俺が一緒に窓からダイブしたから、屋上に着くまで悲鳴上げてた

女の人が落ち着く前に、ホルスターの携帯がぶるぶるバイブして、俺が慌てて出ると「ばかやろー!なにやってんだぁー!!」って思いっきし怒鳴られた

結局、訓練はそこで中止になり、SITの葛城隊長がSATの篠崎隊長にぺこぺこ謝ることになっちゃった
でもその後に、SITの指示車の中に入って、葛城隊長さんと3人の班長さんとのミーティングのときには、別に怒られはしなかった

「やはりランボー君は超人なんだねぇ。我々と連携作戦を取るというより、我々がランボー君をフォローできるオペレーションを、組み立てるべきだということだ」隊長さんが、エモいって感じで話すと

「現状打破力が抜群ですし、損傷を気にせず飛び込んでもらえるので、後の展開が容易になります」
「ヘリのように音が出ないので、場所、時、気象を問わずに作戦が組み立てられます」
「SATさんの応援要請も出て来るんでしょうな」班長さんたちも口々に発言するんで、俺も悪い気はしない
posted by 熟年超人K at 16:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説
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