2022年02月09日

ランボー超人Bの物語-10 正義の味方始めました@

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なんか駒ちゃんが出てっちゃったもんで、俺としては正直居て欲しかったなぁ、って気持ちが顔に出ちゃうのが嫌で、壁の方黙って見てると、プロデューサーの御香山さんが口を開いた

「警察公認になられたって、伺ってますよ。これで、好きなだけ正義の味方で暴れることで出来ますねぇ」って何?
「別に俺としては、暴れたい訳じゃないっす」こういうことには、ちゃんと言っとかんといかん

「あ、いや別に、超人ランボーの大暴れを期待してるとか言ってる訳じゃないですよ、ほんと」なんか軽いんだよな、この人の話し方って

「まあ、そういう風に期待してる世間ってのもあるんじゃない、って話ですよ」って、殿倉さんがフォロー
「局としても、貴方とご縁があるようですので、正義を実現して頂ける方向の情報を、提供させて頂くことは、やぶさかではないということなのです」高級紳士服の冠沢さんが、重々しく口を開いた

「そうなのです。貴方が超人ランボーとして、正義の力を遂行しようにも、誰がどの程度の“悪”で、懲らしめるべきかなんて、判断するのは難しいと、我々は考えた訳です。たんに困っている人を助けると言っても、本当に超人ランボーが助けるべきなのかなんて、難問ですよ、これは」御香山さんが熱心に喋る

「それで勇太郎さんに、ウチの局に集まる情報を提供して、貴方の主体の下、問題解決に取り掛かることが出来たら、良いんじゃないか、とまあこういうご提案なんです」殿倉さんが、俺の味方だよって顔して言う

結局、以前あった話と、大して変わってないじゃん、って思ったけど、今回はなんか契約書にサインしてくれ、みたいな話はなさそうだし、俺としても、警察からの出動要請がなければ、動けないってのも不満だったんで、前向きに検討します、みたいな大人の返事をしておいて、その日は終わった

それから3日後、緊急出動の際は、Tテレに直接ラインで連絡したら、いつでも取材に向かえる特別班を、24時間待機させることになったというメールが、FDのザキさんからあった

俺としては、なんだか責任が重い感じで、ちょっとうざいなって思ったけど、まあこれもしょうがないかって、納得することにした

そんななんやで、雄仁塚建設の合田社長んとこに、挨拶に行けたのはザキさんのメールがあった翌日だった
合田社長は、あれから俺の連絡がないってことを気にかけてたが、なんにしても良かったじゃないかって喜んでくれて、会社の方は気にせんでいいよ、って言ってくれた(ほんとに良い人だ)

社長に挨拶に行った後、総務部と建築工事課にも顔を出したけど、那賀置部長も滑川さんも、もう警察に追われること無くなって、良かった良かったって本気で喜んでくれたった

大手組の親分のとこにも挨拶に行った方が良いかな、って思ったけど、ある意味、俺は警察の人間になったんだから、どっちにも迷惑かけるな、ってことで止めにしといた

駒沢さんには、Tテレに行った日に会った後、新番組の仕事が入ったとかで、結局まだ会えてないんだ
警視庁の方はTテレでのことを、公安の(俺は結局公安預かりのSIT緊急要員だそうだ)成森さんに話したら「了解しました、こちらの案件を優先して頂ける、ということで承知しております」って答えてくれた

さあこれで、やっと正義の味方のお仕事、本格的にスタートだ!

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さあ、それじゃやるか!…てなことには、ならんかった
って言うか、まず超人が出て行くのに似合う事件なんて、なかなか起きないんだなぁ

まず、人質取って立て籠り事件なんて、そうしょっちゅう起きないし、ビルが崩れそうになって、中で救助を待っている人が何人もいる、なんてことも(あったら大変だけど)起きなかった

大体、事件なんて、起きたから分かるんで、こっちが情報をキャッチして、場所を特定して出掛け(いくら急いで飛んで行っても)るとしたら、まず間に合いっこない(ドラマみたいに偶然出くわすなんてあり得ん)

テレビ局の方でも、これには困ったようで、独裁者が国民を虐げている国でひと暴れする企画や、外国の凶悪地帯を歩いてみる企画なんてのが出て来たが、どれも局の偉いさんが慌ててストップしたって、駒ちゃんが言ってた

警視庁の方も同じようなもんで、いやいやむしろこっちは、法律守っての上での出動だから、まず大きな事件でも起きなきゃ、お呼びはかからないはずなんだけど、お役所らしく毎朝出勤しなけりゃいけないのが苦痛

それでも、例のスーツ着て、毎朝飛んでいけばいいんで、通勤ラッシュもないし、それで給与振込だから文句も言えない(これならもう少し都心に移って駒ちゃんと一緒に暮らせるかも…なんちって♪)

とにかく食費はかかるけど、質より量なんで、高い店に行かなきゃ充分やってける
なじみの食堂に行けば、店のおばちゃんにモテモテだし(一応有名人なんで)、ときどき駒ちゃんのお弁当も食べさせてもらってるし

そんなこんなで、俺の人生上最大のウハウハ期が続いたんだけど、そのうちなんかストレスが溜まって来たのに気が付いた
雄仁塚建設に、たまに行ってもお客さん扱いで、仕事なんかやらせてもらえない

どうも超人になってから、ぶわぁーっと力を発揮できたときなんて、そんなになかったことに気が付いた
こうなったら、自分で探すしかないか、って思ってた矢先、スマホの着信音!!

「もしもしっ」ってテンション上げて出たら、ビンゴ!星崎さんだった
「今、お忙しくはないですか?そうでなければ、ひとつお願いしたいことがあるんですが」

こっちは退屈してたから、はいはい!ってなっちゃう
「実は、明日、SITの訓練施設で、貴方との連携確認訓練を計画したのですが…」なんだか面白そうな予感
posted by 熟年超人K at 11:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説
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