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空の高いところ(5000mくらい)を、思いっ切りスピード出して(とは言ってもこれがリミットスピードかどうかは俺は知らない)飛んでると、段々気分が良くなってくる
そもそも、俺自身、どうやって飛んでるのか、実は分かってない
翼もないし、アトムみたいに足の先からジェット噴射してるわけでもないし、考えてみると、不思議だ
俺をこんな風にしてくれた(?)未来から来た(と言ってた)宇宙人に、また逢えたら訊いてみたいもんだが、ま、こうやって飛ぼうと思えば飛べるんだから、別に文句はないんだけど
とりあえず、西に向かって飛んだんで、玉川上水駅近くの俺のアパートからだと、拝島線沿いに奥多摩方面を目指してる感じになった
ヘリは全く付いて来れなくて、俺は一人風を切って飛んでいる(超人なんで年末の風もへっちゃら)
下を見ると、市街地が大分疎らになって来たから、あきるの市辺りまで来たかと思う。今頃、俺のアパートの部屋は、警察が入っていろいろ捜索してるんだろな、と思うとなんかお尋ね者になった気分になる
なんてったって、別に警察が怖い訳じゃないし、そこそこ雄仁塚建設で稼いだお金もあるから、問題は無いんだけど、これから何処に行けばいいんだ、って考えると心細くもある
そんなこと考えながら、飛んでいると下はもう山地になってる。けど、市街地と違って、目印になるものがないから、ただ山が連続してるだけで、つまらない
こんなとこに逃げ込んだって、いいことなんかありそうもないし、第一、金があっても使えない
確か、もっと西に進めば、甲州市とか甲府市があったはず。どうせなら、そっちに行ってみようと決めた
とは言っても、甲府市にも甲州市にも知ってるとこはないなと、考えながら飛んでいると、下はすっかり雲海で、どうもその下は雪でも降ってるんじゃないかと思った
そのときふっと、子供の頃、甲府近くの温泉宿に家族で泊まりに行ったことを思い出したんだ
そうか、それもいいかも、なんだったら、宿が決まったら駒沢さんに連絡して、呼んじゃったりして…なんて、妄想が広がってきた
早速、雲の中に飛び込むと、周りは真っ白で、雪も降ってる
どんどん降下していくと、ところどころ白くなっている景色の中に、道路が延びてるのが分かる。…というか、1〜2台、車が走っていたんで、道路があると分かった
大雑把に西と思う方を向いて飛んでたんで、今いる場所がどこだかわからない
とにかく、車が行ってしまったんで、道路わきに降りて、スマホのマップで位置を確認した。どうやら今いる場所は、国道139号線で、少し南に行くと大月市があるらしい
だが、大月市という市のことは知ってない。それより西の方に石和温泉があったんで、7〜800mくらいの高さを保ち(それより高い山は避け)、西を目指してもう一飛びすることにした
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下界には、これぞ温泉街って感じの、子供の頃泊った記憶のある旅館もあったりする石和温泉の通りが見える
ほんの少しだけど、温泉客っぽい人たちも歩いてるし、上からじゃわかんないけど、土産物屋さんみたいなお店だったら、店番の人が客が来ないか通りを見てるだろうから、ここに降りたらさすがにまずいだろと思った
てなわけで、この温泉街通りは止めにして、もう少し街から離れた場所を探すことにして、建物が少ない方に飛ぶと、水の少ない大きな川があり、意外にお洒落な大きなホテルが建ってた
まあ誰か見てるなら、それはそれでいいか、と思い(それでも気を少しは遣ったんだ)人影がない河原に着地すると、背中のリュックからジーンズとセーターとマフラーを出して着替えると、土手の上に見えるホテルに向かって歩いた
金はそこそこ持ってるし、そんなに汚い恰好はしてないから、どんどん玄関から入って、フロントのカウンターにあったベルをチーンて鳴らして、係の人を呼んだ
「ご予約のお客さまでしたでしょうか?」すぐに出てきたのは、割とイケメンのパシッとした男の人だ
「予約してないんだけど、今夜、泊まれるかな」ちょっと上から目線の言い方で、尋ねた(滑川さんが、立派な店に行ったら、ちょっと偉そうな感じにした方がいいぞ、って言ってたよな)
「少々、お待ち下さい。お客さまはお一人でございますね。…ならば、シングルのお部屋がご用意できます。お夕食は、こちらでお召し上がりになられますか?」なんだかいちいち、めんどくさい喋り方をする奴だな、と思ったが、素直に返事することにした
「夕食は食べます。明日の朝飯もよろしく。…で、いくらになるかな」ストレートすぎるけど、ちゃんと聞いとかないと
「一泊二食、和室のお泊りで、税込み2万5千245円となりますが、よろしいでしょうか」丁寧な口利きだけど、払えるのか?と心の声も聞こえるような気がする
「オッケーです。じゃ、よろしく」金の心配はない俺の明るい返事に、ホテルの人も明るい笑顔になる
大した荷物じゃないけど「どうぞ」と言って、女の係員さんが手を出すから、リュックサックを渡して、6階の部屋に案内されることになった
部屋に入ると、案内してくれた女の係員(仲居さんという)が、お辞儀をして、部屋の中のテレビとか冷蔵庫の使い方を説明してくれた後、「お夕食は何時になさいますか?」とか「明日のご朝食は…」とか、いろいろ話すんで、大体、はいとかええとか適当に返事をして、やっと一人になれた
部屋は畳の部分もあるけど、ベッドが2台あるし、テーブルと椅子のセットもあったりして、なかなか快適だ
とりあえず着ていた服を、用意してあったホテルの浴衣に着替えて、大浴場に行くことにした
大浴場の脱衣場には、誰もいなかったんで、すぱっと全部脱いで、素っ裸になって化粧台の鏡に映して見た
そう言えば、超人にしてもらってから、こうして自分の裸をしっかり見たことがなかった(アパートじゃ無理だから)
鏡の中の俺は、別にマッチョになってる訳じゃなくて、ちょっとがっかりだった
それでも、もっと、なんかハ○クみたいに緑になるとかじゃなくて、そこはまあ良かったかな、と思った
まあ、超人のときは思いっ切り力出して、そうじゃないときには、こうして温泉とか行けて(ほいっと駒沢さんと、とか浮かんだけど、そこは抑えた)のんびりできるのが、一番じゃね、と自分に言い聞かせた
飯の時は、めちゃくちゃ腹が減ってたんで、おひつのご飯も全部食べて、もちろん料理はなにもかも平らげて、仲居さんがびっくりして、途中から年配の仲居さんや、料理長さんまで観に来たくらいに食べた
俺はその後、ぐーすか寝ちゃったけど、ホテルの人たちは大騒ぎになってたらしい
夜のテレビのニュース(各局全部)で、普段の俺の顔を出した局があって、仲居さんが支配人にそれを報告したんで、皆で相談の結果、警察に連絡して、明日朝チェックアウトしてから、警官が来ることになったんだ
2021年08月15日
ランボー超人Bの物語-8超人って大変F
posted by 熟年超人K at 15:56| Comment(0)
| 書き足しお気楽SF小説
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