2020年07月12日

ランボー超人Bの物語―6 超人デビューB

200603
なるほどね、スー〇ーマンらしく、空を飛んで帰れってか。まあ、そりゃそうだろうな。屋内では飛んで見せたけど、空をカッコよく飛ぶとこは、まだ見せてないもんな

ということで、屋上に向かうことにしたんだけど、後をカメラマンとザキさんと駒沢さんが付いて来る
「一緒に屋上に行くんですか」って訊いたら、「ええ」ってだけ答えて、後は無言

結局エレベーターで屋上に着くと、殿倉さんと局長って呼ばれてた人と、なんだかもっと偉そうなラスボス風の年寄り寸前の人とが、集まってる

「じゃあ」って一言だけ言って、ぴって指先を額に当てて挨拶して(その方がカッコイイって思ってさ)、ぽんと空に飛び上がった

カッコよく飛ぶって、ほんと難しい
それまでにも家の近所で練習してたんだけど、まず片手を突き上げる(ウル〇ラマン的な)か、両手を上げるか、なにもせずふいっと飛び上がるかで迷ってた

スマホをセットしといて、撮ってみたけど、我ながらカッコよく飛べてない
そりゃイケメンでも、筋肉もりもりでもないし、いけてるコスチュームじゃないし(最近はマントなしが多いけど)って、自分をディスってたんだよね

このときは、片手あげぇの、飛んですぐ両手揃えーのでやってみたわけ
少し上がったとこで、コースを変えるふりして、ちらっと屋上を見たらば、殿倉さんと局長さんが「社長、見たでしょ、本物ですよ彼は」なんて、言ってる声が聴こえたさ

よし、やったぁ、って調子に乗ってスピードぐんぐん上げて、ぶっ飛ばす
往きが時速200qくらいだったとすると、その5倍くらい出てたかなぁ、1000qくらいだったかな、きっと

実は都内上空を、そんなスピードで飛んだんで、羽田のレーダーや、厚木基地のレーダーに引っかかったんだけど、大型の鳥ぐらいの大きさで、あっと言う間にアパートに着いちまった俺が、急に減速して降りちまったもんで、なにか謎の飛行体って、記録されたくらいで特に問題にはならなかったみたい

200611↓
とにかく、やっと部屋に戻れて(もう6時だ)、やれやれの俺
日頃、話したことなんかない年長の偉い人たちと、沢山話したんで、頭の中はめっちゃ疲れまくりだ

体は全然疲れてないけど、腹が減って減って…、まるで胃袋が俺を食いたくて暴れてるみたいだ
冷蔵庫を開けてビール(第3だけど)出して、つまみも探したがチーカマの残りがあっただけ

お湯沸かして、金が無くなった時の非常食のカップヌードルを用意して、テレビを点けた
ビールはそれなりに美味しかったけど、全然酔わない(超人になって失敗したとこ)

カップヌードル2つ食べても、まだ腹が減ってる
こりゃ、早く仕事見つけないとやばいなぁ、って思いながら、今日テレビ局でもらった封筒を開けた

『専属ゲスト出演契約書』と題された用紙は2枚一組が2組ともう1枚あって、甲がTテレビ、乙が上辻曲勇太郎となっていて、甲は乙のテレビ番組出演並びに、乙の活動する映像の使用権利を、優先的に乙より承認されるものとする、とか書いてある

その後は、ああいう場合はこう、こういう場合もこう、みたいなことが書いてあって、肝心なギャラのこととかは、その都度両者の協議による、となっているだけで、具体的な金額は出ていない

だけど、一番最後の方に、専属謝礼金は当面月額25万円と書いてあり、その月の25日に乙の指定口座に振り込む、となってたんで、やっとほっとした

2枚一組は、はんこを押して、それぞれで持つものらしく、残った1枚は、この契約書を取り交わしてからの、予定みたいなことが書かれていた

それによると、なんだか打ち合わせが多いみたいだし
どっかに行くときは、一応連絡をとること、みたいな注意が書いてあったりするんで

専属謝礼金に釣られて、はんこを押しちまう寸前で、俺は自分にストップをかけた
『長ったらしくて訳がわからん書き方してる契約書ってのは、大体こっちが損するもんだから、はんこは絶対押すな』死んだ親父が言ってたことを思い出したんだ

しばらく眺めてから、俺は俺を励ますように「俺は超人ランボーだ」と声に出してみた
何回か言ってるうちに、段々その気になってくる

そうだ、これから超人ってことでやってくんなら、これくらいのことでブルーになってたまるか!
…だよな親父

200701↓
それから俺は、今日のこれまでのことを、柄にもなくじっくり思い返してみることにした
で、最初に頭に浮かんだのは、あのラスボスの親分さんのことだった

自分でも、なぜだか分らなかったが、とにかく印象に残ってんだよな
正義の味方ですったって、悪い奴らなんてわからんようにやってるだろうから、やっつけようがないかも

これで、テレビの人たちに、ああじゃこうじゃ言われたら、やってられんじゃないかなぁ
じゃあ、どうする、正義の味方って言わんようにして、目に着いたらやるにしょっかな

やっぱり考えてもしょうがないんで、テレビを点けたら、ちょうど7時のニュースが始まったところで
NH〇のアナウンサーが伝える中国とアメリカの揉め事のニュースに続いて、中国で新型インフルエンザが発生したとか話し始めた

俺は超人だけど、病気にも無敵なんだろうか
勝手に超人は死なないって、と思い込んでたけど、なんにだって限界があるって言うもんなぁ

まあ、くよくよしてたってしょーがない
それより、テレビの契約をどーするかだな

ぐじゃぐじゃ考えてるうちに、急にめんどくさくなってきたんで、俺はもう放かすことにした
別に、契約なんて結ばなくたって、俺が大活躍すりゃあ、向こうから寄ってくるだろ

後は、お金をどうやって稼ぐかだな
取りあえず、力仕事でもやって稼ごうって結論して、考えるのは中止にして、バラエティやってそうな局にチャンネル変えた

200712↓
あんまり面白くないバラエティ番組を観ているうちに、そうか、俺もこの芸人ワクくらいに思われてるんじゃないか、…っていうか、芸人でもない奇人変人ワクかも知れん、と気が付いた

それならそれで、変な演出されるより、俺自身で考えて行動できる方がいいや、と決心してた

それと、力仕事の方は、建物の解体業者に売り込んで、パワーシャベルより早くて安く家一軒片付けられます、って売り込めば、どこか使ってくれるとこあるだろ、って閃いたんだ

まあ、それはそれでいいな
後はあれだな、なに着て行くかだな

考えてみると、超人になってから、いつもそこが気になってたみたいだ
別に、どんな格好でもいいじゃんって思ったりもするんだけど、そこが一番大事な気もするんだよな

普通の会社の連中が、スーツとかカバンとか、靴のブランドばっか自慢してるのも分かる
なんだか、見かけで人って判断するんだよな、学校行ってた頃は、親も先生も中身が大事って…

就活でそうじゃない、って、段々分からされて
やっと入れた外食チェーンの会社は、制服あったけど、着方も結構うるさくて

大手に入った連中なんて、パリッとして、中堅会社に行った奴らは、まあまあの格好で
俺なんて、そいつらがいつ店に来るか、気になったもんな

どうでもいいけど、世間とか親とか親戚とか、実家の近所とか、皆んな格好気にしてるの丸わかり
とかなんとか言ってる俺だって、超人しに行くときの、着るもの気にしてるんだもんなぁ

まあ、契約はしないって言ったら、テレビ局で服、用意してもらうの駄目になるかも知れんけど
それでも、ここは強気で行くべきだって、俺の心の中の俺が、いけいけサインばり出しまくりなんだよね

結局、一晩寝て、こんどは電車乗り継いで、Tテレに行った
愛想よく受け付けてくれた受付の女の子が、連絡してくれたらすぐに、ADの駒沢さんが来てくれた

駒沢さんに案内されて、局の人たちが使ってる喫茶コーナーで、コーヒーを出してもらった
「連絡頂いてなかったんで、野木崎はスタジオなんです。今日は、昨日の契約書の件ですか?」

「ええ、契約書は出さんことにしました。それで、昨日借りたのお返しします」紙袋に入ったやつを駒沢さんに渡そうとすると

「ああ、この服は返却して頂かなくてもいいんですけど。そうですか、契約書はまた後日に、ご検討頂く形で構わないんで…」なんか困ってる風だ
posted by 熟年超人K at 16:20| Comment(0) | 書き足しお気楽SF小説
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