2021年02月06日

ランボー超人Bの物語―7超人だってば、俺はD

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俺は文字通り舞い上がってる状態だもんで、彼女に受けそうなことならなんでもする積りになってたさ
まず、もっと灯りの華やかに点いてる辺りを目指すことにした

「駒沢さん、少し場所を変えるからね」そう話しかけてから、ゆっくり光の海の方向に向けて飛び始めた
「純だよ。わたしの名前呼ぶの、じゅんでいいよ」それが、彼女の返事だった。やほほーぃ!

それから俺たちは、とっても気持ちよく、東京の夜景の上を遊覧飛行を楽しんだんだ
だが、そこで問題が起きた。超人の俺には寒さが分からなかったこと。そして、有頂天になってる俺は、寒さで震えている駒沢さんの変化に、気付けなかったこと

1時間くらい飛んでいて、すっかり駒沢さんが喋らなくなったことに、やっと気が付いたアホな俺
「ごめん、ちょっと寒過ぎだった?」声を掛けると、駒沢さんはかすかに頷いた

その頃、レーダーに捉えられている、首都上空をふらふら飛んでいる未確認飛行物体について、在日米軍や航空自衛隊基地では、その対策会議でてんてこ舞いだったらしい(後でNetニュースになっていた。どうも、駒沢さんの銀色のダウンがレーダー波に引っかかったみたい)

こっちはそんなこと知らないから、すっかり冷えてがたがた震えてる駒沢さんを、早く暖かいところに連れてこうと、あせって着陸場所を探してたよ

確か、山に登る奴から、100m上ると1度くらい温度が下がるって、聞いてたのを思い出した
下だってクリスマス前だから、この時間は5〜6度くらいだろう。ってことは、俺は駒沢さんを0℃くらいのとこに連れていたってことになるんだもんな

灯りの消えてるビルの屋上に、一旦降りて屋上から下を見て誰も居ないのを確認して、やっと駒沢さんを下の道に降ろせた

どうも風邪をひきかかってるみたいで、うんと調子が悪そうな駒沢さん。とっても、じゅんなんて呼べるタイミングじゃないぞ

とにかく温かいところに連れてきたいんだけど、人けの無いとこを選んで下りたんで、時間も時間だし、寄れそうなとこって言えば、怪しい照明のホ、テ、ルが目に付くだけだ

困った俺は、チャンス、って囁くワルの俺の声を無視して、駒沢さんに「家、どこなの?」って訊くしかなかったさ。フェアプレイ精神なんだよな俺

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「家、中目黒です」小さな声で駒沢さんが答えた
「じゃあ、送ります」って紳士の俺だけど、言ってから中目黒って、夜、空から見て分かる?って、なった

「空から見て、家、分かりますか?」って、間抜けな感じだけど、しょうがないから駒沢さんに訊ねた
「ああ、そうですね。夜だし、空からじゃ分かりませんよね」少しほっとした声で駒沢さんが応える

それで、地下鉄かタクシーか、ってなって、当然、タクシー捉まえて「中目黒までっ」ってなった
そうして、タクシーの車内で、駒沢さんとぴったりくっついて座ってると、いろいろ妄想が広がり始めた

そう言えば、超人になったんで、気温とか、極端言えば火だって感じないんだけど、駒沢さんの体温は感じる
そんなこと考えてると、アソコがむくむくしてきちゃって、焦る

もしも、駒沢さんの家(古めのマンションらしい)に送って、上がってって言われちゃったら、どーする?
それで、あーなってこーなっちゃったら、どーするよ俺

大体、超人の俺が、アレすることになったら、どうなっちゃうんだろ
25才の健康な男子の俺は、アレの経験が無いわけじゃない。…2回だけど、ある!

それで、アノときのイケイケGOGO!のときに、どうなっちまうか、わかってる
わからんくなることがあることが、わかってるから、ヤバい。なんかすごく熱中しちゃうことがヤバい!

とかなんとか、考えてるうちにタクシーがとある4〜5階建てのマンション前に停まり、ドアが、バッて
開いた
「今夜はどうもありがと。また、連絡するね」って、一言残して、駒沢さんは爽やかに降りてった
「この後、どちらまで行きましょうか?」って、運ちゃんが言ってきた

「ちょっとその先で降ろしてくれていいから」そう俺が言うと
残念でしたね、みたいな雰囲気、思いっ切り醸し出して、運ちゃんは、わざとらしく数ブロック走ってドアを開けると

「1万880円です」って、無愛想な声で言う(5万円もらったのが、半分以下になっちまったよ)
全然どこか分からない街角で、俺はスマホでマップを出して、自分家の位置を調べといて、空に舞い上がった

幸い夜でもよく見える目のおかげで、なんとか立川のアパートに帰れた俺は、部屋に戻れて良かった〜って、本気でほっとしたさ
posted by 熟年超人K at 16:49| Comment(0) | 書き足しお気楽SF小説
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