2020年02月12日

ランボー超人Bの物語―5 俺はランボー超人だーっB

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「座らせてもらっていいっすか」うん、声は震えてない
デスクを前にしたラスボスらしいのが、顎を動かすと、さっきのスーツが手でデスクの前にある革張り(だろうな)のソファを、どうぞ、みたいな感じで手で示す

座ってみると、えらく深く沈むソファで、尻半分が穴に落ちて、はまってるみたいになっちまった
立ってる連中が、こっちが低くなったんで、見上げてる感じになってでかく見える

なーるほど、これはそこを狙ってる椅子なんだ(相手の狙いにはまっちまった、てとこだね)
おまけに深く沈んじまってるんで、動き辛いったらない

「で、あんた、ウチを退治に来たんだってな」相変わらず渋いいい声で、ラスボスがぼそっと言った
「ええ、まあ、俺、正義の味方なんで、お宅さんみたいなとこ、潰して廻ろうっておもってるんで」言えた言えた

「てめぇっ…」白スーツが内ポケットに手を入れながら、歯を食いしばったみたいな声で凄む
「やめろ、こいつは、見た目より強い奴だ」中年ダークスーツが、どすのきいた(って、こういうのだよね)声で、白スーツを手で制する

Vシネみたいな展開になって、俺としては、暴れるきっかけが何時来るんだろう、と思ってると
「よせよせ。大体、あんた、なんの遺恨でウチを狙うんだ」イコンって、恨み、とかだよな

「別に、特別には無いんだけど、ほら、お宅たちやくざって、悪いことやって儲けてるんだろう」って言ってやった
「そりゃあ、真面目に働いてるったぁ、言えんが、世間の儲けてる会社と、大して変わらんよ、ウチも」

「だめだめ、そんなこと言ったって、お宅らは組織暴力団って言われてるじゃん。俺、知ってるから」
「なにぐだぐだ言ってるんじゃ、会長、やっちまいましょうよ、こいつ」横から白スーツが口を挟む

「ばかやろう!会長のお話し中に、ちゃちゃ入れるんじゃねぇ!」中年ダークスーツが白スーツを叱り飛ばす
う〜ん、Vシネっぽいなぁ、この展開

しかし、誰も襲いかかって来ないってなると、こっちから手を出しにくい(なんというか、呼吸が読めん)
「まあ、今日のあんたの暴力沙汰には目をつむろう。ウチもこんな稼業だから、仕方ないところもある。腕っ節の強いのは分ったから、今日のところは一旦引いてくれ」ラスボスが貫録たっぷりに締めに入ってきた

えーっ、これで終わりにされたら、中途半端じゃん、って思ってると、遠くにテレビでお馴染みのパトカーのサイレンが、いっぱい聴こえてきた
俺が少しそわつくと、イケメンが「やばいっす、来ましたよサツが」って、口走る

一同、ざわっとしたところで、スーツがラスボスの目配せで、こちらへ、というように俺を逃がすような雰囲気を発散する
俺、どうしようかな、って迷ってる

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「すんません。俺、こういう考えなきゃいけないのって苦手なんで、もうちょっと居させてもらって、勝手に帰らせてもらいます」
こんなじゃあ、この後、テレビ局に行ったって、中途半端なのは俺でも分かるってこと

「会長、こいつこのまま帰しちまうんですか」白スーツが、目一杯怖そうな声を出す(おっいいぞ)
暴れるきっかけが欲しい俺は、深く沈んだ位置から、こっちもできるだけいやな眼つきで白スーツを睨んでやった

「笹島、いーから会長のおっしゃるようにしろっ」案内係のスーツが、白スーツを窘める
「そーだよ、笹島くん。言うこときかないと、怒られるぞぉ」消えそうになった火種に、慌てて空気を送る俺

そりゃそーだろうな、暴れてた時はともかく、こんなズダボロの格好で、でかいソファに沈み込んでる俺なんて、背も低いし、会社でもパッとしないなぁお前、なーんて言われてるくらいだから、白スーツにしたら、腹が立ってしょうがないんだろうよ

案の定「てめえ!」か、なんか口走って、俺の襟元を引っ掴んで、立たせようとした(あーぁ、やってくれたね)
その手をぐっと掴んで、斜め後ろに白スーツを投げ捨てると、その反動を利用して、ひょいと立ち上がった

壁にぶつかって、どーん、とド派手な音を立てて跳ね返り、ほぼ同じような位置に落ちた白スーツは、かすかに動いてはいるけど、もう戦力にはならない状態だ
俺が立ち上がった動きに反応して、中年スーツと案内係スーツが、素早くラスボスの前に移動し、イケメンがジャケットの内に手をつっこんだ

一触即発、とその時、ラスボスが立ち上がって「待った!」と、思いがけない力強い声で、皆を制した
俺と言えば、座っていたソファを引っ掴んで、目の前の中年スーツと案内係スーツにぶっつけようと、大きく振り上げたところだった

その力の凄さに、ラスボスを守るように立ちはだかっている二人のスーツ男の眼が、驚愕に見開かれ、俺の斜め後ろに位置するイケメンの手が、ジャケットに突っ込まれたまま止まっちまっている
ラスボスも驚いているようだが、さすがに親分なだけあって、割と冷静

「まあ、待ってくれ。権藤、笹島の様子を見てやれ。チャカは出すんじゃない!」
どうやら権藤がイケメンのようだ、すっと力が抜けて、軽く頭を下げると、白スーツのところに行く気配

「すまんかった。若いのが先走っちまった。勘弁してやってくれ」貫録って言うのは、こういうのかな
こうなると、これで暴れたら俺の方が悪いような気がして、とりあえずソファを下ろした(パトのサイレンが止まった)

「すまん。もうじきサツの連中が、ここにもやってくるだろう。後はこっちでやるから、あんたは好きにしてくれ」
結局、さっきの展開と同じになったみたいだが、微妙にラスボスの言い方が変わってることは、KYの俺にもわかった

で、しょうがないので、わかったと親指立てて(実はお辞儀しそうになって慌てて止めたんだけど)、部屋を出た
初めの計画じゃあ、みんなぶっ飛ばした後、窓をぶち破って飛び去る積りだったんだが、こんな街の真ん中の真昼間に、ガラスの雨を降らして、通行人が怪我したら、正義の味方なんて言えんぞ、って気がついたから、屋上からバイバイしようって、決めたんだ
posted by 熟年超人K at 11:46| Comment(0) | 書き足しお気楽SF小説
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