さてその4月11日の朝になって、俺は前日にバイクショップで買ったSEAFEWのバイクリュックを、超人ランボーのコスチュームの背中に背負い込んで、北海道目指してマンションのベランダから飛び立った
黒のバイクリュックは、元々ヘルメットを入れられるほどのスペースがあり、バイク乗りがよく遭遇する雨にも対応できる防水性能が気に入ったからだ(おまけに安くて、上半身赤、下半分黒のランボースーツに似合う)
俺のマンションは、超人ランボーが住んでるとしっかり知られているんで、ちょっと早いが朝の7時出発にしたんだが、もう何人かがスマホを構えてた
先日もマンションの管理会社から、同じマンションの住民から苦情が出てるんで、なるはやでお引越し頂けないかと連絡があったが、俺がどうやら超法規の対象になったっていう噂があるから、恐る恐るって形だった
俺としても、最近の情勢だと、こんな街の真ん中より、もっと郊外に引っ越してもいいかなって、思ったりしてる
とりあえずそれは置いといて、俺は順調に飛び続けて、9時前には札幌テレビ塔の90mの高さにある、展望台の屋根に降り立った
ちょうど、テレビ塔の営業開始の時刻らしく、観光客らしい人々が下の入口らしき場所に入って行くので、俺も展望台の屋根の上でリュックの中のデニムの上下に着替えて、代わりにリュックに入れたコスチューム背負って、人に見られないようにそっと下に降りた
あとは一般観光客に紛れて、ググっておいたホテル・ラフィナーレ目指して、大通公園脇の道を西に向かって、長く続くきれいな公園を見ながら、散歩気分でゆっくり歩く
確か、ビューホテルのある角を左に曲って、しばらく行くとホテル・ラフィナーレが見えるはずだ
なんか、えらくすっきりした高層ビルだったんで、壁面に英文字でVIEW HOTELとあったの見逃すとこだった
あんな高いとこに書いてあっても、見逃すじゃないか、とか思いながら角を曲ってどんどん歩いてって、また大通みたいなとこに出ちまった
ええっ、と思って来た方を振り返ったら、あった、縦書き文字でホテル・ラフィナーレ
中に入ると、かなりシンプルなフロントと精算機と、ちょっと待ってるの悩むような待合いスペースしかない
なにが、ロビーで待ってますだよ、って思ったけどまだ10時になったくらいだから、また外に出て、そこら辺をぶらつくことにする
そう言えば、ちゃんとした勤め人じゃない俺にしては、朝早く起きて飛んで来たんで、腹が空いてる
ちょっと歩くと、隣のとなりぐらいに、結構食いもん屋がある
が、まだ10時半にもなってない。どっか早く店を開けてるとこないかと、うろうろしてると、駐車場の中に『たん麺専門店真うち』ってお店がある。まだ開いてないが、店内を透視すると、店主はカウンターの内で準備してるし、店員も忙しくしてる。こりゃ、もうすぐオープンだなって思ってるうちに、店が開いた
赤熊(辛そう!)と白熊ってタンメンがあって、辛いもん苦手な俺は白を選び、ご飯大盛りと一緒に食べて満足して、ホテルに戻ると、例の簡易な待合いスペースに荘田君が座ってて「遅いっすよ!」って、ぶちゃむくれてる
「ごめん」って一応、謝ったけど「ちょっと安上がりなホテル選んだんだね」って、言い足すと「予算ないんで…」って片手謝りのポーズをする
「ま、いいや、で、どこに行くの?」「それがですね、ぶっちゃけこの札幌市内でも東区や北区に出るらしいんですけど、確実にヒグマに会うなら、つい最近目撃情報のある厚岸町か、知床半島がお勧めみたいです」
「ここから近いのはどっちなの?」「どっちも同じくらい遠いようなんですけど『ひぐまっぷ』ってのがあるんで、まずは厚岸町にいってみます?」…荘田君、なんか俺が一緒に飛ぶことマストにしてる?
まあ、それはそうとして、行くか厚岸町!
2023年02月26日
2023年02月19日
ランボー超人Bの物語-18 お気楽ヒーローで行こう!G
マミちゃんとブルードラゴンズの、超人ランボーコラボ画像(別にコラボった覚えはないんだけど、マネジメントなんてしてくれる事務所もないんで、まあいいかになっちゃった)と空を飛んだ感想とかの取材記事は大バズりして、その後人気グループになっていった
俺の方は、テキトーなとこで空に飛び上がって、ジョーが待つ隠れ家に向かった
そこでジョーと相談して、これから何日か夕方になったら、渋谷をぶらついてもらって、上空から俺が見張る作戦を実行することにした(もちろん出て来た半グレを掴まえちまう、か、ぶん殴っちゃうかっていう雑な作戦だ)
こんないい加減な作戦でも、うまくいったのは、やっぱり日本が安全な国だったからだな
アメリカみたいにワルが銃をフツーに持てる国だったら、こうはいかなかったんだろう
まあそれはそれとして、結果、面白いように半グレが釣れて、俺はその都度上空500mから急降下して、ジョーを見つけてからんでくるワルどもの前に登場して、主に平手でぱんぱんはたいてやる
それだけで、弾き飛ばされた連中は、また向かって来る気なんか失くしちまって、こそこそ逃げて行く
たまに、根性見せて、ナイフかなんか出して向かって来る奴は、俺のグーパンチでブッ飛ばされて、体のどこかを骨折して、病院に運ばれ(仲間とか、見てた人の通報で来た救急車で)るっていうパターンになった
そんなことを約1週間、続けてるうちにもう出て来なくなったし、俺がジョーの守護天使だっていう噂が広まったんで、金曜日の夜にジョーとお疲れ様会を、とあるショーパブでやって(俺は初体験)結構ノリノリの一夜になった。…もちろん一般人の上辻曲くんで
その翌日の夕方、嬉しいことに駒ちゃんがマンションに来た
なんとなく、先週以来、ぎくしゃくしちゃっていたんで、俺はめちゃ喜び過ぎて、かなりうざがられたのではないかと思う
駒ちゃんは「俺が前に比べ、随分変わったね」って言った
俺は「そうかなぁ、別に変った気はしてないけど」って言ったものの、内心、大分超人慣れしたかな?とも思ってた
それでも、駒ちゃんが作ってくれたイタリアン的な夕食を二人で食べて、ワインも飲んで、ご機嫌な一夜になった
次の日は日曜で、駒ちゃんも休日だったんで、午前中はだらだらして、お腹が空いたんで街に出て、お洒落なレストランでお昼。楽しい一日だったけど、どっかひっかかるものがあった
帰りがけに「殿倉さんが、もう自由なんだから、また局に遊びにおいでって言ってたよ」って駒ちゃんが言ったとき、なんか意味深な顔してたのが気になった(もしかして、マミちゃんをお姫様抱っこして空飛んだのがバレてるのかな、ってどきどきしてた)
その翌日の月曜日、俺は北海道旅行の準備で、渋谷F&Aとかベルモンのショップを覗きに行った
なにが必要か、よく分からないけど、ずっと超人ランボーって訳にはいかないんだから、アウトドアウエアとか用意しときたいじゃん
明日は、11時に札幌のホテル ラフィナーレで荘田君と落ち合ったら、4日間のヒグマ退治大作戦だぞ!
うまく出会えれるかな〜ヒグマに
俺の方は、テキトーなとこで空に飛び上がって、ジョーが待つ隠れ家に向かった
そこでジョーと相談して、これから何日か夕方になったら、渋谷をぶらついてもらって、上空から俺が見張る作戦を実行することにした(もちろん出て来た半グレを掴まえちまう、か、ぶん殴っちゃうかっていう雑な作戦だ)
こんないい加減な作戦でも、うまくいったのは、やっぱり日本が安全な国だったからだな
アメリカみたいにワルが銃をフツーに持てる国だったら、こうはいかなかったんだろう
まあそれはそれとして、結果、面白いように半グレが釣れて、俺はその都度上空500mから急降下して、ジョーを見つけてからんでくるワルどもの前に登場して、主に平手でぱんぱんはたいてやる
それだけで、弾き飛ばされた連中は、また向かって来る気なんか失くしちまって、こそこそ逃げて行く
たまに、根性見せて、ナイフかなんか出して向かって来る奴は、俺のグーパンチでブッ飛ばされて、体のどこかを骨折して、病院に運ばれ(仲間とか、見てた人の通報で来た救急車で)るっていうパターンになった
そんなことを約1週間、続けてるうちにもう出て来なくなったし、俺がジョーの守護天使だっていう噂が広まったんで、金曜日の夜にジョーとお疲れ様会を、とあるショーパブでやって(俺は初体験)結構ノリノリの一夜になった。…もちろん一般人の上辻曲くんで
その翌日の夕方、嬉しいことに駒ちゃんがマンションに来た
なんとなく、先週以来、ぎくしゃくしちゃっていたんで、俺はめちゃ喜び過ぎて、かなりうざがられたのではないかと思う
駒ちゃんは「俺が前に比べ、随分変わったね」って言った
俺は「そうかなぁ、別に変った気はしてないけど」って言ったものの、内心、大分超人慣れしたかな?とも思ってた
それでも、駒ちゃんが作ってくれたイタリアン的な夕食を二人で食べて、ワインも飲んで、ご機嫌な一夜になった
次の日は日曜で、駒ちゃんも休日だったんで、午前中はだらだらして、お腹が空いたんで街に出て、お洒落なレストランでお昼。楽しい一日だったけど、どっかひっかかるものがあった
帰りがけに「殿倉さんが、もう自由なんだから、また局に遊びにおいでって言ってたよ」って駒ちゃんが言ったとき、なんか意味深な顔してたのが気になった(もしかして、マミちゃんをお姫様抱っこして空飛んだのがバレてるのかな、ってどきどきしてた)
その翌日の月曜日、俺は北海道旅行の準備で、渋谷F&Aとかベルモンのショップを覗きに行った
なにが必要か、よく分からないけど、ずっと超人ランボーって訳にはいかないんだから、アウトドアウエアとか用意しときたいじゃん
明日は、11時に札幌のホテル ラフィナーレで荘田君と落ち合ったら、4日間のヒグマ退治大作戦だぞ!
うまく出会えれるかな〜ヒグマに
2023年02月14日
ランボー超人Bの物語-18 お気楽ヒーローで行こう!F
コインランドリーのぐるぐる回っている洗濯槽の前に、廻る洗濯物をぼんやり眺めているジョーがいた(驚いたのは、金髪から普通の黒い髪に変ってたことだ)
「ジョー!ジョーったらなにやってんの、こんなとこで」俺が口を開く前に、マミが呼びかけると、びっくり顔でジョーこと、城崎不動産の跡継ぎの城崎唯行が、こちらを向いた
「あ、超人ランボー…さん。兄貴、ですよね」コインランドリーの中で、コスプレみたいな俺と、まあイケメン系のジョー、そして微妙なランクのロックアイドルのMAMIが、顔見合わせて立ってるの図だ
「お前が俺の正体ばらしたから、もう警察にはいられなくなったんだよっ」ちょっと脅かしてみた
「ええっ、それで、俺を、始末…しに…」顔が真っ青になって、震えだしたジョーに驚いて「いや、嘘、うそだよ、別にそんなこと気にしてないから」って言うと、「そだよねぇ。じゃなかったら、マミ、ジョーのことランボーさんに教えてないもん」マミが話を引き取ってくれた
「いーや、テレビでこの娘が話してたの観て、お前がどうしてるかって、気になったもんだから」
「あ、いや、俺はなんともないっすけど、ジャガーズと七星会の残った奴らが、俺のこと探してるって聴き込んだもんっすから、姿隠してないとなって思って、こっちに引っ込んでるんっすよ」なるほどね
「そっか、やっぱ、あのままは終わらないのか。悪かったな」「いーえぇ、兄貴のせいじゃないっすよ。俺の不徳のなんたらって、話しなだけっすよ」おお、なかなか言葉知ってんじゃん
「ジョーんちは、お金持ちなんだから、実家に隠れてりゃいいじゃん」マミが突っ込む
「いーや、そーもいかなくって…。なんせ俺って、ウチじゃハズレガチャじゃん。勝手に家飛び出しといて、やばくなったから戻るって、そーはいかないんだよなぁ」そういうことか…
「わかった、じゃ、残りの奴らも、俺が片付けといてやるよ。ちょうど、警察も辞めちゃったし、なんでもこの先、俺は超法規って身分になるらしいから、このカッコで、片付けときゃあ、もう誰もお前に手出しなんかできないって思うよ」
「えっ、兄貴、そりゃ申し訳ないっす。…でも、助かるっす」ジョーは、へこへこお辞儀するし、マミちゃんは、なんか憧れみたいな目になって、俺に見惚れてる(?)んで、俺は結構、いい気分びなった(正義の味方目指してよかったー、って満足感)
そのうち、向かいの銭湯に来る客や、出て来る客の目がうるさくなって来たんで、ジョーこと城崎君に隠れ家を教えてもらい、一旦、マミちゃんを音楽事務所に送ってから、改めて作戦を練ることにした
東麻布の事務所に戻ると、マミちゃんが連絡したせいで、山下さんが手配した『ロックスピリッツ』っていう音楽雑誌の記者が待ってて、次の号の緊急特別インタビュー記事になるんだとか(ネットと雑誌の)
竜崎リーダーとバンドメンバーも参加の、ビッグメディア戦略なんだって
俺は、マミちゃんを抱っこして空に飛び上がるシーンと、事務所に帰って来たシーンの放映許可を、OKするはめになっちゃった(まあ、マミちゃんのお蔭でジョーに逢えたからいいか)
「ジョー!ジョーったらなにやってんの、こんなとこで」俺が口を開く前に、マミが呼びかけると、びっくり顔でジョーこと、城崎不動産の跡継ぎの城崎唯行が、こちらを向いた
「あ、超人ランボー…さん。兄貴、ですよね」コインランドリーの中で、コスプレみたいな俺と、まあイケメン系のジョー、そして微妙なランクのロックアイドルのMAMIが、顔見合わせて立ってるの図だ
「お前が俺の正体ばらしたから、もう警察にはいられなくなったんだよっ」ちょっと脅かしてみた
「ええっ、それで、俺を、始末…しに…」顔が真っ青になって、震えだしたジョーに驚いて「いや、嘘、うそだよ、別にそんなこと気にしてないから」って言うと、「そだよねぇ。じゃなかったら、マミ、ジョーのことランボーさんに教えてないもん」マミが話を引き取ってくれた
「いーや、テレビでこの娘が話してたの観て、お前がどうしてるかって、気になったもんだから」
「あ、いや、俺はなんともないっすけど、ジャガーズと七星会の残った奴らが、俺のこと探してるって聴き込んだもんっすから、姿隠してないとなって思って、こっちに引っ込んでるんっすよ」なるほどね
「そっか、やっぱ、あのままは終わらないのか。悪かったな」「いーえぇ、兄貴のせいじゃないっすよ。俺の不徳のなんたらって、話しなだけっすよ」おお、なかなか言葉知ってんじゃん
「ジョーんちは、お金持ちなんだから、実家に隠れてりゃいいじゃん」マミが突っ込む
「いーや、そーもいかなくって…。なんせ俺って、ウチじゃハズレガチャじゃん。勝手に家飛び出しといて、やばくなったから戻るって、そーはいかないんだよなぁ」そういうことか…
「わかった、じゃ、残りの奴らも、俺が片付けといてやるよ。ちょうど、警察も辞めちゃったし、なんでもこの先、俺は超法規って身分になるらしいから、このカッコで、片付けときゃあ、もう誰もお前に手出しなんかできないって思うよ」
「えっ、兄貴、そりゃ申し訳ないっす。…でも、助かるっす」ジョーは、へこへこお辞儀するし、マミちゃんは、なんか憧れみたいな目になって、俺に見惚れてる(?)んで、俺は結構、いい気分びなった(正義の味方目指してよかったー、って満足感)
そのうち、向かいの銭湯に来る客や、出て来る客の目がうるさくなって来たんで、ジョーこと城崎君に隠れ家を教えてもらい、一旦、マミちゃんを音楽事務所に送ってから、改めて作戦を練ることにした
東麻布の事務所に戻ると、マミちゃんが連絡したせいで、山下さんが手配した『ロックスピリッツ』っていう音楽雑誌の記者が待ってて、次の号の緊急特別インタビュー記事になるんだとか(ネットと雑誌の)
竜崎リーダーとバンドメンバーも参加の、ビッグメディア戦略なんだって
俺は、マミちゃんを抱っこして空に飛び上がるシーンと、事務所に帰って来たシーンの放映許可を、OKするはめになっちゃった(まあ、マミちゃんのお蔭でジョーに逢えたからいいか)
2023年02月10日
ランボー超人Bの物語-18 お気楽ヒーローで行こう!E
「な、なに、あんた、コスプレーヤーと付き合ってんの!?」「ちがうよぉ〜。この人、本物の超人ランボーさんだよ。マミ、抱っこで空飛んで来たんだよっ」俺としては、なんとも言えなくて黙って立ってるのみ
「え、そーなの。お宅、本物のランボーさん?」声出すと、なんか期待を裏切るかも知れん、と思ったんで、うんって頷くだけにした
「それで、今日はジョーを探しに来たってぇのね。だけど、マミちゃん、あの子、ここんとこずっと来てないよ」「やっぱり、あのせいなのかなぁ」「あたしは、そうだと思ってるよ。まあ、ハマにゃあいつら来ないけど、やっぱりやばくて、出て来らんないんじゃない」「そっかぁ、ちょっとやばいよねぇ」二人で話が弾んでるけど多分、渋谷の半グレ退治がらみの、復讐があるんじゃないかって、心配でどっかに引っ込んじゃってるってことだな
「それじゃ、ジョーが居そうな次の候補は?住んでるとこ知ってるとか…」俺がマスクのまま、声出したんでママさん、黙っちまった
「うん、第2候補知ってるよ。じゃあ、また来るね、ママ。ランボーさん、次、行こう!」マミちゃんは元気だ
店内に一組だけ居たカップルが、そこそこ人気のあるマミちゃんと、目下話題の俺の組み合わせを、こっそりスマホ動画で撮ってるの分かってたけど、マミちゃんも承知のようだし(っていうか、宣伝になるって思ってんだろうな)、放っといて外に出た
カフェの外にも、カップルが5組くらいいて「あっ出て来た」とか「あれ、ブルードラゴンズのMAMIだよな」とか「サインってしてもらえるのかな」とか、わいわい言ってる
めんどうなんで、俺は、マミちゃんまた抱っこして、空に飛び上がった(下で、わあーって声があがった)
空中で停止して、どっちに行けばいいのかマミちゃんに訊くと「桜木町の駅を飛び越えて、野毛山動物園も飛び越えた先だよ」って、教えてくれた
その通りに飛ぶと、マミちゃんは「あっちの風呂屋の煙突目指して行って」って大声で言う(俺、耳すごくいいから、でかい声で言わんでもいいんだけどね)
いかにもな風呂屋の煙突を予想していたら、実物は赤い工場の煙突のようで、建物の入り口前に降りたけど、日曜日だと言うのにそれほど人気は無い
マミちゃんは、風呂屋に向かわずに、斜め向かいのコインランドリーに駆けだした
「ほら、いたいた!」マミちゃんの弾んだ声が、響いた
「え、そーなの。お宅、本物のランボーさん?」声出すと、なんか期待を裏切るかも知れん、と思ったんで、うんって頷くだけにした
「それで、今日はジョーを探しに来たってぇのね。だけど、マミちゃん、あの子、ここんとこずっと来てないよ」「やっぱり、あのせいなのかなぁ」「あたしは、そうだと思ってるよ。まあ、ハマにゃあいつら来ないけど、やっぱりやばくて、出て来らんないんじゃない」「そっかぁ、ちょっとやばいよねぇ」二人で話が弾んでるけど多分、渋谷の半グレ退治がらみの、復讐があるんじゃないかって、心配でどっかに引っ込んじゃってるってことだな
「それじゃ、ジョーが居そうな次の候補は?住んでるとこ知ってるとか…」俺がマスクのまま、声出したんでママさん、黙っちまった
「うん、第2候補知ってるよ。じゃあ、また来るね、ママ。ランボーさん、次、行こう!」マミちゃんは元気だ
店内に一組だけ居たカップルが、そこそこ人気のあるマミちゃんと、目下話題の俺の組み合わせを、こっそりスマホ動画で撮ってるの分かってたけど、マミちゃんも承知のようだし(っていうか、宣伝になるって思ってんだろうな)、放っといて外に出た
カフェの外にも、カップルが5組くらいいて「あっ出て来た」とか「あれ、ブルードラゴンズのMAMIだよな」とか「サインってしてもらえるのかな」とか、わいわい言ってる
めんどうなんで、俺は、マミちゃんまた抱っこして、空に飛び上がった(下で、わあーって声があがった)
空中で停止して、どっちに行けばいいのかマミちゃんに訊くと「桜木町の駅を飛び越えて、野毛山動物園も飛び越えた先だよ」って、教えてくれた
その通りに飛ぶと、マミちゃんは「あっちの風呂屋の煙突目指して行って」って大声で言う(俺、耳すごくいいから、でかい声で言わんでもいいんだけどね)
いかにもな風呂屋の煙突を予想していたら、実物は赤い工場の煙突のようで、建物の入り口前に降りたけど、日曜日だと言うのにそれほど人気は無い
マミちゃんは、風呂屋に向かわずに、斜め向かいのコインランドリーに駆けだした
「ほら、いたいた!」マミちゃんの弾んだ声が、響いた
2023年02月08日
ランボー超人Bの物語-18 お気楽ヒーローで行こう!D
抱っこして空飛んで」なんて、この娘結構ずうずうしいな、って思ったけど、まあ可愛いから許すか
俺の心の中の駒ちゃんが、ちょっとだけ、ゆらってなった気がする
「いやいや、多分、あんた怖がるから…」止めとけって、言いかけたら「マミはジェットコースター大好き」だって、即、言い返されちった
「そうだな、なんかインスパイアされるかもな。飛んでもらえ、飛んでもらえよマミ」横から、竜崎リーダーが煽る。こりゃまずい。この連中って、目立つの大好きだもんな
結局、山下さんまで「お願いします」みたいになって、俺はマミちゃんをお姫様だっこして、空中飛行してジョーの居場所を探す羽目になっちまった
「じゃあ、行ってきます」って、挨拶して、青いジャンプスーツのマミちゃんをお姫様だっこで(駒ちゃんのときにもやったことないのに…)空に飛び上がると、下の方でブルードラゴンズのメンバーたちと山下さんが、手を振ってるっていう、シナリオ通りみたいな絵になってる
お姫様だっこだと、顔が近いんで話もし易く「まず、横浜に行けばいいんだね」「そう、赤レンガ倉庫を目指してね」マミちゃんのことを考えると、そう高くは上がれない。高度500mくらいを、できるだけゆっくり飛ぶことにする
これくらいの高さだと、下を見るのにはいいけど、全体的な位置が分かり辛くなるんで、とにかく、東京湾まで真直ぐ南目指して飛んで、アクアラインが見えたら、海沿いに西に向かえば、みなとみらいのランドマークタワーが分かるから、赤レンガ倉庫に行くのはラクショーだ
ところが、マミちゃんときたら、全然大人しく抱かれてないで、あっち向いて「レインボーブリッジが見えるぅ」とか「あれ、大井競馬場だね」とか「羽田だ、羽田空港だぁ」とか、ちっともじっとしてない
羽田が見えたときには、大きく乗り出そうとしたんで、危なく落っことすとこだった
「じっとしてないんだったら、もう下に降ろして、俺は帰る」と脅したら、やっとおとなしくなった
それでも、ランドマークタワーや観覧車が見えると元気復活で「すごいね、ランドマークタワーが下に見えてるぅ」って、ご機嫌になってる(憎めないっていうか…)
赤レンガ倉庫の前に、ど派手に降り立つことになって、俺は体裁悪かったんだけど、これから人気を盛り上げたいマミちゃんは、大勢集まって来た人たちに手を振ったりして、にっこにこしてはしゃいでる
「で、この近くなんだろ、ジョーの居る場所って」目的を忘れてないかどうか、心配して俺が訊くと「うん、こっちこっち、大体割とよくこっちの店に来てるの」って言いながら、どんどん先に進んで行く
俺も、後ろからぞろぞろ付いてくる野次馬が気になるけど、しょうがないからコスチュームのまま、マミの後を追ってくと赤レンガ倉庫の建物には入らないで、赤い字で『ママカフェ』と看板を出している白い家に入って「こんちはー。ジョー来てるぅ」と、店員に声を掛けた
「このところ、見てないねぇ」と、大柄なアラフォーくらいの女の人が、返事したけど、マミの後から俺が続いて店に入って来たんで、びっくりして固まってる
俺の心の中の駒ちゃんが、ちょっとだけ、ゆらってなった気がする
「いやいや、多分、あんた怖がるから…」止めとけって、言いかけたら「マミはジェットコースター大好き」だって、即、言い返されちった
「そうだな、なんかインスパイアされるかもな。飛んでもらえ、飛んでもらえよマミ」横から、竜崎リーダーが煽る。こりゃまずい。この連中って、目立つの大好きだもんな
結局、山下さんまで「お願いします」みたいになって、俺はマミちゃんをお姫様だっこして、空中飛行してジョーの居場所を探す羽目になっちまった
「じゃあ、行ってきます」って、挨拶して、青いジャンプスーツのマミちゃんをお姫様だっこで(駒ちゃんのときにもやったことないのに…)空に飛び上がると、下の方でブルードラゴンズのメンバーたちと山下さんが、手を振ってるっていう、シナリオ通りみたいな絵になってる
お姫様だっこだと、顔が近いんで話もし易く「まず、横浜に行けばいいんだね」「そう、赤レンガ倉庫を目指してね」マミちゃんのことを考えると、そう高くは上がれない。高度500mくらいを、できるだけゆっくり飛ぶことにする
これくらいの高さだと、下を見るのにはいいけど、全体的な位置が分かり辛くなるんで、とにかく、東京湾まで真直ぐ南目指して飛んで、アクアラインが見えたら、海沿いに西に向かえば、みなとみらいのランドマークタワーが分かるから、赤レンガ倉庫に行くのはラクショーだ
ところが、マミちゃんときたら、全然大人しく抱かれてないで、あっち向いて「レインボーブリッジが見えるぅ」とか「あれ、大井競馬場だね」とか「羽田だ、羽田空港だぁ」とか、ちっともじっとしてない
羽田が見えたときには、大きく乗り出そうとしたんで、危なく落っことすとこだった
「じっとしてないんだったら、もう下に降ろして、俺は帰る」と脅したら、やっとおとなしくなった
それでも、ランドマークタワーや観覧車が見えると元気復活で「すごいね、ランドマークタワーが下に見えてるぅ」って、ご機嫌になってる(憎めないっていうか…)
赤レンガ倉庫の前に、ど派手に降り立つことになって、俺は体裁悪かったんだけど、これから人気を盛り上げたいマミちゃんは、大勢集まって来た人たちに手を振ったりして、にっこにこしてはしゃいでる
「で、この近くなんだろ、ジョーの居る場所って」目的を忘れてないかどうか、心配して俺が訊くと「うん、こっちこっち、大体割とよくこっちの店に来てるの」って言いながら、どんどん先に進んで行く
俺も、後ろからぞろぞろ付いてくる野次馬が気になるけど、しょうがないからコスチュームのまま、マミの後を追ってくと赤レンガ倉庫の建物には入らないで、赤い字で『ママカフェ』と看板を出している白い家に入って「こんちはー。ジョー来てるぅ」と、店員に声を掛けた
「このところ、見てないねぇ」と、大柄なアラフォーくらいの女の人が、返事したけど、マミの後から俺が続いて店に入って来たんで、びっくりして固まってる
2023年02月06日
ランボー超人Bの物語-18 お気楽ヒーローで行こう!C
「貴方って、本物の超人ランボーさんなんですよね。いえ、コスプレの方って沢山いらっしゃるもので」随分ぺらぺら喋る女だ。俺、苦手かも
「すみません、俺、ブルードラゴンズのリーダーやってる竜崎です。ウチのマミに用事があるって…」頭つんつんの竜崎君が話しかけてきたが、すぐにぺらぺら女の山下さんが話に割り込んでくる
「こんな、立ってのお話もなんですから、どうぞこちらに、どうぞどうぞ」って、衝立で仕切られた応接コーナーみたいな処に、案内してくれた
低いガラス板が敷かれたテーブルを挟んで、黒いレザー風の応接椅子に俺が座り、反対側に竜崎君とマミちゃんが座り、山下さんはお茶を出しにその場を離れて、給湯室の方に行ってしまった
「すみません、マネの山下さん、良く喋るんで…。実は、お宅が助けてくれた首都高の事故車の中に、俺の家族がいまして、それで会えたもんだから、お礼が言いたくて」見かけによらず、好い奴の竜崎君だった
「リーダー!、今日は、マミの話で来てくれてんだよ。ねえ、ランボーさん」マミが話に入ってくる(なんかここの人、皆、話に割り込むタイプばっかなんだな)
「いや、マミさんに話し、と言うか、ジョーの話が訊きたくってお邪魔したんですよ」超人ランボーの格好で、こんな風に話をしてるって、なんだかなぁ…
「ジョー?城崎くんのこと訊きに来ただけなの?」「そうだよ」「マミ、城崎って、あの…」竜崎君がまたも話に割り込んでくる
「お待たせしましたぁ、どうぞお茶でも…って、そうか飲むとなると、マスク取らないといけないんだわね」絶妙の割り込みで、山下さん参入
「あ、お茶はいいです。マスク簡単には外せないんで」ということにしておく
「城崎って、あいつ、金持の坊ちゃんだろ…。あっそうか、半グレのなんとかいうグループがらみの話か」
「そだよねぇ〜、ランボーさん」めっちゃ馴れ馴れしい
「まあそうだけど、ジョーの、居場所って分かる?」「う〜ん、大体はね」「じゃ、教えてくれるかな」
大体、ここ娘の性格は掴めたんで、下手に出る俺
俺とマミって娘が、二人で話してるんで、山下さんが我慢できんくなって会話に割り込んで来る
「ねえ、ランボーさん、このお話ってNテレさんご承知のお話なんですよね」はあ〜、なに言い出すのこの女
「ええまあ、坂倉さんは知ってますよ」確かに、俺は坂倉さんを知ってる、って話だけど…
「ああ、プロデューサーの、坂倉さんご存知なんですね」「ええ」嘘はついてない
「ええー、そう言う話なんですかぁ」竜崎君(いやもしかすると俺より年上!?)、竜崎さんが勘違いの話をし出す(あ〜っ、めんどくさい!)
「すみません、ジョーさんの話はお宅らには関係ない話で、ただ単にマミさんにジョーさんの居場所を…」
「わかった、マミ、案内したげる!」おお、それはありがたい
「で、都内の、どこ?」「だ〜か〜ら〜、マミが一緒に行って、ジョー君の居そうなトコを探してあげるの」
「えーっ、一緒に探すってぇ、どうやって?」「飛ぶのよ、あたしを抱っこして、大空を!」…はぁぁ〜
「すみません、俺、ブルードラゴンズのリーダーやってる竜崎です。ウチのマミに用事があるって…」頭つんつんの竜崎君が話しかけてきたが、すぐにぺらぺら女の山下さんが話に割り込んでくる
「こんな、立ってのお話もなんですから、どうぞこちらに、どうぞどうぞ」って、衝立で仕切られた応接コーナーみたいな処に、案内してくれた
低いガラス板が敷かれたテーブルを挟んで、黒いレザー風の応接椅子に俺が座り、反対側に竜崎君とマミちゃんが座り、山下さんはお茶を出しにその場を離れて、給湯室の方に行ってしまった
「すみません、マネの山下さん、良く喋るんで…。実は、お宅が助けてくれた首都高の事故車の中に、俺の家族がいまして、それで会えたもんだから、お礼が言いたくて」見かけによらず、好い奴の竜崎君だった
「リーダー!、今日は、マミの話で来てくれてんだよ。ねえ、ランボーさん」マミが話に入ってくる(なんかここの人、皆、話に割り込むタイプばっかなんだな)
「いや、マミさんに話し、と言うか、ジョーの話が訊きたくってお邪魔したんですよ」超人ランボーの格好で、こんな風に話をしてるって、なんだかなぁ…
「ジョー?城崎くんのこと訊きに来ただけなの?」「そうだよ」「マミ、城崎って、あの…」竜崎君がまたも話に割り込んでくる
「お待たせしましたぁ、どうぞお茶でも…って、そうか飲むとなると、マスク取らないといけないんだわね」絶妙の割り込みで、山下さん参入
「あ、お茶はいいです。マスク簡単には外せないんで」ということにしておく
「城崎って、あいつ、金持の坊ちゃんだろ…。あっそうか、半グレのなんとかいうグループがらみの話か」
「そだよねぇ〜、ランボーさん」めっちゃ馴れ馴れしい
「まあそうだけど、ジョーの、居場所って分かる?」「う〜ん、大体はね」「じゃ、教えてくれるかな」
大体、ここ娘の性格は掴めたんで、下手に出る俺
俺とマミって娘が、二人で話してるんで、山下さんが我慢できんくなって会話に割り込んで来る
「ねえ、ランボーさん、このお話ってNテレさんご承知のお話なんですよね」はあ〜、なに言い出すのこの女
「ええまあ、坂倉さんは知ってますよ」確かに、俺は坂倉さんを知ってる、って話だけど…
「ああ、プロデューサーの、坂倉さんご存知なんですね」「ええ」嘘はついてない
「ええー、そう言う話なんですかぁ」竜崎君(いやもしかすると俺より年上!?)、竜崎さんが勘違いの話をし出す(あ〜っ、めんどくさい!)
「すみません、ジョーさんの話はお宅らには関係ない話で、ただ単にマミさんにジョーさんの居場所を…」
「わかった、マミ、案内したげる!」おお、それはありがたい
「で、都内の、どこ?」「だ〜か〜ら〜、マミが一緒に行って、ジョー君の居そうなトコを探してあげるの」
「えーっ、一緒に探すってぇ、どうやって?」「飛ぶのよ、あたしを抱っこして、大空を!」…はぁぁ〜