2023年01月02日

ランボー超人Bの物語-17 ヒーローは孤独ってかC

こんな家がなんだってんだ!って反発して、俺は勢いよくドンっと玄関に踏み込んでやった
「ようこそお越しやす」って、きれいな女の人がきれいな声で、玄関を上がるとすぐの部屋に居て、すんごく丁寧に、座って手をついて頭を下げて、迎えてくれた
そんな挨拶してもらったことない俺は、あせっちゃって「あっ、どーもっす」なんて、めちゃ間抜けな返事をしちまった
こういうのが待ってるなんて、考えてなかったんで、ついついどぎまぎしちまって…。それでも、こりゃあ敵の策略だな、って心の底では気が付いてる俺も、なかなかのもんだろ
だって、ここ東京だし、京都の女の人が出て来るなんて、変でしょ

「呼ばれたんで来ました、上辻曲っす」「お待ち申しておりました。どうぞお上がりやす」みたいな流れで、俺は靴を脱いで、畳敷きになってる小部屋に上がる。女の人が、俺の靴を直すと「さ、こちらにどうぞ」って言って、部屋の右に続く廊下を、つつつつってな感じで先に進んで行く
まさか時代劇じゃあるまいし、って思いながらもまあ、きれいな女の人には逆らえない俺なんで、大人しく後に続いて長い廊下を歩いた
少し歩くと、前方が明るくなってきた。襖で隠された部屋の角を曲ると、ぱぁっと前が開けて旅館っぽい日本式の庭園が見えた

しずしずって感じで前を歩いていた京都美人が、すっと停まると頭を下げて「上辻曲さまをお連れしました」って、部屋の中の人に声を掛けた
「おう、まあこっちにどうぞ」って、ややどすが効いてる系の親分っぽい声が聞こえ、部屋の中から黒いスーツの男が出て来て「こちらにどうぞ」って、声を掛けてきた
ここまでの間に、なんか負けそうな気分になってた俺の心に、なんか脅かされてるんかな、って気持ちが段々強くなってきてた

部屋の入口に立って、中を見ると(本当は透視できてたんだけど、それも思いついてなかったくらいあがってたんか)、やけに迫力のあるおっさんが、和式の黒いテーブルの向こうに、どしっと座ってて、こっちに来いよみたいな感じで手招きしてる
部屋から出て来た黒スーツが「さあ」って言って、テーブルのこっち側に置いてある、やけに厚い座布団に座れ、って感じで勧めてきた
畳敷きの座敷に座るっていう機会は、そんなに無いんで、俺はちょっとどぎまぎしたんだけど、なんか慣れないことやらされてるみたいで、腹も立って来たんで、勢いつけてどかっと座ってやった

「おう、元気がいいなぁ、結構結構」って、なにが結構なんか分からんけど、とにかく親分っぽい感じ満タンで、こういう奴は人に話し掛けといて、相手の話を聞かんタイプなんだな
雄仁塚建設にいた頃、滑川さんと一緒に会ったお施主さんで、こんな感じの人がいたな
「こちらは黒沢先生でございます。貴方もご存知でしょうが」って、もう一人の代議士秘書っぽい茶色スーツの人が声掛けて来たんだけど、俺知らんなぁ…って言うか、この人は何時からこの部屋に居たのかが気になった
「すみませんが、俺、こちらの方、存じ上げてないんですけど…」って、言っときながら、はっと気が付いた。民自党のなんとか大臣やってた人だよな(俺の返しで気を悪くした?)
posted by 熟年超人K at 22:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説