2022年10月25日

ランボー超人Bの物語-15 こりゃヒーロー誕生か?!D

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「えっ」と言った切り駒沢さんは固まってしまい、俺の方が困った
「自分の方から辞めるって言ったの?」やっと声が出た
「うん、まあ…そんな感じ、かな」「渋谷で暴れたのを言われたのね」「うん…まあ…」
「なら、しょうがないわね。いつものSITの人たちじゃなくって、別の、管理する役目の人からよね」よく分かってるじゃん

「殿も、同じようなこと言ってたのよ。まあそっちの方は、マスコミが味方するから、多分、そんなに問題にはならないだろうって。後は、ネットよね。どっちに転ぶか分からないのは…」駒ちゃん、考えてくれてるんだ
俺は、それだけで嬉しくなっちまって、アンド、駒ちゃんの機嫌も直ったみたいだから、ちょいリラックス
「じゃ、中に入れてくれる?」「そうね、ここ貴方の家だし、今、開けてあげる」助かった〜

やっと入れた自分の部屋で、駒沢さんと向かい合うと、なんだか変な気持だ
「なんか心配かけちゃってて、ごめん」って、素直に謝れて良かったぁ、なんだけど…これって変じゃない?
まあ、とにかく無事に部屋に入れたし、駒ちゃんも居るしで、俺はいい気分に浸…ろうと、した

「さっきの話だけど、勇太郎さん、警察の仕事辞めるってほんと?」さらっと駒ちゃんが喋った
「うん、まあ…。こないだの半グレ退治がやり過ぎだ、みたいなことで叱られたんだけど、いつまでもグチグチ言ってるんで、じゃあ辞めます、みたいになっちゃって」なんか言い訳がましいな、俺

「そう、いいんじゃない、辞めちゃったら」おっと、そう来る
「辞めるのに賛成なの?」つい、訊いちゃう俺
「辞めた方が、いいと思うよ、わたしは。どうせ、警察ってお役所でしょ。勇太郎さんのやりたい正義の味方、ちゃんとできないことがこれからも出て来るよ、きっと」そうか、駒ちゃん、考えてくれてたんだ

「うん、それでさっき退職願、書いてたんだ。で、ハンコが無かったんで、取りに戻ったって訳」
「そうなんだ。なんか最近逢えて無いから、ちょっと怒れちゃってて、ごめんなさい、意地悪して」おお可愛い!

てな訳で、俺は退職願の書き方を駒ちゃんにチェックしてもらって、ハンコついてから封筒に入れて、宛名をどうしようって迷ってたら、駒ちゃんが、上司の方の名前を書くのよ、って教えてくれた
それで安心した俺と駒ちゃんは、もうそんなこと忘れて、楽しい時間を過ごすことにしたんだ
posted by 熟年超人K at 11:29| Comment(0) | 書き足しお気楽SF小説

2022年10月18日

ランボー超人Bの物語-15 こりゃヒーロー誕生か?!C

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これから叱られるっていうのに、遅刻はまずい!って俺、本気であせって警視庁まですっ飛ばした
それでもさすがに、11階の窓から突っ込むなんて出来ないんで、ちゃんと1階の正面玄関から入って、職員入口で身分証見せて、普通に早足で11階の人事1課に行った

結局、俺が勝呂課長さんの前に立ったのは14時2分だった
「遅刻ですか。空を飛んで来ても遅刻、ですか」おーっ厳しいぃ!。細縁メガネの奥の目が、ちらっと俺を見たけどすぐ伏せられ、デスクの上の書類に落ちた

「先日の貴方が起こした事件ですが、SITの星崎警視は貴方を特別扱いしているようですが、警察というところは規律が第一の組織なので、見過ごすわけにはいかないということです」
「はあ…、で、俺は警察クビって訳ですか」なんか顔見てたら、急にむかついた

「ご自分で退職願をお出しになるのなら、お受けしますよ」まだ顔を上げずに、こう言ったんで「はい、分かりました。では、それ書いて出しときますから」って、成り行きで俺の口からそんな言葉が出ちまった

言ってるうちに、どんどん腹が立って来たんで、くるっと向きを変えて、ドアをばたんって閉めたら、少し力が入ったんで、ばんって大きな音がして、多分…壊した

11階の廊下の窓、突き破って出てこうかとも思ったんだけど、さすがにそれはないっしょ、ってブレーキかけて、ずんずんずんずん廊下歩いて、エレベーターに我慢して乗って、やっと1階から普通顔で庁外に出た

だけど、心の中は大荒れ。やっぱり、自分から追ん出たとは言っても、SITの人たちには大分顔馴染みもいるし、星崎さんや成森さんには申し訳なかった、っていう気持ちがあって、辞めてせいせいとはいかない

庁舎から飛び出したときは、さっさと飛んで帰っちゃおうって思ってたが、少し頭が冷えてきたんでコンビニに寄って、便箋を買い喫茶店でスマホで検索した『退職願の書き方』を見ながら、退職願を書いた

さあ出来た、と思ったんだけど、残念ながらハンコが無かった。俺の苗字は珍し過ぎて、普通の三文判というのが無い。仕方ないんで、マンションに帰るしかないってことになった

マンションのベランダに戻ると、なんと部屋の中に駒ちゃんが居るじゃん
窓ガラスをコンコンって叩いたら、こっちを向いたけど、窓開けてはくれない(なに、なにか怒ってる風?)

すぐに立ち上がったんで、開けてくれるのかと思ったら、カーテンをさっと引いた
えぇーっ、ってなって、さすがに俺も怒れたんで、下に降りて玄関で暗証入れて、中に入ってエレベーターで自分の部屋に行って、鍵開けて入った

「部屋に来てるんなら、窓開けてくれたっていいじゃん」思わず、文句が出ちゃう
「大体、ベランダから出入りするなんて、おかし過ぎじゃない!」怒ってる

「いいじゃないか、俺の部屋だし、空飛べるのも特技なんだから、どこから出入りしようと俺の好きにして」
「あ、そう。そんな風だから、Nテレなんかにでれでれして、変なアイドルだかシンガーに愛想するんだ」

おーっと、あの番組観てたんだ「いーじゃないか、あれは誰があんな話し、吹き込んだのか確かめに行っただけなんだから」って、反撃
「それだけじゃなくって、ワイドショーでも話題にしてもらってたしぃ。殿倉さんなんか、随分おこってたんだからぁ」あっそうか。そこか

「今日の昼の番組は、俺はなんにもからんでないし。向うが勝手にネタにしただけだろう」
「なにかいろいろ、話持ちかけられてるんじゃないの」怒ってるうちに、少しクールダウンしてきたみたい

「そんなことより、俺、多分、警視庁辞めるわ」今度はこっちのサーブだぞ、ってくらいの軽さで言っちった
posted by 熟年超人K at 22:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説

2022年10月08日

ランボー超人Bの物語-15 こりゃヒーロー誕生か?!B

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翌日、昼飯を食べながらテレビを観ていると、Nテレのニュースワイドショーで“今、超人に望むこと”みたいなテーマで、お笑いのケンタウロスの三人と、ゲストに辛口コメントで売出し中の講談師の神澤龍角斎と、元ライト級東洋チャンピオンの高嶺竜太、そして、そしてなんと雪村香澄さんが出ている!
こりゃ、観んといかん番組じゃん!って思って、ちゃんと座り直して観ることにした
*
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「それで、どうやらこの前の、渋谷の半グレ組織2つを壊滅させたの、超人ランボーが関わってるらしいんです」って局アナ司会者の宮沢さんがリードMCすると、「そーなんですか。そりゃすご!」って、ケンタウロスがフォロコメを入れる

「“悪”は滅ぼす超人ランボーってとこだね」龍角斎が話を続ける
「それで、番組では世間の皆さんが、こういった正義の超人にどんなことを期待しているか、街角に出掛けてご意見、伺っちゃいました」

画面は街角にマイクを持って出かけた、リポーターの金子めぐみのVに変る。OLっぽい女子二人
「巷の噂では渋谷の半グレ2グループ壊滅は、超人さんの活躍だって言われてますけど、お二人はご存知でした?」
「えーっ、あれって超人ランボーがやったの!?」「わたし、ネットでそれ見たよ。一人で乗り込んで、ワルの人、皆、やっつけちゃったって、アレでしょ」

「実は、まだ超人ランボーさんがやったって確定じゃないんですけど、街の噂じゃその線が濃厚みたいですね。それで、もしランボーさんだとして、貴女たちがお話しできたとしたら、次はなにやってもらいたいと思いますか?」おおっ、ぐいぐい来るなぁ

「えーっ、それって、ここに彼が来てる、ってことなの!?」「ええーっ、いるんですかぁ!?」「いやいや、ここには来てませんよ。もしも、逢えたら、ってアンケート採ってるんです」

「そだね、もしここにいたら、あたしだったら、一緒に空、飛んで欲しいかなぁ」「えーっ、あたしなら絶対、悪い人全部退治するとかして欲しいなぁ。だって、悪い人がいない世の中って素晴らしいと思うから」
うーん、漠然としてて、難しそうだな

「次は、こちらの男の方に同じ質問してみましょう。すみません、最近噂になっている超人Rについて伺っているんですが…」「超人ランボーのことですか?僕はよくは知らないんですが、半グレグループを沢山片付けたっていうあのニュースですね。まあ、現代社会みたいに閉塞感一杯な昨今には、向いてるキャラですよね」

「そうですか。貴方なら、超人Rさんになにかお願いするとしたら、なにをやって欲しいでしょうか?」
「そうですねぇ、僕が頼むんだったら、今、問題になってる政界の闇をですね、正して欲しいと思うんです」

無茶言ってるなぁ…。政治家連中が、なんかうまいことやってるらしいって言うのは、ネットや週刊誌で見てるけど、誰が何をどうやってるかなんて、俺らじゃ分かりっこないじゃん

結局、その後も何人かに質問して、なんか聞いたような意見ばかり出てたけど、これっていうクールなのはなく、スタジオにマイクが戻ってゲストがそれぞれ喋る番になった

「大体、この超人ランボーってぇのは、本物の正義の味方なのか、誰もわかってないんでしょ」ケンタウロス1が口を開いた
「すんごい怪我人が一杯出たそうやね」「警察もかなわんから、身内にしてコントロールしてんのとちゃう」
2と3が話を続ける

「わたしは、この人やさしい人だと思うんです。以前、都高速で事故があったとき、人を助けていたじゃないですか。わたし、あの時、大分離れたところで渋滞になって車が動かなかったんですけど、すぅーっと空から降りて来て、スポーツタイプの車のドア外して、女の人と男の人助けて、その後、火の点いたワンボックスカーから家族を救い出したの」おお、カスミンが見てたんだ!!

「そうでしたね、あれも超人Rさんがやったんですよね」きれいな服の女子アナさんが、付け足す
「俺の見方は、ちょっと違ってて、ああいうときに人助けをしても、腕力勝負なら相手を叩きのめすって、やっぱ男の中の男って言うか…、凄いと思うよ」って意見言ったのが高嶺元チャンプで、「それ見方、違ってぇへんやろ」って混ぜっ返したのがケンタウロス2

そんな風にスタジオは、がやがややってるけど、はっと気が付くとテレビの中の時刻が13:43ってなってる!
大慌てで、ベランダから飛び出す俺ってことになった
posted by 熟年超人K at 14:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説

2022年10月03日

ランボー超人Bの物語-15 こりゃヒーロー誕生か?!A

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えっ、香澄といえばカスミン!
なにを隠そう、俺は昔っから大フアンであった。FC会員証も持っている!
さっきのマミちゃんは、見てフツーに可愛いなって思えるんだけど、カスミンは全然別格!

多分、今、あそこらから出てきたら、俺、感激してどうなっちゃうかわからん。それくらい
駒ちゃんも大事だけど、こういうのは比べられるもんじゃないんだ

あれは俺が東京と言っても、都下にある三流大学に入った頃、学祭のゲストで来た新人女優さんが、雪村香澄だったのだ
大部分のフアンがユッキーとか呼んでたのを、へそ曲がりの俺は“カスミン”って呼んでた

今カスミンって言えば、別のスポーツ選手になるけど、あの頃からカスミンて言えば、香澄しかいない
まだ新人女優で、司会とのやりとりは初々しかったけど、なんていうかオーラがあったんで、俺は惚れた

でも、三流大学のパンピーだった俺と、カスミンなんて接点あるわきゃなくって、後は映画かテレビドラマで観るだけだった
それでも、ずっとフアン気分でいられたのは、俺の中のなにかとカスミンの見た目と波長が合ってるからかな

なんか語っちゃったけど、これは部屋に残った俺が、ほんの一瞬考えたことを思い返してのことだけで、実はさばさばと、この局からさよならして、渋谷のマンションに飛んで帰ったんだ

帰るとパソコンの方にメールが届いていた
警視庁って言うことは、星崎さんか成森さんだなと思って、クリック

送信者は、総務部人事一課の勝呂克己さんっていう、全然知らない人だった
<週明け 20日14:00 本庁11階B 人事1課に登庁して下さい>と、なっているだけのメール。は〜ん、って感じ

それでもなにか嫌な予感がしたんで、一応電話し易い成森さんに電話してみた
電話の返事は「俺はなにも知らん。課長も知らないと思う。あそこからの呼び出しは、できるだけ話に逆らわずに、はいはい聞いとくしかないから」それだけ言って、電話は切れた

こりゃあ、いい話である訳ないなって思ったんで、最悪、半グレ退治で怒られるんなら、辞めてもいいかって、覚悟決めた
まあ、大分有名になったから、どこかっから声が掛かるかも知れんし、雄仁塚建設に戻るのも有りか

そこまで考えて、あれっ俺って超人じゃん、なんで仕事先探さないと、って考えてんの?って笑っちゃった
そりゃ、このマンションの家賃とか、飯代とか心配だけど、なんとかなるんじゃないの超人なんだから!
posted by 熟年超人K at 14:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説