2022年03月24日

ランボー超人Bの物語-11 ヒーローにランクアップ@ 

220324↓
まあ結論言うと、二人はちゃんとホテルに泊まれて、ちゃんとした恋人同士になれたんだけど、そこまで行くのに俺、思いっきしあせあせだった

なにしろ、これまでの人生で、もてる方じゃなかったんで(大学でも彼女いなかったし…)、正直、どの段階で今夜泊まれるの?って、聞いたらいいのか分かんなかったんだ

でも、特急で甲府駅に着いて、同じ中央線を春日居町駅まで戻るとかしてるうちに、彼女の方から景色とか、ホテルの建ってる場所から見える川が、笛吹川だっていうこととか、料理の名物がブドウ酒の原料のブドウを食べさせた豚なんだとか、いろいろ話してくれて、俺も、前回泊まったとき、警察官が一杯来て大変だった話とかしてるうちに、やっといつもの調子になれたんだ

部屋に案内されてから、とりあえず大浴場の温泉に入って、ホテルのレストランの美味しい料理と甲府ワインで、二人とも(俺の方が、かな?)ご機嫌になって、最後は部屋に戻って窓から見える夜空の星なんか眺め、ぎくしゃくしつつも段々盛り上がってった

どっちからって訳じゃなく、なんとなく手が重なると彼女の力が抜けて、俺にもたれかかって来たんで、とにかく焦らんように“落ち着け俺”って心で唱えて、なんとか無事に恋人関係に昇格!

俺をはねた宇宙人のタイムトラベラー(名前訊いてなかったわ)が、アソコはそのままにしておいたって、言ってたことが、今頃感謝感謝だったってことだけ、ご報告しときます!

それにして、翌朝の駒ちゃん、いや純ちゃんの可愛らしかったことと、俺の中に彼女を守るぞぉ、って気持ちがむらむら湧いたことが、なんてったって、印象に残ってる
…ということで、初めての彼女との一泊旅行は、素晴らしい思い出になったのであ〜る!

*

そんな素晴らしかった日も、あっという間にスマホの写真で見ることになって、もう1週間経っちまった
駒ちゃんは毎日忙しいし、俺の方も雄仁塚建設から頼まれたビルの解体工事の応援とか、SITの方に顔出しとかで、なかなか会えてなかった

そして、ついについに、SITの出番の日がやってきたんだよ
雄仁塚の現場で昼飯食ってるとき、スマホに成森さんから着信があって「青梅市の信用金庫で人質監禁立てこもり事件が発生したので、至急現場に向かってほしい」だと

解体工事現場の隅さんに事情を話してから、即(警察の呼び出しのときは即行っていいことになってる)、アパートに戻ってランボー衣装に着替えて、青梅市の事件現場にすっ飛んでった(でも現場に直、空からはNGだって言われてたんで、近くの公園に降りてから走って行った)

信金の支店に到着すると、何台ものパトカーとSITの指令車、そして隊員が乗って来たグレイの警察車両のほかにも、テレビ局の中継車や新聞社の車なんかが、わんさかいるしヘリも何機か飛んでる

SITの車に行くと、顔見知りの葛城警部が居たんで、寄ってくと「その恰好かぁ、まああっちの輸送車で待機していてくれ」とだけ言って、後は別の隊員たちと話しを続け始めちゃった

なんか、仲間はずれな感じがしたけど、まあ大人しく輸送車に行って、座席でお呼びがかかるの待ってた
しばらく放っとかれて、なんだかなぁと思ってると、ドアが開いて成森さんが顔を出した

「すまんすまん、まだ人質救出方針が定まってないんだ。犯人は二人。猟銃のようなものを所持してるんで、人質に危害が及ばないよう、上が慎重になってるんだ」その話しっぷりは緊張感あって、ドラマみたいだ

「俺、窓から突っ込んでてって、犯人の銃、取り上げちゃいましょうか?」どうせ撃たれたって平気なんで、ずばっと言うと「いやいやそれはまずいだろ」って、慌てて手を振ってNGを出す

そのままこう着状態が5〜6時間経ってから、SIT隊員の一人がやってきて、ついにお呼びが掛かったと言う
ただし、その恰好はまずいから、こっちの中華料理店の店員の服に着替えてくれ、とか言う

せっかく着て来たのに、とかつい愚痴ると、成森さんも「作戦だから、そうしてくれ」って言う
まあ人質救出が大事なのは俺も分かってるから、文句を言わずに急いで着替えた

大体、超人前は外食チェーンの店長見習いもやってたんで、着替えると我ながら妙に似合った感じになる
「おお、いいな。なんかぴったりだわ」って、チャチャ入れてるのか褒めてるのか分からん成森さんの声を聞きながら、指令車に行くと、葛城警部が「おお似合ってるな。それなら相手も油断するわ」とか言う

作戦とは、犯人に夕食の差し入れを提案して、相手が望んだ炒飯とラーメンを俺が持って行き、隙を見て現場を制圧するという、単純なものだった(後で成森さんから聞くと、俺がなるべく現場をぶち壊さないように、っていう作戦だったらしい。修理代を出したくなかったとか…)
posted by 熟年超人K at 16:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説

2022年03月20日

ランボー超人Bの物語-10 正義の味方始めましたC

220316↓
合同訓練の日から何日か過ぎた金曜の夜、明日明後日の連休は駒ちゃんと何処かに行けたらいいなってことで、メールしてみたら、ナント!“いいわよ、どこ行く?”って、即、返事が着信!

こんなにすぐに“いいわよ”が返って来るなんて思ってなかったんで、正直慌てちまった。だって、まだなんの計画も立ててなかったんだ
でも、チャンスはチャンスだ。急いでどっか行きたいとこなかったか、頭の中を探した。…あった

早速メッセージに、山梨の温泉に行くのはどうかな?って、どきどきしながら送った(下心ありって思うかな…)
今度は10分くらい経ってから“OKだよわーい(嬉しい顔)”って、めちゃ嬉しい返事があった!

それで早速、あのとき泊まったホテルの電話番号を調べて、宿泊の予約を申し込んで(どきどきの一部屋!)から、駒沢さんにメールした
立川駅からモノレールって手もあるけど、駒ちゃんからすれば、新宿−中央線−JR立川−中央線−春日居町ルートが、いいんじゃないかって付け足した(フツーのデートだから空は飛ばない!)

メール送ってから、返信が待ち切れなくって、そわそわが止らない
窓から外に出て、満月みたいな月が出てる夜空に飛び上がった

まだ9時ちょいだから、街の灯かりはある
月をときどき隠すくらいの雲もあるから、紺のトレーナー上下で飛んでも恥ずかしくない

俺としては、初の一泊デートなんで、もし向うに行ってから断られるなんてこと、考えもしてないから、ただもうウキウキっていうか、ワクワクのコーフン状態で、とにかく爆発したい訳よ

それで、無茶苦茶ぶんぶん飛び回ったりして、お腹猛烈に空いてアパートに戻って、最近は金回りいいんで、冷蔵庫にあるハムとか、買ってあるフランスパンとか、かに缶とか、ビール飲みながらむしゃむしゃ食った

ちょっとのぼせてたと思うけど、まあアオハルだよね
はっと思い出して、スマホの着信見たら“立川駅11時頃付きます”ってなってて、またもう1本空けちった

220320↓
目が覚めたら、朝だった
今日は、って思い出したら、またわくわくが始まった

朝飯の前に、電動シェーバーを顎に当てる
ばりばり音がいい感じだ

超人になっても髭は伸びるし、剃ることもできる
これは不思議と言えば不思議だ。だって、やくざのナイフは全然肌を傷つけないのに、だぜ

自分とこうして話をしてるなんて、可笑しいじゃないかって思いはするけど、どっちかって言うと俺らしいって言えば俺らしい
大学でも特にサークルとか入ってなかったし(一応“社会経済現象研究会”ってとこに所属はしてた)、一人の方が気楽でいいなんて、誰にも言ってたから仲間なんていなかった

もちろん女の子になんて縁がなかったし、最初何回か断ってたら、飲み会の誘いもまずなかった(人数合わせで半額会費の時だけ参加したけど)
なんか言い訳っぽいけど、俺としてはそれで問題なかった

だから今回、駒沢さんとデートできることになって、うろうろしちゃってる訳
それと、もし今夜、駒沢さんが一緒の部屋に泊まってくれるってことになっちゃうと、俺としてはいろいろ不安なこともある訳で…わかるだろ

俺、超人だから、もしも駒沢さんとあんなことや、こんなこと(どきどきするよな)になれたとき、大丈夫か?俺、って心配がわやわやしてる(あの最中に、力が入っちゃったら、とか…それが心配)

そんなこんなを考えちゃうと、今日は止めといた方がいいのか、とか更に考えちゃう俺
いいや、それじゃ俺、なんにも出来ない人生になっちゃうじゃん、ってもう一人の俺が出て来て、文句言う

で、時計見たらやばっ!もう時間じゃん!!
大慌てで、デート用に用意してた服に着替えて、アパートの部屋を飛び出す(もうマスコミの張込みはなくなってる)

アパートから西に少し進むと、多摩モノレールの高架が見える。その高架下を、人や車にぶつからないように気を付けて、出来るだけマックスのスピード(多分時速40〜50q)で走った

玉川上水駅あたりから立川駅まで約4qを5分くらいで走りきったんで、立川駅の中央線ホームに特急電車が入って来たときには、余裕で間に合った

ホーム側の席に座れてなかったようで、駒ちゃんの姿は見えなかったけど、とにかく乗り込んでから、スマホメールで連絡をすると、真中辺りの号車の左側の席に居るよって返事があった

やっと一緒の席になれて、俺の嬉しさはMAXだぁ!
なんて浮かれていられたのは、最初のうちで、並んで座ってると話が出てこない

もちろん、お天気良くってよかったね、とか、今日、メガネじゃないんだぁ、とか、俺、特急乗るのって初めてなんだぁ、とか、どーでもいいような話はすぐに終わっちゃうから、後はなんとなく、二人ともこの後の予定が、すごく気になってるんだけど、そこには触れられない…くて、困ったのだ
posted by 熟年超人K at 21:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説

2022年03月12日

ランボー超人Bの物語-10 正義の味方始めましたB

220304↓
そうは言っても、給料振り込んでもらってるんで、俺は素直に「はい!」って大きな声を出して、訓練用の4階建てビルの屋上に飛び上がった
下では、SIT隊員が4人1班3グループで、建物表口と窓と裏口から突入を始める用意スタンバイだ

そんなら次は俺の番だなって思って、とりあえず屋上の床を透視したろうかって、じっと見つめてやった
ところがコンクリートが厚くて、ぼやっとしか見えない。しかも真上からだと、人の形ってちょっとした丸い影くらいにしか見えない

中で突入隊を待ち構えてるSATの連中は、まだ俺の詳しい能力は知らないはずなんで、俺がどんどん突っ込んでけば、それでヨシだろうけど、それじゃあSITの訓練にならないから、連係プレイを大切にしてくれ、って星崎さんから何回も念押しされてるんだ

特に言われてたのが、とにかく人質の安全が第一ってことだった
俺が一人で、ばりばり突っ込んで、犯人たちが慌てて人質を殺しちゃうとかになったら、作戦は絶対失敗になるから、って強く言ってた(怪我でも大体失敗って判断されるらしい)

それで、俺はなんでも静かにやらなきゃいかんってことになってる
ドアが開かなかったら、ぶっ壊すとかはNGで、まずどうやったら静かに先に進めるか、そこを考えてから行動して欲しいんだと

で、俺は屋上からそっと下の階の偵察ってことで(当然頭を下にして空中から)、窓の中を覗いていった
4階は、椅子に座った白Tシャツの男が一人、ドアの方を見ている(手にはピストル)

続いて3階を見に行くと、ちらっと見ただけで男が四人と、人質役らしいのが五人(犯人は皆、銃を持ってる)
人が多いんで、誰かに見つかるとヤバイから、ちょっと見ただけで屋上に戻った

Tテレで作ってくれた超人ランボー衣装は、ポケットとかがない
SITに連絡する用に用意してもらったのは、二つ折りのガラケーだった(頑丈な防水携帯)。それを、拳銃用のホルスターみたいなのに入れて装着している

本当はカッコいいイヤホンタイプの無線受信器が良かったんだけど、コスチュームの頭はのっぺらぼうなんで、耳に装着できない
それと、俺は乱暴に行動しそうだからって、スマホとかじゃ持たないって、装備係に言われたんだって

まあそんなんで、ホルスターから携帯を取り出して、俺はSIT指令車に報告した
「Rより報告。立て籠もり犯は、4階に一名、3階に4名と人質五名、確認しました」刑事ドラマの主人公になった積りで、出来るだけカッコつけて喋った

「指示車了解。2階と1階はどうなっているか」あ、まだ見てない
「これから確認します!」まずっちったなぁ…

220312↓
で俺は、めっちゃあせあせ状態で2階の様子を見に、また建物の外壁に沿って降りてった
2階には人が居ない。と思ったら、なにか動いた。距離があるけど透視してみた

女の人が一人、事務机の下に隠れてる。ということは、人質にされずに逃げてる役の人かも知れない
う〜ん、芸が細かいなぁって思わず感心。危なく見逃すとこだった

このことを報告しに行かなきゃ、って思ったその時、ドアが開いた音がして、銃みたいな物を持った男が、部屋に入って来た。
見つからなきゃいいけど、ってハラハラしてたら、結局見つかって、机の下から引きずり出された

なんか危ない状況になったんで、どうしようって迷ってるうちに、隠れてた女の人は両手上げの状態で、銃を突きつけられ部屋から連れ出されようとしてる

まあ、後で落ち着いたら、結局お芝居じゃんってなったんだけど、そのときは頭がかぁーってなっちゃって、気が付いたら俺、窓をぶち破って、部屋に飛び込んじまった

そん時、女の人がびっくりした顔してたのと、同じくらいびっくり顔の男の表情は記憶に残ってるけど、次は銃持ってた男はふっ飛んで壁にぶつかってたし、女の人は俺に腕を掴まれたときに、なんか一生懸命言ってたけど、そのまんま俺が一緒に窓からダイブしたから、屋上に着くまで悲鳴上げてた

女の人が落ち着く前に、ホルスターの携帯がぶるぶるバイブして、俺が慌てて出ると「ばかやろー!なにやってんだぁー!!」って思いっきし怒鳴られた

結局、訓練はそこで中止になり、SITの葛城隊長がSATの篠崎隊長にぺこぺこ謝ることになっちゃった
でもその後に、SITの指示車の中に入って、葛城隊長さんと3人の班長さんとのミーティングのときには、別に怒られはしなかった

「やはりランボー君は超人なんだねぇ。我々と連携作戦を取るというより、我々がランボー君をフォローできるオペレーションを、組み立てるべきだということだ」隊長さんが、エモいって感じで話すと

「現状打破力が抜群ですし、損傷を気にせず飛び込んでもらえるので、後の展開が容易になります」
「ヘリのように音が出ないので、場所、時、気象を問わずに作戦が組み立てられます」
「SATさんの応援要請も出て来るんでしょうな」班長さんたちも口々に発言するんで、俺も悪い気はしない
posted by 熟年超人K at 16:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説