2022年01月28日

ランボー超人Bの物語-9 超人って楽しいかもE

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その日は、駒ちゃんが遅くまで仕事があるって言うんで、一人でアパートに帰った
もち、コスチュームを活かせる超人フライトで、びゅーんだ

部屋に戻って、缶ビール飲みながら、殿倉さんが言ってたこと思い出した
「これで勇太郎君は、政府公認のスー○ーマンになったんだから、これからはドシドシ番組に出演してもらうよ」ってことは、アイドルとか女優さんとも知り合いになれる、ってことだよな

そんな軽い俺じゃいかん、って気持ちと、いいじゃんもうかなり有名人なんだから、アノ業界に馴染んだって…
って、妄想しながら、いかんいかん、駒ちゃんがいるのに、ってもう一人の俺が、軽い俺を叱る

テレビを観てると、駒ちゃんの言ってたお笑い芸人の番組をやってる
スタジオの様子も何回か見てるんで、カメラワークとか、多分あそこでADがカンペ見せてるんだろうな、とか俺って結構業界人じゃん、なんて一人ツッコミして笑った

翌朝になって、いつもの俺に戻った
戻ってよく考えてみると、これから俺、警察官になるのか?真面目じゃないといかんのか?警察やってないときでも、いろいろうるさく言われるのか?って、段々気分が暗くなってく

大体、これまでお世話になった雄仁塚建設、どーする。このまま辞めさせて下さいって、言うのか?
勝手に押しかけて、ばっきばっきにぶっ壊しといて、それでも収めてくれた大手組の会長に、テレビ番組でいい加減なこと言わせて、こっちは知らん顔でいーのか?

頭ん中で『?』が、ぐるぐる回ってるぞ
まあ、超人だから、別に誰にどー思われても、関係ないっちゃそれまでだけど
だけど、俺、それでいーのか。昔っから、そーゆーの、嫌いだったよな

一応、問題点を全部、紙に書いて、改めて眺めてみた(問題解決法として大学で教えてもらった方法だ)
で、結論が出た
つまり、警察の仕事は最優先じゃなくて良い、ってことだ

星崎さんも言ってたように、俺は好きなようにやっていいんだ
だから、まず大手組の会長さんのところに、お詫びに行くことにした。って言っても、別にB力団と親しくなるって訳じゃなく、筋だけは通さんといかん、って死んだ親父がよく言ってた言葉が浮かんだからだ

ちょっと窮屈になってきたコスチュームを着て、窓から飛び出そうって思って外を見てびっくり
人が、大勢群がってる。マスコミだけじゃなく、近所の人も知らない人も、とにかく人人人じゃん

こりゃあ、早くここ引っ越さないと、まずいぞって真剣に思った
そう言えば、この前、山梨県に逃げたときに、住所わかちゃってるの、わかってたじゃん

それにしても、引っ越すにしても、次のアパートとかマンション、不動産屋さん、紹介してくれるかなぁ
超人だって、家欲しいし、のんびりくつろぐ場所要るし、彼女を呼べる部屋、欲しいし…

そうか、そういうことは、有名人のことよく知ってそうな、殿倉さんとかに相談してみよう(って考えたら気が軽くなった)
じゃ、ここは近々引っ越すんだから、別に出撃するとこ見られたって良いんだ

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ところが、引っ越そうかなと思って、スムトコショップに行ってみたら、俺、中途半端な有名人だってことが、マイナスだってことが分かった
まず、超人ランボーなんて変に有名なだけで、普通の部屋が借りられない。すぐ壊す奴だと思われてる

今のアパートの大家さんだって、俺が怒るのが怖いから、出てってくれって言えないだけかも知れん
って言うことは俺の場合、家は借りるものじゃなく、買わなきゃいかんものってこと!?

ショップから出て、こりゃ俺の将来は暗いかもなぁ…って、へこんでると、駒沢さんから電話が入った
「勇太郎さん、殿倉さんが新しい企画があるから、局においで頂けませんかって言ってるんですけど、どうですか」…なんか、ぎこちなくない?って思ったけど当然、元気よく「行きます!」って返事した

どっちで行くか迷ったけど、電車代がもったいないんで、コスチュームにして、空を飛んで行くことにした
窓から飛び立つとき、結構アパート裏にも人が居て、スマホやらカメラやら向けられたけど、俺はさっと飛び上がったんで、そんなに撮られなかったんじゃないか

大分慣れて来たんで、ちゃんと正面玄関前に着地して(見学の人達が「おーっ」ってなってた)、堂々と入って行って、受付の女子スタッフさんに受付てもらった
俺の姿見て分かったみたいで、別に守衛さん呼ぶとかはなく、ちゃんと駒沢さんを呼んでもらえた

駒ちゃんには、電話もらったときに、アパート引っ越そうと思ったんだけど、なかなか紹介してもらえなくて、困ってるんだ、って話しをたら「殿倉さんに相談してみます」って言ってたんで、それも訊きたかった

遠巻きにこっちを見てる人が増えて来たのを見て、駒ちゃんが「こちらへどうぞ」とか言って、コスチューム姿の俺を連れて、エレベーターに案内してくれた(もう誰も見てない)

エレベーターの中って、どうしてあんなに喋りにくいんだろ
久しぶりに二人っきりになれたのに、傍にいる駒ちゃんは、ばりばり感じてるのに(って言うか感じてるからか)、なんかもう口がきけない

そしたら「引っ越すの?」って、駒ちゃんがぽつっと言った
「あっ、うん、まあ今のアパート皆に知られちゃって、人が集まってしょうがないんで…」無理やり声出した

「そうだね、勇太郎さん、今や有名人だものね」また、ぽつって言った
俺が、返事しようと思ったら、ドアが開いて、待ってる人も居て、駒ちゃんも「どうぞ」とか言うんで、二人タイムは終了、俺は駒ちゃんに続いてエレベーターから出た

駒ちゃんに案内されて、今まで入ったことのない部屋に入ると、なんか高そうな楕円形の会議テーブル(椅子は10個)があって、殿倉さんと、前に見た偉そうな人と、もっと偉そうな高級紳士服の人が座って待ってた

「やあ、これはどうもどうも。さっ、こちらにどうぞ。暑かったらマスク取って頂いて、構いませんよ」って、殿倉さんがニコニコ顔で言うんで、俺も頭から被ってるマスクを脱いだ

「ご紹介しましょう、こちらが報道局次長の冠沢で、こちらはお会いしたことのある番組プロデューサーの御香山です」って、丁寧に紹介されたんで、俺もぺこりと頭を下げて「上辻曲です。超人ランボーやってます」って挨拶した(駒ちゃんは俺を残して部屋を出てっちゃった)
posted by 熟年超人K at 18:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き足しお気楽SF小説

2022年01月16日

ランボー超人Bの物語-9 超人って楽しいかもD

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もう頭に来たんで、星崎さんにはっきり言ってやった
「なんだかんだ言っても、あんたも俺をうまく丸め込む気だったんだね!」って言っといて、すっくと俺は立ち上がった(ここで、なにか言って来たら、一応聞いてやる積りだったんだけど)

「まあ、そう熱くならないで下さい、上辻曲さん」俺の勢いに、全然応えてないで、涼しい顔して座ったまま
俺の方は、立ち上がちまったもんだから、後はここから出て行くか、それとも暴れてやろうかとか考えているのが分かったみたいに、星崎さんが重ねて言った

「警察というところはね、とにかく書類を出しとかないと、先に進めないところなんですよ」はあ?
「いいじゃないですか、貴方は別にそんな書類に縛られるような、普通の人間じゃないんでしょ」星崎さんに、ちょっぴりワルの顔が出てる

「じゃあ俺は、このままにしとけばいいってこと…なんだ」頭が冷めて、なんとなく星崎さんが言ってる意味が分かった気がした
「そうですよ。貴方は、どんな法律にも縛られないスー○ーマンなんだから。自分のやりたいようにできるんですよ」と言うことは…

「とにかく、警察のバックアップがあれば、世間を敵にしないで、貴方の好きなようにスー○ーマンが出来ますよ。ただ最低限、警察の意向と真逆の方向にさえ行かなければですけど」う〜ん、警察ドラマのまんまだ…

そんな訳で、俺は暴れもせず、出した書類はそのままにして、俺と星崎さんが話し合ってる間、じっと待ってた職員さんから、『服務規程』だとか『身分カード』だとか入ってる大きい封筒をもらって、今度はちゃんとエレベーターで下まで下りて、普通に正面玄関から出ていった(出るまで職員さんが同行してくれた)

外に出てから、折角こんなところまで来たんだから、駒ちゃんに会えるかな、と思って電話した(スマホは、超人ランボーコスチュームの腰に付いてるポケットに入るようになってる)

「あっ勇太郎さん!ちょうどよかったー。実は、殿倉さんが逢いたいって言ってるのよ」なんとグッドタイミング!俺、こっちに来てるんだよ、って返事すると、じゃあ、こっちに来られる?って話になった

早速、東京メトロの霞ヶ関駅まで徒歩って、赤坂のTテレ本社ビルに向かうことにした
俺はなんとなくご機嫌。大きい封筒もしっかり持って、駒ちゃんと殿倉さんが待つ赤坂にゴー!

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とは言っても、コスチュームのまんま電車でゴーなんで、行くとこ行くとこ周囲の人たちから、じろじろだったり、こそこそだったり見られまくって、有名人の気分(又はハロウィーンの)をたっぷり味わえたっす

だけど顔を隠してると、人間ずうずうしくなるんで、俺はへっちゃら(スターと違って、なにやらかす奴かわかんないので、サインしてくれとか握手してくれが無いのは、楽だけどちょっと寂しい?)

地下鉄から地上に出ると、夕焼け色に染まったビッグハットに、灯が点り始める頃になってた
相変わらず、遠巻きの人から見られてるんで、早足ですたすた歩くと、さすがに誰も付いて来れない

大体、マラソン選手くらいのスピード(それ以上だと避け切れない人がぶつかる)で歩いて、その勢いでTテレ本社ビルに入ってくと、守衛さんが慌てて何人か出て来た
けど、連絡が入ってたのか特に妨害もされず、そのまま受付のとこまで行けた

受付の女の子は、コスチュームの俺をそんなにじろじろ見ないで(テレビ局だから有名人は珍しくないんだろうな)「すぐ担当の駒沢が参りますので、そのままお待ち下さい」とか言う

待ってる間に、俺のアドレナリンがどっかに行っちまって、急に恥ずかしくなった
だって、シークレットブーツになってても、小柄な俺が、スパ○ダーマンみたいな恰好で、封筒持って、ロビーに立ってるんだぜ、そりゃ恥ずいよぅ

ちょっとどっかに行ってようかな、って考えてたら駒ちゃんがにこにこ顔で、こっちに向かって歩いて来た
「お待たせしました、超人ランボーさん。殿倉が上でお待ちしておりますので、どうぞお越し下さい」なんか、よそよそしいけど、ちゃんと応対してくれてる感じだ

エレベーターで二人切りになったんで、そのあたりのこと訊いてみた
「前に来たときより、扱いが良くなった気がするんだけど…」
「警察の誰かから、殿に連絡があったみたい。ウチの局の公認になったみたいよ」ドアの方を見たままで、小さな声でそう言った

なーる。星崎さんの言ってたことって、こういうことなんだ、と俺は納得
それで、殿倉さんとしては、例の専属契約は無いにしても、俺と仲良くしときたいって訳なんだ

殿倉さんに会うと、全くその通りで「これから局として、勇太郎さんを全面的にバックアップしますから」とかなんとか、思いっ切りの笑顔全開でそう言った

みえみえだけど「駒沢ADが、勇太郎さんの連絡係ってことで、よろしいですね」なんて言うもんだから、俺としても「はあ、よろしくお願いします」って、言うよりしょうがないじゃん

だけど、これで駒ちゃんと堂々と会えるね、って顔したら、小さく「うん」って頷いてくれたんで、俺としては有頂天の大満足で、殿倉さんに見透かされんようにするのが、大変でした(笑)
posted by 熟年超人K at 15:44| Comment(0) | 書き足しお気楽SF小説