211013↓
「そうか」って言うと、その偉い感じの人が、後ろにいるガタイの良い男になにか囁いた
ざわっと人が動いて道が開き、ガタイの良い男が走り去る
俺と向き合って立っている偉そうな人が「少し、このまま待って頂けるかな」って落ち着いた声で言うんで、俺も、ああいいよ、みたいな気持ちを込めて、こくんと頷いた
多分、ここにはここのやり方があって、大将に会うには、いろいろ手続きがあるんだろう、っていうことは、雄仁塚建設で教わっていたから
でも、そのまま両手をぶらんとして突っ立っているのもなんだから、ちょっと身体を浮かせて、軽く天井辺りで寝ころんで見せてやった
おおっ、っていう声が、ほぼほぼ全員の口から洩れたけど、偉そうな人は、黙って俺を見上げてじっとしてる
そんな隠し芸大会みたいなことをやってるうちに、さっき走ってったガタイの良い奴が戻ってきて、内線電話(と思う)の受話器を、偉そうな人に渡した(俺が、すーっと下に降りたのは言うまでもない)
ええ…、はい、とか、私は大丈夫だと思います、とか話してから「総監がお会いするということだ。11階に行ってくれ」と、さらっと言ったさ
「わかった」ってひと言だけ言って、ガタイの良い奴が開けてくれたエレベーターに乗り込む
驚いたことに、偉そうな人も俺に続いてエレベーターに乗り込んで来たと思うと、ガタイの良い奴まで一緒に入って来て、さっさと11階のボタンを押す
ところで、エレベーターの中って、どうしてあんなに黙りこくった感じになるんだろう
ほんの短い時間だけど、俺はすることもなく、エレベーター内の三人について考えた
俺の身長は168p。スタイリストの高取さんが作ってくれた、超人ランボーの衣装は3pくらい厚底になってるんで、ちょっと見170pくらいあるけど、俺でも分かる高そうなスーツの偉そうな人は、180p手前くらいだしガタイの良い奴は190pくらいで、エレベーターの中で、俺は埋もれてる
超人前の俺だったら、ぜってーあり得なかった組合せじゃん、って思うとちょっと笑える
その気配を感じたのかガタイくんが、じろっと俺のこと見た(俺は知らん顔)
エレベーターが11階に着いて、ドアが開くと、やっぱり高そうなスーツのイケメンくんがすっとお辞儀をして「総監室でお待ちです」と、俺にじゃあなくて、偉そうな人に言う
「ええ。それでは、えーと、なんてお呼びすれば良いのですかね、上辻曲勇太郎さん」と、偉そうマンが妙に丁寧な喋りで話しかけてきた
「超人ランボーと呼んで下さい」ここは、はっきりさせとかんといかんとこだぞ、と思った俺は、胸を張ってそう答えてやった
211016↓
偉そうマンは「わかりました」って言うと、俺にどうぞ、って身振りで示す
そうなると、やっぱり「どーも」みたいに、ついお辞儀して中に入ることになっちまう
部屋の奥にでかい机があって、立いかにも高そうな、ずっしりした感じの木の扉を、恰好よくコンコンって偉そうマンはノックすると、別に返事は待たずに扉を開くと、制服の肩に金ぴかが沢山並んでる人が、立派な椅子に座っていて、用はなんだね、みたいな顔をしてこっちを見てる
こういうときは、気合で負けると、あとあと相手が上の立場になるから、呑まれるなよって、雄仁塚建設の合田社長が言ってた言葉を、頭の中で繰り返して、こっちも横柄な態度して、偉そうマンが示してくれた椅子に、どんと座る
でも、クッションが柔らかくて、身体が沈んじゃって、なんか自分が余計小さくなった気がする
「警視総監さんですか?」と、当たり前なことを訊いておいて、自分でもちょっと間抜けだったかなと気にした
どうも落ち着かないんで、部屋の中をぐるっと見回すことにすると、この部屋にはもうひとつ別のドアがある
ちょっと気になったんで、久々に透視してみることにした
隣の部屋には、五人隠れていて、ああ警視総監に何かあったらいけないんで、護衛が隠れてるんだな、と納得
もう少しよく見てやろうと思ったけど、偉そうマンが「総監、こちらが超人ランボーさんです」と話し出したんで、改めて総監という人を見た
総監という人は、偉そうマンより年上みたいだが、あまり貫禄がないように思える
実際のところ、偉そうマンの方が偉いんじゃないかと思えるくらい、どっしりしていない
あの大手組の親分の方が、貫録があったんじゃないかなぁ、って考えてると、ぼそっと口をきいた
「それで、お話というのは…」そこまで言うと、そのまま黙って俺の顔を眺めてる(やな感じだ)
なんて言ったらいいのか、結構行き当たりばったりで、会えればなんとかなるだろ、って考えてたんで、答えに詰まった
どうしようかって思いながら、天井に目をやったら、防犯カメラの赤い灯がチカチカしてるのが見えた
それで、ぱっと閃いた。俺の実力を見せちゃった方が早いって
「実は、俺って超人なんで、こんなことが出来るんっすよ」って言っておいて、俺は椅子から立ち上がりながら、そのまま天井の防犯カメラのところまで浮き上がった
高いところから見下ろすと、人間って偉い気分になるってホントだな
ガタイくんが緊張して、胸に手をやって身構えていて、偉そうマンは部屋の隅に移動してるのが見える。総監さんは、変わらず椅子に座ったままで、俺の方を見上げてる
「ランボーさん、なんのまねですか!」偉そうマンが強い口調で言った。ついでなんで、別のドアを透視すると、中の人が出て来ようとして、押し集まってるのが見える
「例えば、こんな監視カメラなんて目じゃないし…」そこまで言っといて、さっと下に降りて
「そこの大きな人が、隠してるピストル出して撃ったって、俺はなんともないんです。試しに、撃ってみて下さいよ」大手組に行ったとき、ちょっと経験してるんで、まあ大丈夫だろーって、ハッタリかましてやった
「わかりました。成森警部補、発砲を許可します」偉そうマンが落ち着いた声で、ガタイくんに命令した
その声を聞いた瞬間に、ガタイくんがぱっと動いて、上着の下から黒い拳銃を抜き出して、俺にぴたっと銃口を向けた
「よろしいんですね。あなたが、首を縦に動かしたら、彼はためらわず発砲します。やめておきたいなら、横に振ってくださったら、撃ちません」さあ、どーするみたいになったんで、俺は覚悟して首を縦に動かした
ダン、って乾いた音がした瞬間、俺には銃口からこっちに飛んで来る弾が見えた。んで、つい、さっと避けちまった
弾丸は、俺の後に座ってる総監さんの横の、コートかけに当って、木の屑がぱっと飛び散った
「そうそう、まずこうやって弾丸を避けるのはラクショー。それから、当ったって別になんともないんで、次は避けないんで、しっかり頭でも胸でも狙って撃ってください」つい避けちゃったのをごまかして、そう言ったった
2021年10月16日
ランボー超人Bの物語-8超人って大変K
posted by 熟年超人K at 11:52| Comment(0)
| 書き足しお気楽SF小説
2021年10月10日
ランボー超人Bの物語-8超人って大変J
211004↓
バタンバタンと廊下の両側のドアが開いて、人がどやどやっと溢れ出てきた
想像通り、腕力に自信のありそうな男たちが前方から三人、横の部屋から出てきたのが二人、両脇から俺にしがみついている二人と合せて、計七人が背の低い俺が見えなくなるほどの勢いで、組み付いている
俺の方は、予想してた通りだから、ちっとも驚いたりせず、そのまま七人をひっつけたまま前に進んだ
ちょうど目の前に、俺に組み付いてる奴の顔があったから「この階に警視総監さんの部屋ってあるのかなぁ」って訊いてみた
「こ、の、フロアには、総監室なんて、無いわ」思いっ切り力を出してるのに、俺が全く関係なく歩いてるもんだから、大分めげて来たのか、割と素直に教えてくれた
「じゃ、下の階に行ってみようかな。ありがと」一応お礼を言って、身体を大きくひねると、組み付いてた連中が、一気にばらけた
少し遠巻きにこの様子を見ていた連中が、慌てて携帯で連絡してる
まだ、飛びかかってくる連中を、軽く手で押しのけながら、俺はエレベーターの扉を見つけた
俺に押しのけられると、かなりな大男たちが、ぽんぽん吹っ飛んで廊下に転がる
そのうち、長い柄の先にY字が付いてるのを持ったのが三人、後ろから出て来て、俺にそれを押し当てようとする
なんかむかっとしたんで(テレビで逃げた猿とか捕まえようと、おまわりさんが使ってたのを思い出した)、その棒をひったくって、すごいスピードでぶんぶん振り回してみたら、皆、慌てて後ろに逃げた
「そーら、当ったら怪我するよー」そう言いながら、エレベーターの[↓]ボタンを押して待つ
下から上がって来たエレベーターが停まると、開いたドアから、わらわらっと五、六人飛び出してきた
ちょうど、Y字付きの棒を放り出したときだったんで、出てきた連中は振り回す棒には当らなかったけど、めんどくさくなった俺が、大きく横に払ったんで、最初の三人ばかりが、遠巻きに様子を見ていたおとなしめの連中の中に突っ込んで、見てた連中と一緒に、どどーっと倒れ込んだ
その後から出てきた連中は、もうちょい可哀相で、今度は反対側に払った俺の力で、さっきまで抑え込みをやってたガタイのいい連中と正面衝突して、ど派手にひっくり返った
そんなどたばたは放っておいて、俺は悠悠とエレベーターに乗り込んで、一個下の階のボタンを押した
一瞬一人になれて、やっと考える時間ができたんで、俺は反省方々、これまでのところを振り返ってみた
大勢、強そうな人と出くわした割には、多分そんな怪我人も出してなかったと思い、ここまでは80点!かな、と一人合格点を出した。でも、次の階に総監室が無かったら、もっとめんどうなことになりそー
211010↓
ところが、この階は違っていた
ドアが開いた瞬間に、どどーっと掴みかかって来るかと思って、その気になっていたらハズレで、開いた先には誰もいない
へ〜っと思いながら、エレベーターホールに足を踏み出すと、実は居た。十人以上は居る。それが、5mくらい距離を離して、こっちを見てる
と、見ているうちに、本気に強そうな男があっちから二人、こっちからも二人、俺がやってやろう、みたいな感じでぐいっと出てきた
なんか、やな感じがしたと思った瞬間、とあー!とか、せいっ!とか、うりゃー!みたいな掛け声と同時に、左右、呼吸を合わせて、一気に来た
さっきの階の連中に比べると、すごくプロっぽい感じだ(後で教えてもらったけど、この階には公安1課〜4課という警視庁の精鋭部署が集まってるんだって)
当然柔道とか空手とか、格闘術のベテラン揃いばっかで、俺が来るのを待ちかねてたっていう勢いで、一編に襲い掛かって来たってわけ
だけど、残念なことに俺は超人で、背は低いけどTテレで作ってくれた戦隊ヒーローみたいな恰好で、その攻撃を全部受けてやった
だけど平気な感じでそのまま立ってたもんだから、2〜3分は皆で代わる代わるバシビシやってたけど、そのうちバッテリーがあがっちゃったみたいになって、膝に手を置いたり、両手をぶらんとさせちゃったりして、息はあはあになっちまった
お疲れさんの連中が「き、貴様〜」とか、ぶつぶつ何か言ってると、後ろの方から、もっと偉い感じのスーツをばしっと決めてる人が、ずいっと出て来て「なんの用で、総監に面会を求めているのか」って、上から目線の訊き方をしてきた
「いや〜、警視総監って方にお会いして、なんで俺を、警察の人が捕まえようってしてるのか、直接訊いてみたいな、なんて思って…」ここは正直にそう言っといた(別に喧嘩しようって、そういう理由じゃないよ、って気持ち込めてね)
バタンバタンと廊下の両側のドアが開いて、人がどやどやっと溢れ出てきた
想像通り、腕力に自信のありそうな男たちが前方から三人、横の部屋から出てきたのが二人、両脇から俺にしがみついている二人と合せて、計七人が背の低い俺が見えなくなるほどの勢いで、組み付いている
俺の方は、予想してた通りだから、ちっとも驚いたりせず、そのまま七人をひっつけたまま前に進んだ
ちょうど目の前に、俺に組み付いてる奴の顔があったから「この階に警視総監さんの部屋ってあるのかなぁ」って訊いてみた
「こ、の、フロアには、総監室なんて、無いわ」思いっ切り力を出してるのに、俺が全く関係なく歩いてるもんだから、大分めげて来たのか、割と素直に教えてくれた
「じゃ、下の階に行ってみようかな。ありがと」一応お礼を言って、身体を大きくひねると、組み付いてた連中が、一気にばらけた
少し遠巻きにこの様子を見ていた連中が、慌てて携帯で連絡してる
まだ、飛びかかってくる連中を、軽く手で押しのけながら、俺はエレベーターの扉を見つけた
俺に押しのけられると、かなりな大男たちが、ぽんぽん吹っ飛んで廊下に転がる
そのうち、長い柄の先にY字が付いてるのを持ったのが三人、後ろから出て来て、俺にそれを押し当てようとする
なんかむかっとしたんで(テレビで逃げた猿とか捕まえようと、おまわりさんが使ってたのを思い出した)、その棒をひったくって、すごいスピードでぶんぶん振り回してみたら、皆、慌てて後ろに逃げた
「そーら、当ったら怪我するよー」そう言いながら、エレベーターの[↓]ボタンを押して待つ
下から上がって来たエレベーターが停まると、開いたドアから、わらわらっと五、六人飛び出してきた
ちょうど、Y字付きの棒を放り出したときだったんで、出てきた連中は振り回す棒には当らなかったけど、めんどくさくなった俺が、大きく横に払ったんで、最初の三人ばかりが、遠巻きに様子を見ていたおとなしめの連中の中に突っ込んで、見てた連中と一緒に、どどーっと倒れ込んだ
その後から出てきた連中は、もうちょい可哀相で、今度は反対側に払った俺の力で、さっきまで抑え込みをやってたガタイのいい連中と正面衝突して、ど派手にひっくり返った
そんなどたばたは放っておいて、俺は悠悠とエレベーターに乗り込んで、一個下の階のボタンを押した
一瞬一人になれて、やっと考える時間ができたんで、俺は反省方々、これまでのところを振り返ってみた
大勢、強そうな人と出くわした割には、多分そんな怪我人も出してなかったと思い、ここまでは80点!かな、と一人合格点を出した。でも、次の階に総監室が無かったら、もっとめんどうなことになりそー
211010↓
ところが、この階は違っていた
ドアが開いた瞬間に、どどーっと掴みかかって来るかと思って、その気になっていたらハズレで、開いた先には誰もいない
へ〜っと思いながら、エレベーターホールに足を踏み出すと、実は居た。十人以上は居る。それが、5mくらい距離を離して、こっちを見てる
と、見ているうちに、本気に強そうな男があっちから二人、こっちからも二人、俺がやってやろう、みたいな感じでぐいっと出てきた
なんか、やな感じがしたと思った瞬間、とあー!とか、せいっ!とか、うりゃー!みたいな掛け声と同時に、左右、呼吸を合わせて、一気に来た
さっきの階の連中に比べると、すごくプロっぽい感じだ(後で教えてもらったけど、この階には公安1課〜4課という警視庁の精鋭部署が集まってるんだって)
当然柔道とか空手とか、格闘術のベテラン揃いばっかで、俺が来るのを待ちかねてたっていう勢いで、一編に襲い掛かって来たってわけ
だけど、残念なことに俺は超人で、背は低いけどTテレで作ってくれた戦隊ヒーローみたいな恰好で、その攻撃を全部受けてやった
だけど平気な感じでそのまま立ってたもんだから、2〜3分は皆で代わる代わるバシビシやってたけど、そのうちバッテリーがあがっちゃったみたいになって、膝に手を置いたり、両手をぶらんとさせちゃったりして、息はあはあになっちまった
お疲れさんの連中が「き、貴様〜」とか、ぶつぶつ何か言ってると、後ろの方から、もっと偉い感じのスーツをばしっと決めてる人が、ずいっと出て来て「なんの用で、総監に面会を求めているのか」って、上から目線の訊き方をしてきた
「いや〜、警視総監って方にお会いして、なんで俺を、警察の人が捕まえようってしてるのか、直接訊いてみたいな、なんて思って…」ここは正直にそう言っといた(別に喧嘩しようって、そういう理由じゃないよ、って気持ち込めてね)
posted by 熟年超人K at 15:08| Comment(0)
| 書き足しお気楽SF小説