210925↓
少し頭を冷やしたい気分だったんで、5000mくらいの高さまで急上昇して、さあこれからどうしようって、柄にも無く、じっくり考えたんだ
逃げてばっかいるんじゃ、どうしようもないじゃんか、って心の中の俺が言う
これじゃあ、スーパーヒーローどころか、世の中の困ったちゃんになっちまうぞ、ってまた俺が言う
女の子にもてるどころか、駒沢さんに会うのも人目を忍ぶことになってしまうじゃないかーい!って、調子に乗ってもう一人の俺がどんどん言い続ける
こりゃ、警察の一番上の人に会って、俺のこと分かってもらうしかないぞ、って俺にしては名案が浮かんだ、と思った
雄仁塚組だって社長さんが認めてくれて上手く仕事できるようになったし、あの大手組だって親分さんは話が分かってくれたし、一番偉い人に会うのがとにかく手っ取り早いんだ、って答えが出た
で、警察で一番偉い人って言ったら、警視総監だろ、って思った俺は、富士山と海の関係から、あっちが東京だろ、って思う方向に向かってかっ飛ばした
ぶっ飛んでるうちに、テレビの警察ものだと、上の人は大体頭はいいけど“権力闘争”かなんかしてちゃって、俺の言うことなんて聞いてくれんだろーな、って考えも浮かんだり、まあいいや行ってみたらわかるだろーとか、いろいろ考えてるうちに、下はどうやら鎌倉あたりかな
後は、三浦半島を横切って、東京湾に出るとじきにアクアブリッジが見えてくる
確か羽田空港が見えたら、北に進めば皇居が見えるから、後は高度を下げて、警察ものドラマでよく見るあの建物に辿り着くはず
羽田空港を通過するとき、ここの管制室の人たちって、俺に気が付くのかなー、なんて思ったりもした
それはとにかく、下はもう大東京。さっきまで、山梨県にいて、もう東京なんて、俺ってすごいな
そんなこととろとろ考えてるうちに、お馴染みの建物が見えた
警視総監に会ったら、なにを話したらいいのか、あまり考えてないうちに、もう到着しちゃったので、一旦下に降りて、建物の入口を探す(通行人とかいないので助かる)
だけど、どの入口にもお巡りさんが見張りをしている(立番って云うらしい)
そりゃあ、この格好で入って行ったら、絶対止められる、のは分かる
強引に入っちゃおうかとも思ったけど、最初がそれじゃあ、いくら警視総監の心が広くても、印象が良くないだろう
それで、さっき空から見たときあったヘリポートから入ることに決めた(Tテレもそこが入り易かったし)
大体、偉い人の部屋は一番上の景色のいいところにあるんだろうと、俺は推理していた(結果、上の階だったけど正解は11階で、その上に警備部とか公安部とか厳しい部署が一杯あった)
210928↓
ヘリポートに降りようと思ったけど、人が二人居たんでちょっと迷った
でも、その二人のうちの一人が、ちょうど顔を上げたんで、空中の俺と目が合っちまった(かなり距離あったんだけど…)
驚いたそいつは、慌てて隣の男の腕を掴んで「お、おい!」とか、大声出したんで、もうしょうがないや、って覚悟して、そのままヘリポートに降りた
「こんにちは、すみませんが、警視総監さんにお会いしたいんですが、そこの扉から入らせてもらいたいんですが」一応、丁寧風に挨拶をしておいて、後はどんどん歩き出した(どうせ返事を聞いたところで、断るに決まってるから)
当然、二人は慌てて、俺に追いすがりながら「勝手に庁内には入れないから!」と、俺の腕を掴んで強く言う
でも俺は関係ないって、知らん顔でそのまま進む。男二人、腕を掴ませたまま
せっかく、一緒になったんでどんな奴かと二人を見ると、一人はヘルメット持ってるから、あっちに停まってるヘリのパイロットなんだろう。で、もう一人(先に腕を掴んだ方)は、整備士なのか、二人ともつなぎの服を着てる(だから、応対が穏やかなんだな)
庁内に入る鉄扉を開けようとすると、ヘルメットの方が必死に止めにかかる。整備士らしき人は、携帯を取り出して、慌ててどこかに連絡し始めた
俺は構わず、パイロットを腕にくっつけたまま、扉を開けて中に入った
中に入ると階段があって、それを降りた処にまた鉄扉がある
一番上の階に、一番偉い人の部屋があると思い込んでた俺だから、迷わずその扉に手を掛けたが、折角腕にここに詳しい人がくっついているんだから、念のため訊いてみることにした
「すみません、警視総監の部屋って、このフロアなんですか?」と素直に訊いてみた
俺の進行を止めるつもりだったはずなのに、全く易々と俺に運ばれてしまっていたヘルメット男は、慌てて俺の腕から手を離して、階段を上に駆け上ってしまった
なんだ、逃げちゃったのか、と思ったが、めんどくさいので放っておいて、鉄扉をぐいっと開けた
さすがに、少し力の加減ができるようになっていたので、扉はぶっ壊れず、普通にすっと開いた
次の瞬間、俺の眼に映ったのは、廊下一杯に集まっているダークスーツの男たちの群れだった
それでも構わず、扉を開けて廊下に出た途端、両脇を俺よりずっと背が高い、びしっとした顔の男二人に挟み込まれてしまった
もちろん、俺の方はびくともしないから、両脇の男を引きずって、そのまま前に進む
あの大手組に突撃訪問したときと同じくで、こういう腕力に自信がある人達は、それが全く通用しないって分かると、必ずその三倍くらいの人数が、一気にこちらに組み付いてくる
特に暴れて、相手に大けがを負わせちゃったりはマズイので、少し力の加減をしつつ、構わず前に進む
「すみませーん!警視総監さんのお部屋は、このフロアでしょうかー!」ちょっと大声はなんだと思ったけど、分からないんで、とにかく分かる人がいるかどうか、訊いてみたんだ
2021年09月28日
ランボー超人Bの物語-8超人って大変I
posted by 熟年超人K at 18:01| Comment(0)
| 書き足しお気楽SF小説
2021年09月19日
ランボー超人Bの物語-8超人って大変H
210913↓
「で、どうすんのー。俺を確保するんでしょー。だったら、こっちに来ないと、捕まえらんないよー」こんな風に煽る俺って、結構いじわるだよな。お巡りさんをおちょくるの、良くないよなー(でもいい気分)
「警部ー、捕まえましょー!ここまで、言われちゃー我慢できませんー!」ほかの連中も、口々に同じようなこと怒鳴り始めて、じりじりっと俺に接近して来てる
警部さんが覚悟を決めて「かくほー!」って吠えた
さすが、いつも訓練してる(?)だけあって、応援隊の全員が、一斉に俺目がけて突っ込んできた
その勢いにびっくりしちゃった俺は、とりあえず空中に飛び上がって…つい、逃げちゃったんだよね
どどーって、勢いで集まって来たお巡りさんたちは、ごちゃごちゃ、ってぶつかりあって、俺がいないのに気づくのに、ちょっと時間がかかったんだ
そのとき、ホテルの前に出て、皆を指揮してる警部さんが「おいっ、上だ、上にいるんだ!」って、怒鳴った
ごちゃごちゃしてた10人くらいが、えーって、上を見上げて驚いてる
「こらー、降りて来い!」とか「降りてこんかー!」って、わめき始めたけど、俺はどうしようかなぁ、って悩んでた。だって、降りてって皆んなをブッ飛ばすのも、なんだかなぁ、って思っちゃったんだ
まあそれでも、20mくらいの高さに浮いてたから(ホテルの5階くらいかな)だから俺の顔はわかるよな
「空を飛んでます!あいつ、この間テレビに出てたスー○ーマンじゃないか」「そうだ、スー○ーマンだぞ」
皆、勝手にがやがや言い出して、優秀な警察って感じじゃないなぁ
それを見て警部さんは、慌てて携帯でどこかに連絡を取り始めたぞ
210919↓
そんな状況を、空中からざっと見まわしてたら、なんかやる気がなくなってきちまった
それと、ホテルの窓から俺をスマホで撮ってる連中もちらほら見えるし…
チェックアウトしてホテルを出るだけの積りだったから、超人衣装は背中のリュックの中
こんなジーパンにセーターとマフラーの、ちょっと寒すぎな恰好を録られるのもいやなんで、俺はこのままバイバイってことにした
ってことで、一気に上昇して、ちょうど雲があったんでその中に入ってから、どっちに行ったか分からないようにするつもりだったんだ
だけど、それはまずかった(雲の中ってほとんど小雨状態!)…そう失敗
まあ超人だから、風邪なんてひかないけど、なんかしっとりして、嫌な感じなんだよね
で、もっと上昇して雲の上に出たら、富士山の頂上辺りが見えたんで、なんとなくそっちに向かった
かっこいい富士山も、上から見るとそれほどでもなく、雪に覆われた荒々しい山だ
その景色の中を人が三人、ゆっくり、真っ白な登山道を動いてるのが見える
なんか感動しちゃって、つい手を振ってがんばれよー、かなんか叫んじゃったよ
二番目の人が気が付いて、空中の俺に手を振ってから驚いた風に、仲間になにか声をかけてるのが見えた
ただそれだけのことだけど、俺は少しいい気分になれた
なんか、警察に追われてる“お尋ね者”の気分になっちゃってて、少し滅入ってたんだなってわかった
こりゃいかん、俺はなにも逃げなきゃいかんわけじゃないんだって、そのとき心が立ち直った
それで俺は、東京方面目指してすっ飛ばす気になった
行く先は、警察の親方“警視庁”だ
じゃあ、ってんで、一旦どこかに降りて、服を着替えなきゃいかんと思って、どこか降りるのに良さそうなとこを探す
すごくわかりにくいけど、何軒か山小屋みたなのがある
冬の富士山なんで、登山者はそんなにいない(けど、何組かいる…こんな雪山に!)
とにかく(頂上に近い)上の方の小屋の近くを選んで着地した(随分風が強いのに驚く)
リュックを下して、超人ランボーの服を出して、ジーパンとセーターを脱いで着替えようとしたけど、風に服が持ってかれそうで困った
なんで、しょうがないから超人服をもう一度リュックに戻して、風の当らなそうな小屋の影に移動する
ちょうど、パンツとTシャツになって、超人服を着ようとしてる最中に、小屋の戸が開いて、髭面のいかにも山男って感じの男の人が顔を出して、俺のことを見てぎょっとした顔のまま固まった
しょうがないんで、俺はなんとなく笑って頭を下げて、そのまま超人服を着ていった(やっぱ着るのが大変)
着替えてリュックを背負って、ついサービス精神で、ちょっと手を振って、それから空に飛び上がったんだよね
「で、どうすんのー。俺を確保するんでしょー。だったら、こっちに来ないと、捕まえらんないよー」こんな風に煽る俺って、結構いじわるだよな。お巡りさんをおちょくるの、良くないよなー(でもいい気分)
「警部ー、捕まえましょー!ここまで、言われちゃー我慢できませんー!」ほかの連中も、口々に同じようなこと怒鳴り始めて、じりじりっと俺に接近して来てる
警部さんが覚悟を決めて「かくほー!」って吠えた
さすが、いつも訓練してる(?)だけあって、応援隊の全員が、一斉に俺目がけて突っ込んできた
その勢いにびっくりしちゃった俺は、とりあえず空中に飛び上がって…つい、逃げちゃったんだよね
どどーって、勢いで集まって来たお巡りさんたちは、ごちゃごちゃ、ってぶつかりあって、俺がいないのに気づくのに、ちょっと時間がかかったんだ
そのとき、ホテルの前に出て、皆を指揮してる警部さんが「おいっ、上だ、上にいるんだ!」って、怒鳴った
ごちゃごちゃしてた10人くらいが、えーって、上を見上げて驚いてる
「こらー、降りて来い!」とか「降りてこんかー!」って、わめき始めたけど、俺はどうしようかなぁ、って悩んでた。だって、降りてって皆んなをブッ飛ばすのも、なんだかなぁ、って思っちゃったんだ
まあそれでも、20mくらいの高さに浮いてたから(ホテルの5階くらいかな)だから俺の顔はわかるよな
「空を飛んでます!あいつ、この間テレビに出てたスー○ーマンじゃないか」「そうだ、スー○ーマンだぞ」
皆、勝手にがやがや言い出して、優秀な警察って感じじゃないなぁ
それを見て警部さんは、慌てて携帯でどこかに連絡を取り始めたぞ
210919↓
そんな状況を、空中からざっと見まわしてたら、なんかやる気がなくなってきちまった
それと、ホテルの窓から俺をスマホで撮ってる連中もちらほら見えるし…
チェックアウトしてホテルを出るだけの積りだったから、超人衣装は背中のリュックの中
こんなジーパンにセーターとマフラーの、ちょっと寒すぎな恰好を録られるのもいやなんで、俺はこのままバイバイってことにした
ってことで、一気に上昇して、ちょうど雲があったんでその中に入ってから、どっちに行ったか分からないようにするつもりだったんだ
だけど、それはまずかった(雲の中ってほとんど小雨状態!)…そう失敗
まあ超人だから、風邪なんてひかないけど、なんかしっとりして、嫌な感じなんだよね
で、もっと上昇して雲の上に出たら、富士山の頂上辺りが見えたんで、なんとなくそっちに向かった
かっこいい富士山も、上から見るとそれほどでもなく、雪に覆われた荒々しい山だ
その景色の中を人が三人、ゆっくり、真っ白な登山道を動いてるのが見える
なんか感動しちゃって、つい手を振ってがんばれよー、かなんか叫んじゃったよ
二番目の人が気が付いて、空中の俺に手を振ってから驚いた風に、仲間になにか声をかけてるのが見えた
ただそれだけのことだけど、俺は少しいい気分になれた
なんか、警察に追われてる“お尋ね者”の気分になっちゃってて、少し滅入ってたんだなってわかった
こりゃいかん、俺はなにも逃げなきゃいかんわけじゃないんだって、そのとき心が立ち直った
それで俺は、東京方面目指してすっ飛ばす気になった
行く先は、警察の親方“警視庁”だ
じゃあ、ってんで、一旦どこかに降りて、服を着替えなきゃいかんと思って、どこか降りるのに良さそうなとこを探す
すごくわかりにくいけど、何軒か山小屋みたなのがある
冬の富士山なんで、登山者はそんなにいない(けど、何組かいる…こんな雪山に!)
とにかく(頂上に近い)上の方の小屋の近くを選んで着地した(随分風が強いのに驚く)
リュックを下して、超人ランボーの服を出して、ジーパンとセーターを脱いで着替えようとしたけど、風に服が持ってかれそうで困った
なんで、しょうがないから超人服をもう一度リュックに戻して、風の当らなそうな小屋の影に移動する
ちょうど、パンツとTシャツになって、超人服を着ようとしてる最中に、小屋の戸が開いて、髭面のいかにも山男って感じの男の人が顔を出して、俺のことを見てぎょっとした顔のまま固まった
しょうがないんで、俺はなんとなく笑って頭を下げて、そのまま超人服を着ていった(やっぱ着るのが大変)
着替えてリュックを背負って、ついサービス精神で、ちょっと手を振って、それから空に飛び上がったんだよね
posted by 熟年超人K at 17:15| Comment(0)
| 書き足しお気楽SF小説
2021年09月04日
ランボー超人Bの物語-8超人って大変G
210830↓
チェックアウトを頼んで、請求書の金額をサイフから出しかけていると、俺の右隣になんかでかい奴が並んできた
ん…、って思ったとき、後ろにも男が二人立ってるのが分かった
なんだよこれ、テレビで見たことあるような感じじゃん、って気が付いた…こりゃ、警察だよ
まあなんたって、もう超人気分にも慣れてる俺だから、んでなに?くらいの余裕だったさ
だけど、でかい奴が急に俺の右腕を捕まえて「上辻勇太郎だな!」って、でかい声出したんだ
なんかその音圧ってゆうか、それにびっくりさせられちゃって、次にむっちゃ腹立って、なんだよこのヤローみたいに、右腕をぶるんって振り回したら、そのでかい奴がぶっ飛んっじゃって、受付カウンターの向こう側に、ど派手に突っ込んじゃったんだ
ホテルの受付の人も驚いてたけど、後ろの警察の二人と、あとロビーに三、四人いたのも警察だったみたいで、さすがにさっと緊張したのが分かった
俺の方も、急にやる気になっちゃって、やれるもんならやってみろよ、おら!的に、熱くなっちゃって、さっと振り返ると、後ろの二人が飛びかかってみたもんだから、その胸の辺りを両手で、どんって押してやったさ
さっすがに超人パワー、って感じで、二人の(多分)刑事さんらは、ワイヤーアクションみたいに、大きく後ろに跳ね飛ばされて、一人はロビーラウンジの、高級そうな椅子の間に突っ込んで、もう一人は、置いてあるグランドピアノにぶつかって、すごい音を出す羽目になっちまった
ロビーのあっちこっちに居た、警察の人っぽい連中は、頑張って俺に向かって来ようとした二人と、慌てて、携帯で誰かと大声で話してるかと思えば、突っ立ってぼけーっとこっちを見てるのがいたりって中、俺ときたら、お金をカウンターに並べて「じゃ、これで」なんて、決めゼリフ
ホテルの係員は、それでもどうにか領収書を出してくれたんだから、プロだよね
210904↓
とにかく支払いは済ませて、俺は胸を張ってホテルの玄関から出て行くことにした
外に出ると、ホテル前の駐車場に白黒のパトカーが2台と、グレイの腹面パトが1台、例のくるくる回る赤ランプを点けたままで、停まっている
見てたら、いたずら気分が湧いてきちまって、3台の頭を上に、お尻を下にしてキャンプファイヤーの薪みたいに、三角形に立てることを思い付いた
そんなことやって遊んでたら、さっき携帯で連絡していた相手らしき新手のパトカーが4〜5台、サイレンを鳴らしながら、このホテルに向ってくるのが見えた
別に、空に飛び上がっちゃえばサヨナラなんだけど、俺としてもなんか中途半端な気分なんで、もう一戦やってみよっかなー、なんて余裕の気分になっちって、三角に立てたパトカーの前で、のんびり、連中が到着するのを待つことにしちゃったよ
駐車場の真中あたりにパトカーの三角を立ててるんで、応援部隊がぞろぞろっと入ってくると、一気に駐車スペースが無くなっちまった
先に入って来たのが、かなり適当に車を停めたんで、後から入ったのは無理やり停めた形になるもんだから、お互いドアを開けて出て来るのに苦労してる
さすがに皆、パトカーが3台で、三角形に立ってるのを見て驚いてる
そこへ、館内からさっき放り投げられた連中が出てきたもんだから、俺と三角を真中に、あっちとこっちで、見つめ合うみたいになっちまってる
「おーい、上辻くん。見ての通り、あんたは我々に包囲されてるんだから、おとなしく署に同行するよーに」ホテルから出てきたのが、こっちに向かって大声を出した
「いや、別に俺は警察さんに捕まるようなことは…あっ、さっきしたか…。したかも知れんけど、行く気、無いから」一応、返事はしとかんとな
「警部ー、こいつ、確保しますかー」応援のパトカーから出てきた、制服のお巡りさんが、こっち側から大声で話しかけてる。なんか、お間抜けな感じだよな
「待てー、そいつは馬鹿力があるからー、迂闊に手を出すのは止めろー」警部さんが返事をする。って、さっき携帯で喋ってた奴だ
その呼びかけと、俺の傍に立ってるパトカー3台を、その場の全員がはっきり意識したのが分かる
そして、警察の連中に、緊張感が高まり、伸縮式の警棒を取り出す者や、制服のお巡りさんは、腰の拳銃に手をかけてる者までいるんだよ(でも俺は余裕だけど…)
チェックアウトを頼んで、請求書の金額をサイフから出しかけていると、俺の右隣になんかでかい奴が並んできた
ん…、って思ったとき、後ろにも男が二人立ってるのが分かった
なんだよこれ、テレビで見たことあるような感じじゃん、って気が付いた…こりゃ、警察だよ
まあなんたって、もう超人気分にも慣れてる俺だから、んでなに?くらいの余裕だったさ
だけど、でかい奴が急に俺の右腕を捕まえて「上辻勇太郎だな!」って、でかい声出したんだ
なんかその音圧ってゆうか、それにびっくりさせられちゃって、次にむっちゃ腹立って、なんだよこのヤローみたいに、右腕をぶるんって振り回したら、そのでかい奴がぶっ飛んっじゃって、受付カウンターの向こう側に、ど派手に突っ込んじゃったんだ
ホテルの受付の人も驚いてたけど、後ろの警察の二人と、あとロビーに三、四人いたのも警察だったみたいで、さすがにさっと緊張したのが分かった
俺の方も、急にやる気になっちゃって、やれるもんならやってみろよ、おら!的に、熱くなっちゃって、さっと振り返ると、後ろの二人が飛びかかってみたもんだから、その胸の辺りを両手で、どんって押してやったさ
さっすがに超人パワー、って感じで、二人の(多分)刑事さんらは、ワイヤーアクションみたいに、大きく後ろに跳ね飛ばされて、一人はロビーラウンジの、高級そうな椅子の間に突っ込んで、もう一人は、置いてあるグランドピアノにぶつかって、すごい音を出す羽目になっちまった
ロビーのあっちこっちに居た、警察の人っぽい連中は、頑張って俺に向かって来ようとした二人と、慌てて、携帯で誰かと大声で話してるかと思えば、突っ立ってぼけーっとこっちを見てるのがいたりって中、俺ときたら、お金をカウンターに並べて「じゃ、これで」なんて、決めゼリフ
ホテルの係員は、それでもどうにか領収書を出してくれたんだから、プロだよね
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とにかく支払いは済ませて、俺は胸を張ってホテルの玄関から出て行くことにした
外に出ると、ホテル前の駐車場に白黒のパトカーが2台と、グレイの腹面パトが1台、例のくるくる回る赤ランプを点けたままで、停まっている
見てたら、いたずら気分が湧いてきちまって、3台の頭を上に、お尻を下にしてキャンプファイヤーの薪みたいに、三角形に立てることを思い付いた
そんなことやって遊んでたら、さっき携帯で連絡していた相手らしき新手のパトカーが4〜5台、サイレンを鳴らしながら、このホテルに向ってくるのが見えた
別に、空に飛び上がっちゃえばサヨナラなんだけど、俺としてもなんか中途半端な気分なんで、もう一戦やってみよっかなー、なんて余裕の気分になっちって、三角に立てたパトカーの前で、のんびり、連中が到着するのを待つことにしちゃったよ
駐車場の真中あたりにパトカーの三角を立ててるんで、応援部隊がぞろぞろっと入ってくると、一気に駐車スペースが無くなっちまった
先に入って来たのが、かなり適当に車を停めたんで、後から入ったのは無理やり停めた形になるもんだから、お互いドアを開けて出て来るのに苦労してる
さすがに皆、パトカーが3台で、三角形に立ってるのを見て驚いてる
そこへ、館内からさっき放り投げられた連中が出てきたもんだから、俺と三角を真中に、あっちとこっちで、見つめ合うみたいになっちまってる
「おーい、上辻くん。見ての通り、あんたは我々に包囲されてるんだから、おとなしく署に同行するよーに」ホテルから出てきたのが、こっちに向かって大声を出した
「いや、別に俺は警察さんに捕まるようなことは…あっ、さっきしたか…。したかも知れんけど、行く気、無いから」一応、返事はしとかんとな
「警部ー、こいつ、確保しますかー」応援のパトカーから出てきた、制服のお巡りさんが、こっち側から大声で話しかけてる。なんか、お間抜けな感じだよな
「待てー、そいつは馬鹿力があるからー、迂闊に手を出すのは止めろー」警部さんが返事をする。って、さっき携帯で喋ってた奴だ
その呼びかけと、俺の傍に立ってるパトカー3台を、その場の全員がはっきり意識したのが分かる
そして、警察の連中に、緊張感が高まり、伸縮式の警棒を取り出す者や、制服のお巡りさんは、腰の拳銃に手をかけてる者までいるんだよ(でも俺は余裕だけど…)
posted by 熟年超人K at 11:10| Comment(0)
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