2020年02月12日

ランボー超人Bの物語―5 俺はランボー超人だーっB

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「座らせてもらっていいっすか」うん、声は震えてない
デスクを前にしたラスボスらしいのが、顎を動かすと、さっきのスーツが手でデスクの前にある革張り(だろうな)のソファを、どうぞ、みたいな感じで手で示す

座ってみると、えらく深く沈むソファで、尻半分が穴に落ちて、はまってるみたいになっちまった
立ってる連中が、こっちが低くなったんで、見上げてる感じになってでかく見える

なーるほど、これはそこを狙ってる椅子なんだ(相手の狙いにはまっちまった、てとこだね)
おまけに深く沈んじまってるんで、動き辛いったらない

「で、あんた、ウチを退治に来たんだってな」相変わらず渋いいい声で、ラスボスがぼそっと言った
「ええ、まあ、俺、正義の味方なんで、お宅さんみたいなとこ、潰して廻ろうっておもってるんで」言えた言えた

「てめぇっ…」白スーツが内ポケットに手を入れながら、歯を食いしばったみたいな声で凄む
「やめろ、こいつは、見た目より強い奴だ」中年ダークスーツが、どすのきいた(って、こういうのだよね)声で、白スーツを手で制する

Vシネみたいな展開になって、俺としては、暴れるきっかけが何時来るんだろう、と思ってると
「よせよせ。大体、あんた、なんの遺恨でウチを狙うんだ」イコンって、恨み、とかだよな

「別に、特別には無いんだけど、ほら、お宅たちやくざって、悪いことやって儲けてるんだろう」って言ってやった
「そりゃあ、真面目に働いてるったぁ、言えんが、世間の儲けてる会社と、大して変わらんよ、ウチも」

「だめだめ、そんなこと言ったって、お宅らは組織暴力団って言われてるじゃん。俺、知ってるから」
「なにぐだぐだ言ってるんじゃ、会長、やっちまいましょうよ、こいつ」横から白スーツが口を挟む

「ばかやろう!会長のお話し中に、ちゃちゃ入れるんじゃねぇ!」中年ダークスーツが白スーツを叱り飛ばす
う〜ん、Vシネっぽいなぁ、この展開

しかし、誰も襲いかかって来ないってなると、こっちから手を出しにくい(なんというか、呼吸が読めん)
「まあ、今日のあんたの暴力沙汰には目をつむろう。ウチもこんな稼業だから、仕方ないところもある。腕っ節の強いのは分ったから、今日のところは一旦引いてくれ」ラスボスが貫録たっぷりに締めに入ってきた

えーっ、これで終わりにされたら、中途半端じゃん、って思ってると、遠くにテレビでお馴染みのパトカーのサイレンが、いっぱい聴こえてきた
俺が少しそわつくと、イケメンが「やばいっす、来ましたよサツが」って、口走る

一同、ざわっとしたところで、スーツがラスボスの目配せで、こちらへ、というように俺を逃がすような雰囲気を発散する
俺、どうしようかな、って迷ってる

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「すんません。俺、こういう考えなきゃいけないのって苦手なんで、もうちょっと居させてもらって、勝手に帰らせてもらいます」
こんなじゃあ、この後、テレビ局に行ったって、中途半端なのは俺でも分かるってこと

「会長、こいつこのまま帰しちまうんですか」白スーツが、目一杯怖そうな声を出す(おっいいぞ)
暴れるきっかけが欲しい俺は、深く沈んだ位置から、こっちもできるだけいやな眼つきで白スーツを睨んでやった

「笹島、いーから会長のおっしゃるようにしろっ」案内係のスーツが、白スーツを窘める
「そーだよ、笹島くん。言うこときかないと、怒られるぞぉ」消えそうになった火種に、慌てて空気を送る俺

そりゃそーだろうな、暴れてた時はともかく、こんなズダボロの格好で、でかいソファに沈み込んでる俺なんて、背も低いし、会社でもパッとしないなぁお前、なーんて言われてるくらいだから、白スーツにしたら、腹が立ってしょうがないんだろうよ

案の定「てめえ!」か、なんか口走って、俺の襟元を引っ掴んで、立たせようとした(あーぁ、やってくれたね)
その手をぐっと掴んで、斜め後ろに白スーツを投げ捨てると、その反動を利用して、ひょいと立ち上がった

壁にぶつかって、どーん、とド派手な音を立てて跳ね返り、ほぼ同じような位置に落ちた白スーツは、かすかに動いてはいるけど、もう戦力にはならない状態だ
俺が立ち上がった動きに反応して、中年スーツと案内係スーツが、素早くラスボスの前に移動し、イケメンがジャケットの内に手をつっこんだ

一触即発、とその時、ラスボスが立ち上がって「待った!」と、思いがけない力強い声で、皆を制した
俺と言えば、座っていたソファを引っ掴んで、目の前の中年スーツと案内係スーツにぶっつけようと、大きく振り上げたところだった

その力の凄さに、ラスボスを守るように立ちはだかっている二人のスーツ男の眼が、驚愕に見開かれ、俺の斜め後ろに位置するイケメンの手が、ジャケットに突っ込まれたまま止まっちまっている
ラスボスも驚いているようだが、さすがに親分なだけあって、割と冷静

「まあ、待ってくれ。権藤、笹島の様子を見てやれ。チャカは出すんじゃない!」
どうやら権藤がイケメンのようだ、すっと力が抜けて、軽く頭を下げると、白スーツのところに行く気配

「すまんかった。若いのが先走っちまった。勘弁してやってくれ」貫録って言うのは、こういうのかな
こうなると、これで暴れたら俺の方が悪いような気がして、とりあえずソファを下ろした(パトのサイレンが止まった)

「すまん。もうじきサツの連中が、ここにもやってくるだろう。後はこっちでやるから、あんたは好きにしてくれ」
結局、さっきの展開と同じになったみたいだが、微妙にラスボスの言い方が変わってることは、KYの俺にもわかった

で、しょうがないので、わかったと親指立てて(実はお辞儀しそうになって慌てて止めたんだけど)、部屋を出た
初めの計画じゃあ、みんなぶっ飛ばした後、窓をぶち破って飛び去る積りだったんだが、こんな街の真ん中の真昼間に、ガラスの雨を降らして、通行人が怪我したら、正義の味方なんて言えんぞ、って気がついたから、屋上からバイバイしようって、決めたんだ
posted by 熟年超人K2号 at 11:46| Comment(0) | お気楽SF小説

2020年02月04日

ランボー超人Bの物語―5 俺はランボー超人だーっA

できたら裏口から入ろうと思ってたんだが、裏口らしいのが見つからない
しょうがないんで、表通りに出た

平日の昼休み時間、ということで表通りには、近隣のサラリーマンやらオフィスレディが
かなり歩いている

もしかすると、Tテレの社員なんかも歩いているのかも知れない
だったら、いいタイミングなのかも知れん、と俺は思った

もう、さっきの怒鳴り声は聞こえないが、ビルの形状から見て、路地道から3軒目くらいが
お目当てのビルだろうと推理して俺は、とあるビルの前に立った

入口にはシャッターが下りているが、下が30pくらい開いていたので腰を深く降ろしてから
手をかけて、ぐぐーっと、力を込めて持ち上げてみた

ぐきっと音がして、シャッターは一旦重くなったが
こっちには力がいくらでも湧いて来る感じで、さらにぐいっと力を入れて持ち上げると

ばきばきばきーっ、ばしゃーんんとひどい音がして
シャッターが、ぐしゃぐしゃになって斜めに垂れ下がり、その奥に厚手のガラスの扉が現れた

そのガラス扉の向こうに、ワイシャツ姿の男が4人ほど、それからOLに見えなくもない30〜40代くらいの女が1人、全員びっくり顔で動きが止まった状態で俺のことを視ていた

「こんちは、すみませんねシャッター壊れちゃったみたいで…」俺なりに気を遣って、そう話しかけた
その声がきっかけになって、部屋の中の凍っていた時間が、はっと溶けて人が激しく動き出したぞ

迫力のある眼つきの若い男が、ガラス扉を開けて首を突き出して、がなり声でわめいた(その顔と声に、中学のヤンキー同級生を思い出す。警戒してるのがみえみえで、体半分事務所なのが頂けない)

「なんだぁ、てめえ、どこの鉄砲玉だぁ」いちいち語尾を持ち上げながら喋るのが面白いっちゃぁ面白い(なんて余裕かませていられるのは、自分が超人だって思ってるからだけど)

「ごめんですが、俺、悪者退治にやって来たもんなんで」一応、挨拶はちゃんとしておかんとね(よしよし、声は平静に出てるぞ)

「はあぁ、なに言ってんだぁ、おめえよぉ」俺の言い方がとぼけてるようい聞こえたんだろ、熱さが増して、とうとうガラス扉から出て来た

「親分さんって言うんですか、社長さんって言った方がいいんでしょうか、とにかくここの偉い人に会いたいん…」と、まだ喋ってるうちにジャージの胸ぐらが掴まれた(…結局Gパン赤Tシャツは軽過ぎに見えたんで、ブルー〇・リーを意識した紺のジャージ姿だったんだ)

後で思い返したら、なんてことなかったんだけど、その時はびっくりって言うか、やたら驚いたんで、反射的にその手を払いのけると、そいつは思いっ切り横に吹っ飛んで、4、5mくらい離れたとこの壁にぶつかって、跳ね返って床に落ちて動かなくなっちまった

その瞬間、俺の肩と腕と手にすごい力が駆け抜けて、同時に体と脚と腰にも鉄筋みたいにぴんとする力が入ったのが分かった

部屋の中の人たちもびっくりして固まってたけど、俺なんか、もっとびっくりだった
あいつ大丈夫かなぁ、と床に転がってる奴を見てると、またガラス扉が開いて、ワイシャツ姿の社員さんらしい、俺より年上感満載の人が出て来て「お前ぇ〜!」って言うなり、木刀で振りかかってきた

その瞬間に、その社員らしい人の動きがスローになって、俺はちょっと迷ったけど、バシッていう感じで、その木刀を右手で掴んだんだ。たら、木刀が発泡スチロールで出来てるみたいに、砕けちまった
またまた驚きの提供。俺も社員さんも、びっくりして突っ立ったまま

そのとき、やっと俺に自信が湧いた。間違いなく超人だ、スーパーマンだ。まだ、体が弾丸やナイフを跳ね返せるのか試してないけど、とにかくこれで大丈夫。そうなると、俺はますます図に乗るタイプで
とりあえず、まだ突っ立ってるワイシャツ社員さんの胸あたりを、どんと突く

よくあるワイヤーアクションみたいに、まっすぐそのまま後ろにすっ飛んで、ガラス扉に強く当り跳ね返って落ちた
ガラス扉が割れなくて良かったぁ、と俺は平和に反応したが、中の連中はそうはいかない

女子(?)社員は事務用机の下にもぐり込む者、部屋の奥目指して逃げる者、4〜5人いた男どもは、奥の壁を背にした大きな机の席に座っている一番年食って見える人以外、手に手に何か持って、こっちに殺到して来る

その人の群れに、慌ててガラス扉を押して、中に入ろうとした俺の手が強く当ってバッシャーン、と破裂したみたいに扉が砕けて、散弾銃で撃ったみたいにガラス片が、連中目がけてぶち撒かれちまった

俺を見る皆の眼に恐怖が浮かんだのが分かった
そりゃあ、びっくりだろう。パンピーそのものの俺が、厚いガラス扉を一撃で砕いちまったんだから、驚くのは当たり前だ

ただ、一瞬皆の眼に浮かんだ恐怖の色は、すぐに消えて(女子社員は慌てながら逃げ出していた)、男たちはどこから取り出したのか、伸縮性の警棒を手に、俺に向かって突進してきた

残念なことに、そういう動きもスローなんで、俺はすっかり落ち着いて、振り下ろされたり、突き出されたり、薙ぎ払って来たりの警棒を、ビシビシッと払い除けつつ、前に進んで行った(払いのけた警棒は、すごい勢いで壁や天井に突き刺さったり、折れて飛んだりで、持ってた奴は皆んな、手首を押さえてその場にすっ転んじまう)

「お前、どこの組のもんだ」それまで、一番奥側のでかい机の向こうに座ってた貫録たっぷりの親父が、いい声でそう言った、って、まるっきりVシネじゃん
「いやぁ、俺、正義の味方なんで、退治に来たんっすよ、ここの組を」なんて、練習してきた通りに、落ち着いて喋れた

「正義の味方、だぁ。なにを言ってやがるんだお前は」そんな問答してる間に、すっ転んでた奴の何人かが、携帯で誰かに連絡している
加勢を呼んでるんだと、ちょっとびびったが、まあ、あんなの何人来たって、どってことぁないや、と段々頭に乗って来た俺

「うるさいよ、あんたがここの親分なんかい?」いい気分だ、が、さすがに俺だって油断はしてない。どかどかいう足音が、壁の向こうから聞こえて来てるのは、分かっちゃぁいる
その足音聞いて復活したのか、右目の隅にきらっとひかるものが見えたと思ったら、背の高い男が腰の辺りに光る物を構えて、身体ごと突っ込んで来た

ほとんど同時に、小太りの背の低い奴も腰に光物を構えて、俺に飛び込んで来るのが見えた
こりゃ、すごい連携プレイだ
その迫力に思わずびびって、思いっ切り背の高い奴を右手で横薙ぎに払うと、ぼきって言うか、ぐしゃっみたいな派手な音がして、そいつが吹っ飛んで右の壁に当たったと思うと、その勢いのまま壁にめり込んじまった

その直後、どすんって背の低い方が俺の左脇腹にぶつかって来た
なんじゃぁこりゃぁ、って名セリフ言ってみたかったんだけど、実際はつるって感じで、なにかが脇腹を滑った感触があって、直後、ジャージが切り裂ける音がして、短刀持った手が飛び出した

え〜、買ったばっかなのに〜
頭に来たんで、両手でそいつを掴まえて、ぐい〜と持ち上げてやると、めちゃめちゃ軽いくせに、わめきながらじたばたするんで、バスケのシュートの要領で、さっき威張った口をきいてた親分のところに放った

だだーんと、ド派手に小太り男が親分の机にぶつかって、バウンドすると親分さんの頭すれすれに跳び越えて、後ろの壁にぶち当って跳ね返り、そのまま動かなくなった
その時、部屋の中のドアが勢いよく開いて、新手の男が3人飛び出してきた

アメリカだったら機関銃でも持って来たかったんだろうが、日本ではそうはいかない
っていうことで、その連中も警棒みたいなのや、スタンガンらしいもの持ってるだけだ

「てめえこの野郎!」とか「なんてことしやぁがんだ!」とかなんだかんだ怒鳴ってるけど
さすがに俺を警戒してるんで、そばまで来れずに、並んだ机の向こう側でわんわん言ってるだけだ

こうなると警察を呼べないことが残念だね
こっちも天下無敵みたいな気分になってるから、盛り上がっちゃって、そんならこっちからと

机の並んでるのを跳び越して、連中のところに行ってやろうってんで
ぽ〜んと飛び上がったら、天井にぶつかっちゃって大騒ぎ

なんかバズーカ砲でもぶっ放したみたいに、天井がぶつ破れて、がらがらばらばらっと
天井材やら梁やら蛍光灯やらが、落ちてひどいことになっちまった

俺もお笑いの芸人さんみたいに、顔が石膏ボードの粉まみれでひどいったらない
もっとも、もっと大変になってたのは相手の三人で、俺と違って普通の人間だから

いろいろ落ちて来た建材やガラスの破片をもろに浴びて、血まみれ傷だらけになっちまってる

まあ、こんな連中を相手にしているのもなんだから、とっとと一番偉い奴に会いたいんだが
どこにそれが居るのかが分かってない
んで、ほこりだらけ血だらけになってる三人のとこまで、歩いて進むことにした

邪魔な机やコピー機や、衝立なんかぽんぽん放り投げて、ずんずん進むと
明らかに連中は恐怖してるのが分かった

「もしもーし、ごめんねぇこんなにしちゃって。ちょっと訊きたいんですけど、ここの一番偉いさん
どこに居るのか、ご存知ですかー」一応、できるだけ丁寧に訊いてあげたんだが、誰も返事しない

「て、てめえ、どこのもんだぁ」声が上ずってる。しかも、同じような質問に参ったが、一応返事する
「どこのもんでもないんですけど、まあ、正義の味方みたいな者なんです。で、教えてくれます?」

「てめえ、親父のタマぁ獲りに来やがったんか」まあ、そう考えられてもしょうがないよな
「まあ、似てるけど、別に命をどうのじゃないんです。懲らしめに来たって言うか…」我ながら迫力ないなぁ

そのやりとりで出来た隙を突いて、三人の中で一番若い奴が、落ちてた警棒を手にして思いっ切り殴りつけて来た
もちろん、軽い衝撃を肩に感じたけど、痛くもなんともなかったので、それは放っといて話を続けた

「とにかく、あんたたちじゃあ話にならないんで、教えてくれよ、親分だか社長さんの居るとこ」少し強めに迫力込めて言ってみた
警棒の一撃が効果なかった奴が、今度は両手を広げて、俺に抱き着いて来た

男に抱き着かれるなんて嫌だったから、反射的にそれを振り払うと、うげっ、みたいな声を上げて床にひっくり反って、もがき苦しんでいる(両肩が外れたみたいだ)
その一連の動きに、喋ってた方じゃないもう一人が、逃げ出した

今度は俺も気を付けながら、ぽんとジャンプしてひっくり返っているいろんなモノを跳び越して、そいつの前に着地した
「ずっと、上の階だ、行けっこないぞ」度肝を抜かれた顔で、思わず、って感じでそいつが教えてくれた

やっぱり、この部屋に居る親分みたいな偉そうな奴は、中ボスで、ラスボスはもっと上に居るんだ
納得した俺は、今度は勢い付けて天井向けて飛び上がった(大して高層じゃないから各階ぶち抜いて進んじゃおう!)

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天井は簡単にぶち抜けたが、次の瞬間ガキッと頭が堅いものにぶつかって、俺は床に落ちてしまった
鉄筋のビルの構造がよく分かっていなかった俺は、石膏ボードの天井材をぶち破った後、上の階の床の鉄筋コンクリートに思いっ切りぶつかったのだ(別に痛くも無く怪我もしなかったけど)

えーっ、スー〇ーマンでもアイ〇ンマンでも、超人だったらビルでもなんでも、簡単にぶち抜くじゃん、って俺は頭に来て、もう一度、今度は力を込めて床を蹴って、真剣ジャンプ!
握りしめた拳を揃えて、コンクリートでもなんでもぶっ飛ばす勢いで、ぶつかった

バッキンンン…ン、とド派手な音がして、コンクリートの破片がバラバラバラバラって、降り注ぐ
それより厄介なのが、中に入ってる鉄筋で、曲がるんだけど、そう簡単に折れなくって、ミリミリメリメリ、蜘蛛の巣がからみつくようになって、俺の服はずたずたになっちまった

そういうぐしゃぐしゃしたのを、やっと体から引っぺがして、2階のフロアに立った俺は、皆避難して誰も居ない、えらくとっちらかったオフィスの中に居た
なにか変な感じがしたんで、部屋中見廻すと、天井の2ヶ所に監視カメラの赤い光点が見えた(俺を見てるんだろうな)

こんなに大変じゃあ、天井床ぶち抜き作戦は止めて、普通に移動するしかないなと思って、この部屋の出入り口を探して、廊下に出た
廊下を歩いて行くと、前方で何人かがばたばた動く音がするが、別に誰も襲っては来ず、すんなりエレベーターの前に行けた

エレベータースイッチに手を伸ばした時、ドアが開いて中に割と立派な感じのスーツの男の姿があった
やる気か、と構えた俺に、男はやけに丁寧にお辞儀をして「どうぞ、会長がお待ちです」って言うじゃないか

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大体、日頃は年上の男から(特に立派に見える奴)、丁寧に喋られたことなんてない俺だから、ちょっとどぎまぎしちまった
で、とりあえず「おう」と、偉そうに返事しといたが、実は、大した奴じゃないな、って見破られてるんじゃって、どきどきだった

これが、貫録の違いなのかと、マジでそう思い込みかかったけど、俺は踏ん張った
「一番偉いのに会えるんだよな。もし、違ってたら、もっと暴れて、このビルなんかぶっ潰すからな」おお、落ち着いた声が出てる、いいぞ!

俺の言葉には返事もせず、エレベーターの行く先ボタンを押す。BFだ
なんだ、上の階に居るんじゃなくって、地下に潜ってたのか

それからかなりボロボロの格好になってる俺と、ばりっとスーツを着こなしてる奴と二人、黙ってエレベーターで下に降りてった
「どうぞ」こちらに、と手で示すと、先に立ってエレベーターを出るスーツの奴、後に続く俺

頑丈そうな鉄扉が外に開いていて、その先に金のかかってそうな木の扉があって、それは内側に開かれている
まっすぐその先に、大きなデスクがあって、恰幅のいい60〜70才くらいに見える男がこっちを見てる

部屋に入ると、俺と同じくらいの年恰好の、やけにイケメンの男が、木の扉をすっと閉めた(閉じ込められたのか、と思ったが、俺はスーパーな男だから怖くない、と腹に力を入れた)
部屋の中は、落ち着いた薄暗い照明で、超人になった俺には問題なく全部見えてるが、デスクの年寄りとスーツとイケメンのほかにも、やせ気味の中年のダークスーツと、白っぽいスーツの若めの男がいる

「お宅がラスボスなんだ。なかなか会ってくれないもんで、いろいろ壊しちゃったけど、ごめん」謝ってるみたいで、下に見られるかも知れないが、一応礼儀は分かってるとこ見せないと
「暴れたみたいだな、お前さん。どこから来たのかね」渋いいい声で、年寄りが喋った

雰囲気に呑まれちゃいかん、と、前もって練習してきたんだけど、やっぱ大物感があるんで、俺たじたじ
「西から来たのか?」今度は、中年ダークスーツが、少ししゃがれた声で、俺を訊きただす

まずいじゃん、押されてるよ俺

posted by 熟年超人K2号 at 14:34| Comment(0) | ランボー超人B(2)

2019年11月14日

ランボー超人Bの物語―5 俺はランボー超人だーっ@

それで、早速あのアノ職業の方たちのリストをググって、手近な都内の2社をGマップで探した
大手2社の組本部は、意外に近くにあったが、テレビ局本社近くの方が便利に思えたので、そっちにした

それに、もう1社の方は目抜き通りに面してたから
暴れてる最中に、人が集まって来たりしたら、怪我する人も出ちゃうかも知れないし…

そうと決まれば、いじいじ考えてなんかいないで、即行動あるのみだ
スー〇ーマンみたいな衣装を用意するのはムリだから、ジーパンと赤Tシャツでいいか

俺の住んでいるアパートから、Gマップで見ると都心の組のビルまで直線距離で約30qくらいある
いよいよ本格的超人デビューなんだから、今回は空を飛んで行くつもりだ

ただ、飛んで行って突然ぶち壊しに来ました、って言うのもなんかなぁと思う
別にあの人たちに何かされた訳じゃないし、家族や親せきが迷惑受けてもいないのに

暴れこむ理由が、欲しいかなぁ
世間のレッテルだけで、ぶっ壊しに行っちゃうってのはどうもなぁ…

行けば、当然抵抗して来る組員の人たちを、殺しちゃわないようにするつもりだけど
大怪我くらいはさせるかもだし、部屋とか設備とか、マジ建物だって壊しちゃうかも知れないし

ならやめとくとか言ってたら、折角超人になったって、ご飯食べることもできないんだしなぁ
しょうがない、じゃあ行くか

まだ昼飯前だけど、やらなきゃいけないことは即やる!とか言ってたサブ店長の言葉を思い出し
アパートの窓を開けて空に飛び上がる

どうやって飛ぼう、と思う間もなく飛べてしまう俺に俺自身が驚いた
窓枠に片足をかけて、えいっと空中に飛び出すと、そのまま体が浮いて飛び出した角度のまま進む

一番近い感覚は、プールで壁面を蹴ると、体が水中を進む、あの感覚
でも、ふぃーっと力を入れるとスピードが上がるんだ

スケートのあの感覚かな
とにかく、出そうと思えばいくらでも増しそうなスピードを、コントロールできるようにしないと

飛べることに有頂天になっていた俺は、急に不安になった
誰かに見られたんじゃないか!、と

まあ別に、見られたら見られたで、いいっちゃいいんだけど
こんなアパートから飛び出した奴が、テレビで『“悪”はまかせてもらう』なんて言ってたら

なんだかがっかりちゃうもんなぁ、俺だったら
まあそんなこと、うじうじ考えてたってしょうがないから、ちゃっちゃっとやっつけるか

思い返すと、俺が窓から飛び出したのは大体45度くらいの角度で、空に向かって
10秒くらいしゅーっと上昇した処で一旦止まると、下の家や中学のグランドが随分小さく見えた

多分4〜500mくらいの高さだろうな、と実家に帰ったとき乗った飛行機の記憶が蘇る
わざわざ空を見上げてなけりゃ、俺が飛んでることなんて気が付きっこないな、って安心した

上から見ると建物の特徴や、案内表示なんて見えないので、どっちがどっちかちょっと迷ったが
いつもの駅が見つかったので、あとは都心に向けて線路伝いに東方向に飛ぶことにした

この辺りは米軍基地もあるので、結構航空機も飛んでるから、一応それらにも気を配って
1000mくらいと思われる高さで飛ぶことにした

ところで俺の飛ぶスピードだが、これが結構出るんだなぁ
軽く跳んでる積りだが、下の方を走ってる車や電車なんかは、すいすい追い抜けちゃうんだ

大体の感じで時速200qってとこかな
もちろん、もっとスピード出せる気がするんで、ジェット機くらいの速度はいけるとみたね

で、直線で30qだから、30÷200で9分くらいで目的地に着くはずだけど
実際は、探しながらとなるとそうスピードは上げられないと踏んだ

少し飛ぶと、緑の多いいかにも公園らしいところが見える(多分、小金井公園だ)
そのうち、南の方にもう1本はっきりした線路が見えて来た(中央線だな)

井の頭公園も見えてきたので、そろそろ吉祥寺辺りだ
ここからは、中央線を目印に飛ぶことにして、人も多くなるからもう少し高度を上げる

中野の明大校舎を過ぎると、高い建物も徐々に増え、もうすぐ新宿なんだと、なんとなくわくわく
やがて、中央線がぐーっと南にカーブする辺り、都庁や高層ビル群が見え、俺はさらに高度を上げた

じきに大きな川らしきものが見えて来た
となると、この辺りが市ヶ谷なので、大きく右旋回して南下する(Gマップで調べといたんだ)

念のため、ぐっと高度を上げると、皇居らしき森が見える
目的地は、ここから真南くらいのところにあるはずだ

それにしても、都心はビルが多いな
超人になってから視力も良くなっているけど、飛びながらじゃ、ごちゃついて良く分からない

車の運転してるとき、街の細かいところが見えていないのと同じだ
なので、空中で留まって下をよく見たいんだけど、ヘリみたいなホバリングができない

仕方ないので、少し高度を下げて、できるだけゆっくり旋回することにした
まあ誰かに見られても、しょうがない(見られることを期待?)と、腹をくくった

目立っているのは、白い0の形の新国立競技場だ(Gマップで見ていたので、すぐわかった)
で、すぐ近くの緑が新宿御苑で、似た0型の公園みたいなのが、多分明治神宮だ

だったら、よく聞く赤坂のTテレビルはその近くだよな、とつい独り言が出たとたん
あったあった、屋上ヘリポートのあるTテレビ本社ビルが目に飛び込んできた

とにかく真昼間なんで、道路にじゃなく、Gマップの3D画像で見当を付けていた
近所の非常階段があるビルの屋上に、すいっと降りた

めんどうぽいけど、屋上から非常階段に移って、普通に非常階段で地上に下りるつもりだった
(やっぱ、堂々と玄関から入っていきたい気持ちがあったんだな)

普通にビルとビルの間の路地道に下りて、きょろきょろ周りを見回したが、どのビルも普通で
有名な(俺でも聞いたことがある)組本部らしい建物はない

そこで、俺は落ち着いて考えてみることにした
超人なら聴きたい音だったら、聴くことできるんじゃないか、って閃いたのさ

その気になって、見当をつけたビルの壁に耳を当ててみると、聴こえる聴こえる
「だぁかぁらぁー、言ってるじゃないかぁ、それじゃぁ足りないんだよぉー」

若い男が、険のある声で怒鳴っているのが、どでかい音量で耳に飛び込んで来たんだ
なんの話だか分からないが、どうやら金が足りないって、怒ってるみたいだ

となれば、あれだな、やくざが素人衆にお金でも貸して、取り立ててるってとこだろう
やった!こりゃ懲らしめに行く理由になるゾ、と思った俺は早速そのビルの入口を探し始めた
posted by 熟年超人K2号 at 22:52| Comment(0) | ランボー超人B(2)